前回、Hackintoshがいつまでできるのかという問題について考えたわけですが、遅かれ早かれ今後出てくる最新のハードウェアではmacOSが動作しなくなってしまいます。
Haswellのマシンでさえ現行のBig Surが動作することを考えると、現行のハードウェアであればIntel対応版macOS最終版まで動くであろうことは推察できますが、どうせ終わりが見えているのなら最後のHackintoshは長く戦えるようできるだけ最新のスペックで組みたいところです。
Hackintoshが組める構成というのは基本的に﹁同一世代のハードウェアが搭載されたMacが出る﹂かに依拠しています。あるハードウェアが載ったMacが出ることで、そのハードウェア向けドライバがmacOSに搭載され、同一世代の製品を動かすことができるからです。CPUの場合はドライバで動くわけではないですが、カーネル自体が対応するかどうかなので同様です。
というわけで、Intel Macのロードマップと各種ハードウェアのロードマップを念頭に置いて、最後のHackintoshの構成を練っておきたいと思います。
まとめるとこんなところでしょうか。まだ出てない製品については期待値です。 もうIntel Macに載るアーキテクチャとしては既存のComet Lakeで打ち止めの可能性が高いので苦しいところです。 主に仮想化の問題でAMDをHackintoshの終わりまで使い続けるのは厳しそうですし、今更14nmを長期的に使う想定で組みたくもないので、Alder Lake以降がパッチで動かせることに期待したいと思います。それぞれiMac、MacBook Air/Pro 13インチに搭載されている︵されていた︶ためどちらのiGPUもHackintoshで動作させることができます。
追記︵2021/1/30︶‥Comet Lake iMacはdGPUモデルのみのため、Comet LakeのiGPUを︵ディスプレイ出力用で︶稼働させるMacは存在しませんが、Coffee Lakeと同一のiGPUのためCoffee Lake用のドライバで動作します。Ice LakeについてはdGPUレスのMacBook Air/Pro 13インチに搭載されているため動作します。
Rocket Lakeに搭載されるiGPUは新しいXeとなるため、XeのドライバがmacOSに含まれるようにならないと動かすことはできないです。
ラップトップ向けのTiger LakeもiGPUはXeとなるので、Tiger Lake搭載Macが出れば同じドライバでRocket LakeのiGPUも動く可能性はあります。
ただ、MacBookシリーズはiMacと同様にもうIntelの新製品が出る噂がなく、Tiger Lake搭載にならないままApple Siliconへの移行が完了してしまう可能性が高いため、新しいiGPUが動かせるようになるかというと期待薄です。
NUCやDeskMiniで組む場合はdGPUが使えないわけですが、残念ながらCPU / GPU両面でTiger Lake NUCを使うことは難しく、現行のCoffee Lake / Comet LakeのNUCやDeskMiniが最後になってしまいそうです。
CPU
Zen 3︵Ryzen 5000︶
話の流れの関係上、あえて最初にそもそも搭載MacがなくネイティブサポートされていないAMD CPUについて考えます。 冒頭の話と矛盾してしまいますが、AMD CPUについてはそのままではmacOSを起動させることはできないものの、近年の解析・開発が進んだ結果パッチを当てて強引に動作させることができるようになっています。 以前からカスタムカーネルで動作させることはできていましたが、パッチ式になってから互換性は飛躍的に上がりました。現に自分も現在メインHackintoshはZen 2のRyzen 7 3700Xで構築していますし、Zen 3まで動作することは確認されています。 互換性が上がったとはいっても、Intelでネイティブに動かすことと比べると問題はいくつかあります。大きなものはAdobe系ソフトにパッチを当てないと動かないことと、仮想化ソフトウェア︵VMware / Parallels︶がBig Surで動かないというものです。 後者については、 ●現行バージョンのVMware / Parallels はAMD Hackintoshで動かない ︵古いバージョンは動く︶ ●古いバージョンはHackintosh以前にBig Surで動かない のコンボでこうなってしまっています。 これは、古いバージョンではソフトウェアメーカーがWindows向けと同一コードベースで開発していたIntel / AMD両対応の仮想化フレームワークで動いていたものが、現行バージョンではAppleが開発したMac / Intel専用フレームワークでの動作に切り替わってしまったことが原因です。 IntelとAMDの仮想化周りの命令セットは違いが大きいらしく、AMD Macが出ることもないことを考えるとこの問題は解消しそうにありません。 古いバージョンが動かなくなった理由は不明ですが、メーカーとしては動くようにしたものを最新バージョンとして出しているわけで、今のところ対処法はなさそうです。 VirtualBoxは現在も独自フレームワークで動いているようで動作しますが、パフォーマンス・機能面で見劣りするため完全な代替にはなりません。 Adobe製品・仮想化ソフトウェアを利用していない場合は今のところ大きな問題はありませんが、使っている人にとっては問題ですし、長く使いたい最後のHackintoshとしては選びづらいところです。現時点ではIntelより優れた製品なので使いたいところなんですが・・・Zen 4とそれ以降
