文春オンラインに﹁暴力﹂についての質問に答えた。いま、ネットで公開されているけれど、そのうち新しい記事に埋もれてしまうだろうから、ここに残しておく。 -ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争‥...日々メディアやSNSから凄惨な光景が流れてくる時代を私達は生きています。圧倒的な暴力をまえに、倫理や道徳というものは無力なのでしょうか。 内田﹁圧倒的な暴力﹂を前にしたときに私たちがまずなすべきことは﹁圧倒的な暴力﹂を﹁制御可能な暴力﹂に縮減することです。それは質の転換のことではなく、量の規制のことです。 国際関係論では﹁危機﹂を二種類に分別します。danger とriskです。danger は﹁人知を以ては制御不能の危機﹂、﹁黙示録的危機﹂のことです。それに対してrisk は﹁コントロール﹂したり、﹁マネージ﹂したり、﹁ヘッジ﹂したりすることができる危機のことです。政治外交の要諦は﹁デインジャ