私と近い年代︵昭和20年代後半~30年頃の生まれ︶の方にしか通じないかもしれないが、子供の頃の思い出話である。 昭和39年の9月だから、私が小学校の4年生のときである。小学館から﹁少年少女世界の名作文学﹂という全集が刊行された。全50巻の全集で、毎月1冊ずつ配本される形式であった。1冊の価格が480円。当時としては安い値段ではない。私の家はそんなに裕福ではなかったが、母が定期購読を申し込んでくれたので、それから50ヶ月、約4年ちょっとの間、毎月この本を読み続けた。50巻をまるごと届けられたのであれば、おそらく全部を読むということはなかっただろうが、毎月1冊ずつ月刊誌のように届くので、読むのはそれほど大変ではなかった。 小学校の4年生の中頃から中学校1年生の終わり頃までの50ヶ月間だったので、自分にとっては大きな読書体験だと思う。 下がその外観の写真である。 収録されていた文学作品を読ん