2018.01.19
# 企業・経営

この10年、日本の大企業で「品質問題」が続発する理由がわかった

カギはP→D→C→Aの「次の文字」

根本にある「TQM」の衰退

新年早々に開催された米ラスベガスでの家電見本市や、現在デトロイトで始まった北米自動車ショーでは、各社とも自動運転などの最新技術を提案した。こうした新技術がニュースの話題にならない日はない。1月16日付日本経済新聞は1面で、島津製作所が人工知能を使って2分間でがんを判別できる装置を開発したと報じた。

技術革新によって、新しい商品がこれから続々と生まれてくるだろうが、昨今の日本企業で起こるトラブルを見ていると、肝心の「品質」は大丈夫なのだろうかと思わざるを得ない。

今年に入ってすぐに、旭硝子の子会社で顧客と取り決めた検査を一部実施せずに出荷していなかったことが発覚した。昨年は、日産自動車やSUBARU(スバル)による「無資格者の完成車検査」が世間を騒がしたほか、日本経団連会長企業である東レの子会社でも製品検査データを改ざんしていた。

昨年11月、謝罪する東レの日覺昭廣社長ら(Photo by gettyimages)

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その後、1950年に米国からデミング博士が来日、統計学的な品質管理の手法を伝授、翌51年には品質管理に関して優れた活動をしている企業に贈られる「デミング賞」が創設された。第1回目の受賞企業は「富士製鉄」(現新日鉄住金)や「富士製鉄」(同)など4社。以降、日本の多くの製造業が「デミング賞」を取ることが品質で一流の証と考え、活動を活発化させた。日本企業が欧米に追いつけ追い越せの精神で品質力を向上させたことが、「日本製」がかつて世界市場を席巻することにつながった。

米国製品が日本製に駆逐されたことを反省し、米国政府は1980年代後半に当時の商務長官マルコム・ボルトリッジ氏が中心となって日本のTQM活動をベンチマークし、品質向上を国家プロジェクトと位置付けた。顧客サービスや品質の優れた企業に対する「米国国家経営品質賞」も創設したほどだ。

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