誤解についてこの名称から、特に将棋をあまり知らない人には誤解されることが非常に多いが藤井システムの考案者は今や将棋の顔となっている藤井聡太ではなく羽生世代の一人、藤井猛である。 歴史誕生前夜振り飛車、それは現在残っている最古の棋譜にも現れる将棋の二大戦法の一つ。生まれて数百年、居飛車とどちらが優れているかで血で血を洗う死闘を、熱戦を繰り広げてきた。振り飛車の特徴は美濃囲いや振り飛車穴熊などで玉を居飛車より固く囲い、攻めを受け、カウンターを狙うという受け重視の姿勢である。角が玉側にないからこそ角の通り道を開ける必要がないため固く囲うことが可能だったのだ。 しかし1970年代、振り飛車に史上最大の危機が訪れる。それが居飛車穴熊の誕生である。もはや暴力とまで言える玉の圧倒的な固さ、遠さはそれまで居飛車の攻撃を受け、カウンターを狙うのが基本方針である振り飛車をすさまじい勢いで駆逐した。 この時期の