レダと白鳥 (レオナルド)

これはこのページの過去の版です。2001:240:2415:22:357f:7ce4:3a3d:202c (会話) による 2022年3月26日 (土) 22:28個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。


: Leda col cigno, : Leda and the Swan1692姿24
『レダと白鳥』
イタリア語: Leda e il cigno
英語: Leda and the Swan
作者レオナルド・ダ・ヴィンチ(逸名画家、おそらくチェザーレ・ダ・セストによる複製の1つ)
種類テンペラ、板
所蔵現存せず(おそらく破棄あるいは紛失)

概要

 
ラファエロによる模写。

2112Daniel Arasse[1]15031504姿1508151311505[2]姿241Jacomo Alfeo[3]

[2][4]3[5]16[6]使1625殿243[7]1625[8]殿殿154016251642169216941775[2]

稿17211730[2]

ひざまずくレダ

 
 

1503[9]

ひざまずくレダの習作(チャッツワース版)

1504年頃。紙に黒チョーク、ペン・ブラウンインク、筆・ブラウンウォッシュで描かれている。デヴォンシャー公爵のコレクションとしてチャッツワース・ハウスに所蔵されている。レオナルド・ダ・ヴィンチによるこの習作はロッテルダムボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館に所蔵されている素描による習作と似ている。フランソワ・ヴィアート(Françoise Viatte)は「レオナルド・ダ・ヴィンチが使用した腐食性の茶色のインクは構図の暗い影をいくらか損なわせた」と述べている[10]。 選択したポーズは芸術家のアドバイスに対応していると思われる。「もし何らかの理由で後ろ向きまたは横向きになっている人を表現したい場合は、あなたは彼女の足とすべての手足を彼女が頭を回している方向に動かしてはいけないが(・・・)関節に応じてその動きを分解しなさい[11]」。

ひざまずくレダの習作(ボイマンス版)

制作年は1504年頃。紙にペン、ブラウンインク、黒チョークで描かれている。ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館に所蔵されている。右下隅に17世紀から18世紀初頭のものと思われる「Lionardo da Vinci」の署名がある。肖像画家トーマス・ローレンス卿が所有したのち、オランダ国王ウィレム2世が入手した。王の死後の1850年8月12日に一度は売りに出されたが、娘のザクセン=ヴァイマル=アイゼナハ大公妃のソフィー・ファン・オラニエ=ナッサウが相続し、以降は大公家が所有した。20世紀に入って大公家を離れたのち複数の所有者を経て1940年にロッテルダムのD・G・ファン・ベニンゲンが入手し、その翌年にボイマンス美術館財団に寄贈された。

馬の隣に描かれた素描

 
 

21503[12]

ジャンピエトリーノ版


174917568[13][13]18061835

調[13]1Zöllner15081513[14]

立っているレダ

 
 
 

沿

チェザーレ・ダ・セスト版


RL.12516r[15]

ボルゲーゼ美術館版


169319調24姿[15]

ウフィツィ美術館版


Spiridon Ledamarquis de la RozièreBaron de RoubléLudovico Spiridon1948[16][17]

フィラデルフィア美術館版


1917[15][18]

ヘイスティング版

ヘイスティングズ侯爵のコレクションに所属していた作品。現在はロンドンのギブス・コレクションに所蔵されている[15]

腰巻のレダ

現在は所在不明の作品である。裏面に18世紀頃の「Leonardo dauincj」の銘記がある。2000年にチューリッヒで開かれた展覧会に出品された以外はほとんど何も知られていない。しかしレダと白鳥のポーズや卵と子供たちの配置などからレオナルド派のレダと白鳥から派生した作品であることは明白である。レダの腰の布は本作品が猥褻と考えられた後代の加筆と思われる[19]

ルーヴル美術館の素描による模写

ルーヴル美術館所蔵の模写はレオナルド・ダ・ヴィンチの『レダと白鳥』に基づく素描による模写である。制作者の名前は伝わっていないが、おそらく16世紀頃のもとされている。一説によると作者は彫刻家バッチョ・バンディネッリで、1530年頃にバルジェロ美術館のブロンズ製の立像の『レダと白鳥』を制作している。ただし白鳥の位置やレダの顔と手の向きがこの素描とは左右逆である[19]

ラファエロの模写

ロイヤル・コレクションとして、ウィンザー城の王立美術館に所蔵されている作品である。青年時代のラファエロがおそらくレオナルド・ダ・ヴィンチのオリジナルに基づいて制作した素描による模写である。こうした模写を行うことでラファエロがレオナルド・ダ・ヴィンチの芸術を吸収したことはよく知られており、ラファエロが本作品から影響を受けて『ガラテイアの勝利』といった作品を制作したことが指摘されている。

