魚にも自分がわかる ──動物認知研究の最先端 (ちくま新書) 作者:幸田正典筑摩書房Amazon 本書は最近毎年のように動物行動学会でホンソメワケベラの認知能力(特に鏡像自己認知能力)について驚きの発表を行っている幸田正典の手になる一冊.まさにそれら一連の研究結果がまとめられた書籍になる. 冒頭の「はじめに」において,10年前に「魚が鏡像自己認知できる」ことを発見したが,それは当時常識を逸脱した内容とされ,なかなか受け入れられなかったこと,そして当時はガリレオの心境だったことが述べられている.しかし著者はこれを乗り越えて,追試を含めて次々に驚きの発見を続けていく.本書のその発見と主流への挑戦の物語りになる. 第1章 魚の脳は原始的ではなかった 第1章は物語の前段である,「なぜ『魚などに鏡像自己認知できるはずがない』という『常識』が形成されていたのか」が解説される.それは脊椎動物の脳について
福井大学と日本医療研究開発機構(AMED)は11月18日、マルトリートメント(不適切な養育、虐待など)を受けて育った子供では、“愛情ホルモン”として知られるペプチド「オキシトシン」の設計図となる遺伝子(DNA)配列の一部領域が、一般の同年代の子供に比べて、よりDNAメチル化(化学修飾)され、オキシトシンの働き方が異なっている可能性があることを解明したと発表した。 同成果は、福井大 子供のこころの発達研究センター 発達支援研究部門の西谷正太特命助教、同・友田明美教授、米・エモリー大学 医学部産婦人科学教室のアリーシャ・スミス准教授らの国際共同研究チームによるもの。詳細は、英科学誌「Nature」系の精神医学や神経科学などを扱う「Translational Psychiatry」に掲載された。 マルトリートメントとは、子供が親から殴る蹴るといった身体的虐待や性的虐待など、直接的な被害を受ける虐
【発表のポイント】 菌類の菌糸体が新しい木片(エサ)を見つけたときに、新しい木片に引っ越すか元の木片にとどまるかを、新しい木片の大きさで決断していることを発見した。 菌類の菌糸体が新たに見つけた木片の方向を記憶していることもわかった。 脳も神経系も持たないカビ状の菌類の菌糸体がもつ知性のメカニズムを解明することは、知性の進化的起源の解明や、生態系の物質循環の理解に役立つと考えられる。 【概要】 東北大学大学院農学研究科の深澤遊助教と英国カーディフ大学のLynne Boddy(リン ボッディ)教授らは、木片から土壌中に伸びた菌類の菌糸体が新たな木片を見つけたときに、その木片に完全に引っ越すか、もとの木片にとどまるかを、新しい木片の大きさによって決断していること、新しい木片の方向を記憶する能力があることを発見しました。 本研究成果は2019年10月19日(土)に微生物生態学の国際誌「The I
要旨 理化学研究所(理研)脳科学総合研究センター 理研-MIT神経回路遺伝学研究センターの奥山輝大研究員、利根川進センター長らの研究チーム※は、他の個体についての記憶(社会性記憶)が海馬のなかでどのように貯蔵されているのかをマウスを動物モデルとして使用して解明し、その記憶に直接アクセスして、記憶を操作することに成功しました。 記憶には「誰が、いつ、どこで、どうした」という情報がありますが、その中で「誰」という部分を担う社会性記憶については、神経メカニズムの詳細がほとんど分かっていませんでした。本研究では、記憶中枢である海馬の中で、これまであまり着目されてこなかった腹側CA1領域という領域に社会性記憶が貯蔵されていることを発見しました。腹側CA1領域では、ある決まった神経細胞集団が、決まった相手のことを思い出しているときにだけ活性化することから、細胞集団として記憶を保持していることが推測され
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世界から名詞がどんどん剥がれていく−−。関西地方に住む若年性認知症の会社員の男性(56)が、記憶を失い始めた自身の姿を克明につづった手記を毎日新聞に寄せた。症状が進む自らの感覚を冷静に見つめ、忘れることの痛みや苦しみを率直に描いている。男性は「認知症になるとつらい気持ちも分からなくなると思われがちだが、記憶を失いもがき苦しんでいることを理解してほしい」と訴えている。【山崎友記子】 ◇忘却、もがく日々…スマホにメモ、記憶再現 <世の中は名詞で埋まります。「認知症」と突然、医師から告げられて、後から私は認知症になりました。(中略)ただの記憶の忘却がその瞬間に「認知症」という重い病の雨になって降り注いできました> 認知症と診断されたのは昨年5月。物忘れがひどくなったのを機に脳神経外科を受診すると、いくつかのテストの後に、医師から認知症と告げられた。 <「薬を出します」と雷鳴が鳴り響き、踏
Real-Time Visualization of Neuronal Activity during Perception Akira Muto, Masamichi Ohkura, Gembu Abe, Junichi Nakai and Koichi Kawakami Current BiologyVolume 23 Number 4, Feb 18, 2013. doi: 10.1016/j.cub.2012.12.040 私たちの目に見える世界は、網膜に映った後さらに脳へとその情報が伝えられます。視覚を司る脳の領域では、視野全体に対応するように神経細胞が並んでおり、これは「視覚地図」と呼ばれます。このような脳の構築様式はヒトや魚など視覚を持つ全ての動物に共通する特徴です。しかしながら、視野全体が脳の視野地図へと写されている様子を、神経活動としてリアルタイムに自然な条件下で捉えた例
2012年09月24日 プリントアウトした方が間違いに気づきやすいワケ Tweet もう随分前の話になるが、モニタ上で見るよりも、紙で確認したほうが間違いに気づきやすいのはなぜかという議論が盛り上がった。 どうして紙にプリントアウトした方が圧倒的に間違いに気付きやすいのか なぜ「画面」より「紙」のほうが間違いに気づきやすいのか? 考えうる理由についてはおおよそ挙げられているようだ。既出の論点の中では、身体性に関する指摘が重要であるように思われる。身体性とは、認知科学において近年注目されている概念で、身体という物理的存在が周囲の環境とインタラクションすることによって、学習や知識構築を行うことを指す。物理的な紙にプリントアウトされた情報を読むときには、本を持つ、ページをめくる、文字をなぞるなどの物理的なインタラクションを行なっており、ページの厚みや重さといった電子情報には無い要素が間違い発見の
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