「機関委任事務」を編集中
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機関委任事務とされた事務は、法的にはあくまで委任した﹁国の事務﹂であって、﹁地方公共団体の事務﹂とは観念されない。このため当該事務に関しては地方公共団体の[[条例]]制定権が及ばず、[[地方議会]]の関与も制限されていた。機関委任事務について国は包括的な指揮監督権を有し︵[[通達]]も参照︶、これを制度的に担保するものとして[[職務執行命令訴訟]]が存在した。国は、都道府県知事が機関委任事務の管理執行について違法や怠慢があった場合に、職務執行命令訴訟を経て主務大臣による[[代執行]]を行うことができるうえ、最終的には[[内閣総理大臣]]による知事の罷免が可能であった。ただし、実際にこの制度に基づいて知事が罷免された例はなく、公選による知事の身分を奪うことは不適当であるから、知事罷免制度については[[1991年]]の地方自治法改正により廃止された<ref>[https://www.soumu.go.jp/main_content/000032771.pdf 職務執行命令訴訟制度の変遷]</ref>。
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機関委任事務とされた事務は、法的にはあくまで委任した﹁国の事務﹂であって、﹁地方公共団体の事務﹂とは観念されない。このため当該事務に関しては地方公共団体の[[条例]]制定権が及ばず、[[地方議会]]の関与も制限されていた。機関委任事務について国は包括的な指揮監督権を有し︵[[通達]]も参照︶、これを制度的に担保するものとして[[職務執行命令訴訟]]が存在した。国は、都道府県知事が機関委任事務の管理執行について違法や怠慢があった場合に、職務執行命令訴訟を経て主務大臣による[[代執行]]を行うことができるうえ、最終的には[[内閣総理大臣]]による知事の罷免が可能であった。ただし、実際にこの制度に基づいて知事が罷免された例はなく、公選による知事の身分を奪うことは不適当であるから、知事罷免制度については[[1991年]]の地方自治法改正により廃止された<ref>[https://www.soumu.go.jp/main_content/000032771.pdf 職務執行命令訴訟制度の変遷]</ref>。
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[[明治憲法]]下において機関委任事務は、[[市町村]]の[[執行機関]]のみに適用されていたが、[[戦後改革]]により[[都道府県]]が﹁完全自治体化﹂されるにあたり、従前の[[官庁#中央官庁と地方官庁|地方官庁]]としての知事の権限が公選知事や[[教育委員会]]等への機関委任事務として位置づけ直された |
[[明治憲法]]下において機関委任事務は、[[市町村]]の[[執行機関]]のみに適用されていたが、[[戦後改革]]により[[都道府県]]が﹁完全自治体化﹂されるにあたり、従前の[[官庁#中央官庁と地方官庁|地方官庁]]としての知事の権限が公選知事や[[教育委員会]]等への機関委任事務として位置づけ直された。以後、[[福祉国家]]としての日本の歩みと共に機関委任事務の範囲は拡大を続け、特に都道府県の事務の相当部分を占めるに至っていた。
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地方公共団体の公選の首長等を国の下部機関と位置づけるこの制度は、かねてより[[地方自治]]を阻害するものとして批判が強 |
地方公共団体の公選の首長等を国の下部機関と位置づけるこの制度は、かねてより[[地方自治]]を阻害するものとして批判が強かったが、1999年の地方分権一括法による[[地方自治法]]等の改正によって2000年4月に廃止に至った。地方公共団体が処理する事務はすべて﹁地方公共団体の事務﹂となり、かつて機関委任事務とされていた事務の大半は[[自治事務]]及び[[法定受託事務]]に再編され、一部の事務は国の直接執行とされるか、事務自体が廃止された。
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また、機関委任事務制度の下では、[[都道府県]]が国の機関として市町村に対する指導監督を行うことが多かったが、機関委任事務制度の廃止により、都道府県と市町村もまた対等の関係として位置づけられることとなった。
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また、機関委任事務制度の下では、[[都道府県]]が国の機関として市町村に対する指導監督を行うことが多かったが、機関委任事務制度の廃止により、都道府県と市町村もまた対等の関係として位置づけられることとなった。
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