IPアドレス
IPアドレス(アイピーアドレス、英: IP address)は、Internet Protocol(IP)で通信相手を識別するための番号である。インターネットアドレスとも呼ばれる[1][2]。
概要
編集表記
編集gethostbyname()
や inet_aton()
など、IPアドレスを解釈する実装の一部では以下のような表記も許している。
●数字が3組のときは、3番目は16ビットと解釈される。
●︵例︶192.168.1 (= 192.168.0.1)
●数字が2組のときは、2組目は24ビットと解釈される。
●︵例︶192.11010049 (= 192.168.0.1、168 × 2562 + 0 × 256 + 1= 11010049)
●ドットがないときは、単一の32ビット数と解釈される。ロングIPアドレスなどとも呼ばれる。
●︵例︶3232235521 (= 192.168.0.1、192 × 2563 + 168 × 2562 + 0 × 256 + 1= 3232235521)
●各数字は0xを前置すると16進数、0を前置すると8進数と解釈される。
●︵例︶0xC0A80001
(= 192.168.0.1)
●︵例︶0xC0.0250.1
(= 192.168.0.1、(C0→192、250→168))
これらの表記は、URL StandardでURLの一部分として定義されている[3][4]。ただし、オペレーティングシステム︵OS︶やアプリケーション︵例‥ウェブブラウザソフト︶、ネットワーク機器などによっては利用できないことがある。また悪意のある者がフィッシングサイトなどのURLを偽装するために用いる場合もあるので、注意が必要である。
アドレスクラス
編集IPアドレスは、次の5つのアドレスクラスに分かれている。
クラス | アドレス範囲 | 用途(先頭ビットの値) |
---|---|---|
クラスA | 0.0.0.0 - 127.255.255.255 | ネットワークアドレス長は8ビット、ホストアドレス長は24ビット。RFC 791で規定。(0-で始まる) |
クラスB | 128.0.0.0 - 191.255.255.255 | ネットワークアドレス長は16ビット、ホストアドレス長も16ビット。RFC 791で規定。(10-で始まる) |
クラスC | 192.0.0.0 - 223.255.255.255 | ネットワークアドレス長は24ビット、ホストアドレス長は8ビット。RFC 791で規定。(110-で始まる) |
クラスD | 224.0.0.0 - 239.255.255.255 | IPマルチキャスト専用。RFC 1112で規定。(1110-で始まる) |
クラスE | 240.0.0.0 - 255.255.255.255 | 将来の使用のために予約されている。RFC 1112で規定。(1111-で始まる) |
CIDR表
編集CIDR | 開始アドレス | 終了アドレス | 含まれるアドレス数 | 二進法表記したプレフィックス部分のアドレス |
---|---|---|---|---|
69.208.0.0/0 | 0.0.0.0 | 255.255.255.255 | 4,294,967,296 | ********.********.********.******** |
69.208.0.0/1 | 0.0.0.0 | 127.255.255.255 | 2,147,483,648 | 0*******.********.********.******** |
69.208.0.0/4 | 64.0.0.0 | 79.255.255.255 | 268,435,456 | 0100****.********.********.******** |
69.208.0.0/8 | 69.0.0.0 | 69.255.255.255 | 16,777,216 | 01000101.********.********.******** |
69.208.0.0/11 | 69.192.0.0 | 69.223.255.255 | 2,097,152 | 01000101.110*****.********.******** |
69.208.0.0/12 | 69.208.0.0 | 69.223.255.255 | 1,048,576 | 01000101.1101****.********.******** |
69.208.0.0/13 | 69.208.0.0 | 69.215.255.255 | 524,288 | 01000101.11010***.********.******** |
69.208.0.0/14 | 69.208.0.0 | 69.211.255.255 | 262,144 | 01000101.110100**.********.******** |
69.208.0.0/15 | 69.208.0.0 | 69.209.255.255 | 131,072 | 01000101.1101000*.********.******** |
69.208.0.0/16 | 69.208.0.0 | 69.208.255.255 | 65,536 | 01000101.11010000.********.******** |
69.208.0.0/17 | 69.208.0.0 | 69.208.127.255 | 32,768 | 01000101.11010000.0*******.******** |
