薬物依存、とりわけ、覚せい剤の乱用は、現在の日本社会におけるひとつの大きな問題だ。 厚生労働省によれば、平成になってからの四半世紀、覚せい剤取締法違反で検挙された人数は時に2万人、近年、減少傾向にあるとはいえ毎年1万人以上を数える。これは、違法薬物の中で圧倒的な1位で、2位の大麻にくらべて常に数倍にのぼる︵いずれも輸出入や製造・栽培についての検挙も含まれているので、単純に使用したことで検挙された人の数ではないことには留意︶。 社会的な関心も大きい。 例えば、芸能人が、覚せい剤を使って逮捕されたとする。 ワイドショーはもちろん、ニュース番組ですら、時に政治や国際問題よりも多くの時間をさいて伝える。スポーツ紙や週刊誌は、さらに強い関心を寄せるかもしれない。 ﹁転落への道﹂﹁心の闇﹂などといった紋切り型の言葉を使い、﹁信頼を裏切った﹂﹁ファンに申し訳が立たない﹂と断罪することも多い。 ﹁いち早い
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