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[2009/02/20]

【第7回】ジャンクカメラで作るレンズバリア内蔵キャップ
[2009/01/26]


2008年

【第7回】ジャンクカメラで作るレンズバリア内蔵キャップ


一眼レフカメラ用交換レンズには、なぜレンズバリアが内蔵されないのか?

完成した「レンズバリア内蔵キャップ」を装着したZUIKO DIGITAL 25mm F2.8+E-420の全体像。我ながら、なかなかオシャレでカワイイ感じになったと思う
 4E-420ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8

 LC-43B便

 

 使

 

 便

 ZUIKO DIGITAL 25mm F2.8?

 ZUIKO DIGITAL 25mm F2.820mm43mm

 



 Caplio R7

 35mm1978XAXAFinePix ZT

 XA

 198090?

 
  

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セレクトしたのはご覧のキヤノン「オートボーイ ズーム デート」。レンズ鏡筒先端に「手動開閉式」のレンズバリアを内蔵しているのがポイントだ。今からちょうど20年前の1988年発売で、発売時価格は5万6,800円。キヤノン製コンパクトカメラとして、初めてズームレンズを内蔵した機種でもある。レンズバリア開閉レバーは電源スイッチを兼ねているが、これはジャンク品なので作動不能。その代わり100円で購入できた このカメラは基本的に全自動だが、35~70mmのズームリングの操作だけは手動式だ。しっとりした操作感のズームリングに連動して、カメラ内部のファインダーレンズはもちろん、ストロボ用コンデンサーレンズも前後に動くので面白い。ズームレンズと連動して内蔵ストロボの照射角が変わる機構は、現在のデジタルカメラでは省略されてしまっている

フィルムカメラなので、当然の事ながら裏蓋がパッカンと開く。レンズ後玉が大口径なのが印象的で、前玉が小口径なのとは対照的だ。これは、一眼レフ用のレトロフォーカスレンズを前後逆にした、「逆レトロフォーカス」という設計手法が採用されている為だろう。レンズをボディ内にコンパクトに収めるための手法で、これもオリンパスXAが元祖である。こんな風にカメラの機構が見た目で類推できるのも、フィルムカメラならではの楽しみである E-420と並べてみたが、オートボーイ ズーム デートは結構デカイ。昔の多機能コンパクトカメラは、当時も「コンパクトとは呼べないくらいにデカイ」と揶揄されていた。しかしカメラはこれくらい存在感があるほうが、「撮るぞ」という気になるし、撮られる方も「ちゃんと写らなきゃ」という気構えになるかもしれない。ちなみに「オートボーイ」はキヤノンのフィルムコンパクトカメラのブランドだが、デジタルカメラにその名が引き継がれることは無かった

レンズバリアユニットの摘出

カメラの観察も十分にしたことだし、次はいよいよ分解作業に掛かる。カメラの分解はどこから始めるかがキモになるが、これは経験と勘によるしかない。まずはズームリングのゴムを外してみた すると側面を止めるネジが見えてきたので、これを外すことにする

プラスチックの先端カバーが外れ、バリアの可動機構が姿を現す。そしてさらにネジを外してゆく
バリアの内部機構が完全にむき出しになった。ベアリングなども使われているが、こういう部品がばらけても元通りに組み立てられるよう、記録写真を撮るのは大切だ。電気接点が見えるのは、レンズバリアの開閉が電源スイッチと連動しているため。しかしまだ部品がレンズ鏡筒に固定されているので、さらにネジを外す

ようやくカメラからレンズバリア周辺のパーツを全て取り外すことができた。レンズバリアを構成するユニットは、手前に並べた3つに分かれている レンズバリアのユニットだけを、ネジ止めして組み立ててみた。この状態で、バリア開閉機構が問題なく作動することも確認する

レンズバリアユニットを裏から見たところ。このユニットはカメラ本体と電源スイッチのリード線がつながっていたが、これはニッパーでカットした。このパーツを、レンズキャップにどう加工するかが問題である

レンズバリアユニットの組み込み工作

いろいろ考えた結果、49mmフィルターのガラスを外した枠(左)をレンズキャップの外枠として流用することにした。フィルターのブランドがPENTAXなのは、ねじ込み枠が深く改造に適しているため。さらに43mm→49mmのステップアップリング(右)を組み合わせ、レンズに装着することにした 試しにはめ込んでみたところ、レンズバリアユニットの外径がフィルター枠内径よりほんの少し大きく、きっちり収まらないことが判明した

そこでレンズバリアユニット外周の出っ張りを、カッターナイフで削り落とすことにした。作業はあわてず丁寧に、怪我をしないようなカッターの持ち方を工夫しながら行なう さらにフィルターリング内側の一部を、丸ヤスリで微妙に削る。この部品に、レンズバリアユニットの一部が干渉してしまうのだ

