医者はなぜ「やりたがる」か 今回問題になっているケースでは、術後、数ヵ月以上経ってから死亡した患者もいた。前出の都内大学病院外科医が言う。 「がんを切り取ったあとに臓器などを縫合しますが、それを内視鏡でやるのも難しい。縫合不全から感染症など合併症を起こして、しばらくして命を落とすこともある」 皮膚につく傷は小さくても、臓器は大きく切り取られている。外から見たらきれいに治っているようでも、術後の体内の患部では何が起こっているかわからないのだ。 前述したように、傷が小さいので術後の痛みが少なく、退院も短くて済む点は大きなメリットである。高齢者の場合、入院中に足腰が弱り、寝たきりにつながるケースもあるため、術後の生活の質を上げるという点でも、恩恵を受ける人は多い。 だ が、そのリスクとベネフィット(利点)を患者や家族が判断し、治療法を選択するのは難しい。医者は、手術前に死亡率や合併症のリスクなど