メール コピー 2013.04.27 # 「息子と僕のアスペルガー物語」 # ライフ 奥村隆「息子と僕のアスペルガー物語」【第26回】息子の心に、ナイフのように突き刺さった言葉 奥村 隆 プロフィール ︻第25回︼はこちらをご覧ください。 急に無口になり、笑わなくなった どうやら、悪い予感が現実になったらしい。 新学年が始まって2週間あまり経った先週のこと。息子は、小学校に通うことができなくなってしまった。 すでに記したように、ほんの1ヵ月前の3学期が終わる頃、息子は、自分から楽しく学校に通うようになっていた︵第25回参照︶。帰宅すると、﹁︵学校が︶楽しかった~﹂と言い、友達もできた。それらは小学校に入学して以来、初めてのことで、僕も妻も﹁これは奇跡ではないか﹂と涙を流して喜んだ。 今度は、それが真逆の方向に暗転して、最悪の状態に陥ってしまった。詳しくは後で説明していくが、息子は精神的に強いショック状態に陥り、日常的な行動をする気力さえ失ってしまったのだ。こういう事態になると、﹁発達障害を抱える子供の言動を予測するのは難しい﹂とつくづく思う。 僕自身もASDを抱えているが、それがどんな言動や症状となって表れるかは、個々人によってまったく異なる。息子と僕では﹁時間にものすごく細かい﹂﹁数字に徹底的にこだわる﹂﹁人の気持ちに配慮できない﹂などの共通点があるが、全然重ならない特徴もある。 だから、息子のことについては﹁一寸先は闇﹂だ。少しくらい物事が順調に進んだからと言って、油断は大敵だな---。そう思って、僕は溜め息を吐いた。 始業式と入学式が終わってから、息子は急に無口になった。家にいても、ずっとぼんやりした無表情になって、笑うこともなくなったのだ。 いつもは食事の席でも、学校で勉強したことをあれこれ喋ったり、テレビを見ながらニュースや天気予報の内容を繰り返したりしているのだが、そういうことがふっつりとなくなった。黙ったまま食事を終えると、視点の定まらないうつろな目をして自室に戻っていく。 これまでも、たまに似たようなことがあったが、数日間で終わった。しかし今回は、2週間も息子の無気力、無表情が続いている。 そのため、今週の月曜日の朝を僕は憂鬱な気分で迎えた。﹁また息子が今日から1週間、学校に行って、ますます変調がひどくならないだろうか﹂という心配のあまり、眠りが浅くなってしまい、5時には起きてリビングで水を飲みながら、ぼんやりしていた。6時になると、やはり息子のことが心配で落ち着かなかったのだろう、妻も浮かない顔で起き出してきた。 そして、﹁おかしいよね、どうしようか﹂と相談してみたが、夫婦2人で頭を突き合わせたところで、急に画期的なアイディアが出るはずもない。かといって、息子にあれこれ問いただして、変なプレッシャーを与えたり心の傷を残したりするのは避けたい。では、医師に相談しようか・・・など、あれこれと2人で迷い続け、考えはまとまらなかった。 この続きは、プレミアム会員になるとご覧いただけます。 現代ビジネスプレミアムにログイン 現代ビジネスプレミアム会員になれば、過去の記事がすべて読み放題!無料1ヶ月お試しキャンペーン実施中 メールアドレス パスワード 次回から自動ログインを行う パスワードをお忘れの方 すでに会員の方はこちら 記事をツイート 記事をシェア 記事をブックマーク 関連記事