パーツを調整した結果、今度はレンズキャップユニットがフィルター枠にキチンと収まった 裏返して見ると、フィルター枠に部品がちょうどピッタリはまっているのが分かる

さらに43mm→49mmのステップアップリングを取り付けると、いよいよレンズに装着可能となる レンズに装着すると、とりあえずこんな感じに。部品同士はまだ接着していないが、仮組みとしてはひとまず完成。なかなかコンパクトでスマートに収まった。しかし、オリンパスのレンズなのに「CANON」や「ASAHI PENTAX」などの文字が入ったままなのはどうも気になる

そこで再びレンズバリアユニットをばらし、前カバーのパーツをつや消しブラックで塗装してみた。塗料はプラモデル用の缶スプレーを使用。塗装の際、部品を両面テープで割り箸に固定するのは模型工作での基本だ。黒一色だと寂しい気がしたので、レンズ開閉レバーを赤で塗装した。赤塗料は透明度が高いので、下地に白を塗ると発色が良くなる 塗装したパーツを再び組み立てるとこんな感じに。フィルター枠の「ASAHI PENTAX」などの彫刻文字にはブラック塗料を流し込み、目立たなくさせた。一方、シルバーの彫刻ラインには開閉レバーと同じ赤塗料を流し込み、アクセントとした。レンズバリアユニットをフィルター枠にエポキシ系接着剤でしっかり固定すると「レンズバリア内蔵キャップ」の完成である

完成したレンズバリア内蔵キャップをレンズに装着してみる。仮組みのときに気になった余計な文字がなくなりだいぶスッキリした。バリア開閉レバーの赤も、レンズ指標の赤と上手くマッチしたようだ レンズバリアを開いたところ。バリアはレバー操作のワンタッチで開閉し、迅速な撮影が可能である。バリアユニットの前カバーは、レンズフードとしての効果も期待できそうだ

レンズバリア開閉の様子。小気味良いクリック感で、確実に作動する。こんなアクセサリーが売っていたら、自分はぜひ買いたいと思うだろう(笑)


 
 便

 1988αAF Zoom 35-80mm F4-5.6AF Zoom 80-200mm F4.5-5.6

 

 

 使20

 E-420

 !!

 

 便


 
 
1,024


駐車場の空きスペースを示す、手作り感あふれる看板。イーゼルに掛けられたデッサンのように作られているのがカワイイ 同じ駐車場にあった別の看板。材料の板が足りなかったためか、こちらの文字は紙に書いてある。こうした工作もまた切り貼り(ブリコラージュ)である

分別しない3人が書類送検されてゆく……女の子もかなりションボリした様子 立川競輪場の塀の前に、ゴミ集積所が設置されていたのだ。壁画に描かれた3人の親子には、何の罪もないのである

「火気厳禁」と書かれたすぐ後ろに、真っ赤なカキがせまる。危険なようでのどかな風景 建物の隙間が、看板のリサイクル品でふさがれている。元の看板の文字は……「バスガスバクハツ」?

呼び鈴ボタンに手のイラスト、インターホンの周囲には模様が描かれている。こういう生活の中に生まれるアートの心が、妙に愛おしく感じられる 左のインターホンの周囲を引きで撮影してみたが、全体に何となくアートな雰囲気が漂っている

かなり年代ものと思われるキャラクターの2人。現代の「萌え」とは異なり、アブラギッシュでクドイ感じ 少年の自転車のかごには「イナズマン」の頭が……これでだいたいの年代が特定できるだろう

ブリキにペンキで書かれた看板だが、長年の時を経て何とも言えない深い色合いに変化している。このアンティークな看板をお店に持ち込んだら、高価買入してくれるだろうか? 文字の一部が蒸発して意味不明になった看板。もう何年もずっと、ここから先もずっと毎日が「本日交通」

※訂正(1月27日13時):記事初出時、「AF Zoom 35-80mm F4-5.6」の発売年を1989年と記載しておりましたが、正しくは1988年でした。また、レンズバリア内蔵レンズとして「AF Zoom 80-200mm F4.5-5.6」を本文に追加しました。



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  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/labo_backnumber/



糸崎公朗
1965年生まれ。東京造形大学卒業。美術家・写真家。「非人称芸術」というコンセプトのもと、独自の写真技法により作品制作する。主な受賞にキリンアートア ワード1999優秀賞、2000年度コニカ ミノルタフォト・プレミオ大賞、第19回東川賞新人作家賞など。主な著作に「フォトモの街角」「東京昆虫デジワイド」 (共にアートン)など。 ホームページはhttp://www.itozaki.com/

2009/01/26 12:09
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