日本の年金制度の最大の課題は、将来、低年金で苦しむことになるであろう、厚生年金の適用対象外の非正規労働者を、どうするかである。少子化は、何とかしなければと言われ続けながら、財政再建を優先した結果、手遅れとなってしまった。また再び、深刻な事態が目前に迫るまで、非正規の低年金が後回しにされてはなるまい。 こうした折、駒村康平先生が岩波新書で﹃日本の年金﹄を出された。先生も、同様の認識であろうと推察する。本書は、特に若い人たちに読んでもらいたいと思う。一知半解の﹁世代間格差﹂で惑わせ、焚き付けようとするような本もある中で、制度を概観し、経緯に触れ、カギとなる数字も織り交ぜつつ、真に取り組まねばならない課題を丁寧に説明している。 ……… 年金は経済のサブシステムであるから、経済状況に合わせて改善していく必要がある。1997年の消費増税の衝撃によって、日本はデフレ経済に転落し、苦しくなった企業は、社
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