ジョン・ヴィッカーズ
略歴
1926年にカナダのサスカチュワン州プリンス・アルバートに生まれる。幼少時には聖歌隊で歌い、その後商店などで働きながら声楽をメリー・モリソンに学び、1950年に奨学金を得て、トロント・ロイヤル音楽院に進学し、ジョージ・ランバートに師事。その翌年の1951年からトロントを中心に演奏活動を行った。
初めはオラトリオの歌手として活動していたが、1952年にカナダ放送のコンクールで第1位となり、1954年にはカナダ・オペラ・カンパニーでジョルジュ・ビゼーの﹃カルメン﹄のドン・ホセを歌ってオペラ歌手としてデビューを果たす。デビュー後はヨーロッパで活動するようになり、1956年ストラトフォード音楽祭でベンジャミン・ブリテンの﹃ルクレティアの陵辱﹄に出演し、1957年には、コヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラでジュゼッペ・ヴェルディの﹃仮面舞踏会﹄のリッカルドを歌って成功を収め、1958年にはバイロイト音楽祭にも出演し、﹃ワルキューレ﹄のジークムントを歌った。また同年にはダラスで、ソプラノ歌手マリア・カラスとルイジ・ケルビーニの﹃メデア﹄を歌っている。
1959年からはウィーン国立歌劇場、1960年にメトロポリタン歌劇場にも招かれるようになり、ヘルデン・テノールとして名声を博した。1961年にルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの﹃フィデリオ﹄のフロレスタンを歌った他、1966年以来ザルツブルク復活祭音楽祭にも出演し、リヒャルト・ワーグナーの﹃トリスタンとイゾルデ﹄のトリスタン、﹃ワルキューレ﹄のジークムント、ヴェルディの﹃オテロ﹄のオテロなとを歌った。1967年にはブリテンの﹃ピーター・グライムズ﹄の主人公を歌い、以降ロンドンでたびたび同役を歌っている。
1979年にコヴェント・ガーデン・ロイヤル・オペラ日本公演で初来日し、当たり役のピーター・グライムズを歌って絶賛を受ける。
1968年にカナダ勲章を受章し、1969年にはカナダ政府から﹁サー﹂の称号を授与される。
私生活では、1953年に結婚し、5人の子供がいる。
外侮リンク
- Interview with Jon Vickers
- [1] YouTube: Jon Vickers in an excerpt from Otello, with Cornell MacNeil (1978).
伝記
- Jon Vickers: A Hero’s Life by Jeannie Williams, Northeastern University Press, 1999. ISBN 1-55553-408-2