さて、サカモト教授はフュシス︵自然界︶から純化して抽出されるロゴス︵意︶としての音楽ではなく、ロゴスから洩れてしまった街のノイズの方に着目していた。街中であればノイズとなるが、山野へ行けば鳥の声に虫の声が音を発し、何かしらの音曲にも聴こえてくる。鳥の声や虫の声は、さながら恋の歌という事になるのでしょう。混沌状態の自然界の中で、どんな神々しい音を聴き、神々しい光を感じ取れるのかどうか。いやいや、その波動とやらを感じ取れるところまでに到達できるのかどうか、かな。 また、﹁生体律動﹂というワードを両者の対談で浮かび上がった。ドクンドクンと脈打つ体内のリズムなどだ。これで思い出してしまったのだけれどもアルフォンソ・リンギスというペンシルバニア大学の名誉教授が展開させた感慨深い一節があった。ウマであるとか、ラクダであるとか、そういった動物に乗っている時には我々は地球のリズムを感じ取っているのだという