AMD CPUはそもそも非対応のものをパッチで動かしているため、見方を変えればMacの製品ロードマップと関係なく動作させることができると言えます。 そのため、2022年に出るZen 4以降であってもパッチがアップデートされていけば︵あるいはそのままでも︶macOSを動作させられる可能性は高そうです。 今後のmacOSの方の変更でパッチだけではどうにもならなくなる︵AMD CPUで動作させられなくなる︶可能性もありますが、M1移行を控えた今x86 CPU周りで大きく手が入ることも無いと思うので、引き続きZen 3までと同等のレベルでは動くんじゃないかとは思っています。 ただ、互換性の問題はZen 3までと同様に残るので、こちらも第一の選択肢にはしづらいところです。 ちなみに、Zen 4からDDR5になりそうで、DDR5時代になる間にIntel Macは終わってしまいそうですが、DDR3時代のmacOS El CapitanをDDR4マシンに入れても動かせたので、メモリはあまりハードウェア互換性を気にしなくて良い領域のようです。Ryzen Threadripper
Socket AM4のRyzenと同様に、ThreadripperもmacOSを動作させることは可能です。Threadripper 3000系は当初動きませんでしたが今では動くようです。 AMDであることによる互換性問題はありますが、そこに目を瞑れるのであれば超ハイエンド構成が組めるThreadripperで長く戦うのもアリかもしれません。 個人的には4chメモリやPCIeレーン数などの足回りは魅力的なものの、いかんせん高すぎますが・・・あえて16コアの製品とか出てくれると良いんですけどね。Comet Lake︵第10世代Core︶
やっとIntelの話に入ります。 こちらは既に搭載製品︵iMac︶のある現行製品なので動作実績があります。問題は、Hackintosh以前に製品として微妙ということです。なにせ使い古された14nm・Skylakeアーキテクチャの最終世代であり、コアが増えただけで中身は2015年のCPUです。 しかしながら、後述の製品がどれもHackintoshにおいて互換性問題を解消できない可能性があり、最悪の場合Comet Lake Hackintoshを使い続けなければならないことを覚悟する必要がありそうです。 その場合は、最後に組むのであれば消費電力が凶悪だとしても10コアのi9を選ぶことになるんでしょうかね・・・Cascade Lake-X︵Core i9-10980XE等︶
HEDT向けCPUです。Mac Proに採用されたCPUであるため一応組むことはできます。ただこれもアーキテクチャはSkylakeなため、コスパ・ワッパともに最悪の部類になってしまいます。 互換性を高めつつできるだけ性能を高める場合に残された選択肢にはなりますが、できるだけ選びたくはないです。 というか自分の場合3700X導入前に、ほぼ中身が同じSkylake-XのCore i7-7820Xを3年前から使っていたので、今更戻りたくないですしね・・・Rocket Lake︵第11世代Core︶
近日出るIntelの最新デスクトップCPUです。ただしまだ14nm。 14nmではあるもののアーキテクチャが刷新されるので、シングルスレッド性能はやや改善すると思われます︵消費電力はお察し︶。 問題はこれを搭載したMacが出るかどうかです。デスクトップ専用CPUなので、現実的にはiMacに搭載されるかどうか︵Mac miniはライフサイクルが長い上にM1移行が始まっているので出ない︶。 しかしながら現在のところiMacがIntelでもう1回アップデートされるという噂はなく、その場合はネイティブで動作させることはできないということになります。 ただし、前述の通りRyzenを動かすことができていると考えると、同様のパッチでRocket Lakeを動かせるようになる可能性は結構あると思っています。 ︵AMDと異なり、Intel CPUは搭載製品が出るまで待てば良いだけなのでこれまでパッチが作られることはなかったですが、打ち止めになればAMDと同様にパッチ開発が進むと思われる︶ もちろんパッチを当てて動かすことになるわけで互換性は完全ではないでしょうが、命令セットは同じなので、AMD CPUを動かすよりは互換性が上がるとは思います︵特に仮想化周り︶。 後述しますがiGPUを動作させられる見込みが薄いという問題はありますが、自作機であればdGPUと組み合わせればCPUさえ動いてくれればいいので、選択肢にはなりそうです。Alder Lakeとそれ以降
2021年の後半には更にAlder Lake世代のCPUが出ると言われています。ここからついにデスクトップも10nm化。 時期的にこれが載ったMacが出る可能性はゼロでしょうから、パッチ動作が前提となります。 そういう意味ではRocket Lakeと同じなのですが、懸念はAlder Lakeでは大小コアのヘテロジニアス構成になると言われていることです。これの何がまずそうかというとカーネルのスケジューラが対応できないのではないかという点。 論理コアに優劣があるという点では現在も使われているHyperThreadingと同じで、また大小コアの構成もM1で採用されているのですが、どうやらAlder Lakeは大小コア構成の上更にHyperThreadingも有効になりそうという点が懸念です。 そうすると論理コアの種類が3種類︵ラージコアのみHTあり︶ないし4種類︵スモールコアもHTあり︶になってしまい、これまでのMacには無い構成になってしまうため、カーネルにパッチを当てようが動作させられない、動いたとしても性能が全然出ない可能性がかなりあります。 Alder Lakeはまだ先の製品なので製品構成はまったくの不明ですが、例えばi9は大小コア混在構成、i7はラージコアのみで構成、となったらi7ならちゃんと動くといったことがあるかもしれません。また、HTを切るようにBIOSでスモールコアの動作を切ることができれば動かせるとか。 Intel CPUがAMDに対して性能面で競争力を持てるのはこのあたりの世代からになりそうなので、パッチでもなんでもいいから動いてほしいところです。まとめ
まとめるとこんなところでしょうか。まだ出てない製品については期待値です。 もうIntel Macに載るアーキテクチャとしては既存のComet Lakeで打ち止めの可能性が高いので苦しいところです。 主に仮想化の問題でAMDをHackintoshの終わりまで使い続けるのは厳しそうですし、今更14nmを長期的に使う想定で組みたくもないので、Alder Lake以降がパッチで動かせることに期待したいと思います。
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