ジャンピエトリーノ『ヴィーナスとキューピッド』

この作品はミラノのネンビリーニ・コレクションに所蔵されている。レオナルド・ダ・ヴィンチの弟子ジャンピエトリーノに帰属されている本作品は、ヴィーナスのポーズにレダとの明確な影響を見ることができる。ジャンピエトリーノの他の作品との関連などから1510年代半ばの作と推定している[20]

レダの頭部の習作

 
レダの頭部の習作(Inv no.12516)。

レオナルド・ダ・ヴィンチのレダの頭部の習作が何点か残されている。その多くはロイヤル・コレクションの一部としてウィンザー城の王立図書館に所蔵されている。

ウィンザー城版:Inv no.12515


[21]questa sipo / levare eppo / re sanza gu/ asstarsi[22]

ウィンザー城版:Inv no.12516


14[22]

ウィンザー城版:Inv no.12517


12515[23]

ウィンザー城版:Inv no.12518

紙にペンとインク、黒チョークで描かれている。髪は手の込んだ三つ編みでコイル状に固定されている[24]

スフォルツェスコ城美術館版

スフォルツェスコ城美術館に所蔵されているもので、紙に赤チョークで描かれている。美術史家ジョヴァンニ・モレッリは1890年にソドマに帰属したが、アドルフォ・ヴェントゥーリ英語版は1921年にレオナルド・ダ・ヴィンチに帰属した。カルロ・ペドレッティ英語版アレッサンドロ・ヴェッツォージ英語版はヴェントゥーリを支持したが、異論も多く、ピエトロ・マラーニ(Pietro Marani)やマリア・テレーザ・フィオリオ(Maria Teresa Fiorio)たちはレオナルド・ダ・ヴィンチからの模写と考えており、フィオリオはジャンピエトリーノの作ではないかとしている[22]

影響


[25][4]

脚注



(一)^ Daniel Arasse, Léonard de Vinci, le rythme du monde, Hazan p. 420-428.

(二)^ abcd 2017, p. 83-84.

(三)^ Ms Windsor 128881.

(四)^ abp.90

(五)^ Manuscrit conservé à la bibliothèque Laurentienne de Florence, publié par André Chastel dans Léonard de Vinci, Traité de la peinture, Berger-Levrault, 1987, p.34-38

(六)^ Giovann Paolo Lomazzo, Trattato della Pittura, 1584.

(七)^ Manuscrit conservé à la Bibliothèque Barberini, cité par Françoise Viatte dans Léonard de Vinci, Dessins et manuscrits, rmn, 2003, p.301-304.

(八)^ Wallace, Robert (1966). The World of Leonardo: 14521519. New York: Time-Life Books. pp.127, 160, 161.

(九)^ Études de cheval cabré et de cavaliers ; Léda et le Cygne (recto) ; Mortiers tirant des boulets (verso). Plume, encre et pierre noire, Windsor, RL 12337.

(十)^ Françoise Viatte, in Léonard de Vinci, Dessins et manuscrits, RMN 2003, p.301 - 304.

(11)^ Ms A, f.110 r.

(12)^ Recto: A horse and rider, and studies for Leda. Verso: Mortars bombarding a fortress c.1503-4. . 2021815

(13)^ abc 2017, p. 69-70.

(14)^ Frank Zöllner, Léonard de Vinci, tout lœuvre peint et graphique, Taschen, 2003, p.246.

(15)^ abcd 2017, p. 69.

(16)^ Rodolfo Siviero, historien d'art ayant étudié à Florence et à Berlin ; L'opera ritrovata: omaggio a Rodolfo Siviero. Firenze, Cantini,1984.

(17)^  2017, p. 68.

(18)^ Leda and the Swan. . 2021721

(19)^ ab 2017, p. 70.

(20)^  2017, p. 71.

(21)^ The head of Leda c.1505-6, RCIN 912515. . 2021721

(22)^ abc 2017, p. 67-68.

(23)^ The head of Leda c.1505-6, RCIN 912517. . 2021721

(24)^ The head of Leda c.1505-6, RCIN 912518. . 2021721

(25)^  2017, p. 71-73.

参考文献


: , : , ︿ 3 / 1979 NCID BN02925020:80011392https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001441960-00 

1820173056-087NAID 120006410240 

Françoise Viatte, in Léonard de Vinci, Dessins et manuscrits, RMN (2003)

関連項目