69.208.0.0/18 | 69.208.0.0 | 69.208.63.255 | 16,384 | 01000101.11010000.00******.******** |
69.208.0.0/19 | 69.208.0.0 | 69.208.31.255 | 8,192 | 01000101.11010000.000*****.******** |
69.208.0.0/20 | 69.208.0.0 | 69.208.15.255 | 4,096 | 01000101.11010000.0000****.******** |
69.208.0.0/21 | 69.208.0.0 | 69.208.7.255 | 2,048 | 01000101.11010000.00000***.******** |
69.208.0.0/22 | 69.208.0.0 | 69.208.3.255 | 1,024 | 01000101.11010000.000000**.******** |
69.208.0.0/23 | 69.208.0.0 | 69.208.1.255 | 512 | 01000101.11010000.0000000*.******** |
69.208.0.0/24 | 69.208.0.0 | 69.208.0.255 | 256 | 01000101.11010000.00000000.******** |
69.208.0.0/25 | 69.208.0.0 | 69.208.0.127 | 128 | 01000101.11010000.00000000.0******* |
69.208.0.0/26 | 69.208.0.0 | 69.208.0.63 | 64 | 01000101.11010000.00000000.00****** |
69.208.0.0/27 | 69.208.0.0 | 69.208.0.31 | 32 | 01000101.11010000.00000000.000***** |
69.208.0.0/28 | 69.208.0.0 | 69.208.0.15 | 16 | 01000101.11010000.00000000.0000**** |
69.208.0.0/29 | 69.208.0.0 | 69.208.0.7 | 8 | 01000101.11010000.00000000.00000*** |
69.208.0.0/30 | 69.208.0.0 | 69.208.0.3 | 4 | 01000101.11010000.00000000.000000** |
69.208.0.0/31 | 69.208.0.0 | 69.208.0.1 | 2 | 01000101.11010000.00000000.0000000* |
69.208.0.0/32 | 69.208.0.0 | 69.208.0.0 | 1 | 01000101.11010000.00000000.00000000 |
- 表の見方の例
- 69.208.0.0/16は、69.208.0.0から69.208.255.255までの65,536個のアドレスを含む。
- 69.208.0.0/24は、69.208.0.0から69.208.0.255までの256個のアドレスを含む。
スコープ
編集通信可能な範囲のことをスコープという。IPアドレスは、それぞれにスコープが決められている。(→一覧)
グローバルIPアドレス
編集後述するプライベートIPアドレス、リンクローカルアドレス、特殊用途のIPアドレスなどを除いたIPアドレスは「グローバルIPアドレス」と呼び、インターネットの接続用に利用され、重複が発生しないように管理される。そのため、ICANNを頂点とした階層的な委譲関係によって、世界的な管理が行われている。
通常、パソコンやルーターなどをインターネットに接続すると、ISPに割り振られているグローバルIPアドレスの中の1つがパソコンなどに割り当てられる。
プライベートIPアドレス
編集プライベートIPアドレス(ローカルIPアドレス)は、プライベートネットワーク(外部から利用できない社内LANなど)のアドレスとして使うことができる。異なるプライベートネットワークを相互接続してルーティングすることも可能である。
プライベートIPアドレスとして、次のアドレス空間が予約されている。ネットワークの規模に応じて、使い分ける必要がある。
クラス | 範囲 | サブネットマスク | アドレス数 |
---|---|---|---|
クラスA | 10.0.0.0 - 10.255.255.255 | 255.0.0.0 | 16,777,216(16,777,216 × 1 サブネット) |
クラスB × 16 | 172.16.0.0 - 172.31.255.255 | 255.240.0.0 | 1,048,576(65,536 × 16 サブネット) |
クラスC × 256 | 192.168.0.0 - 192.168.255.255 | 255.255.0.0 | 65,536(256 × 256 サブネット) |
リンクローカルアドレス
編集WindowsなどではIPアドレスが設定されておらず、DHCPサーバも見付からない場合には自動的に169.254で始まるクラスBのIPアドレスが振られる(APIPAという機能)。これはリンクローカルアドレスと呼ばれ単一のLAN内での通信に使うことができるが、ルーティングができないなどプライベートアドレスとは異なるものである。
プライベートIPアドレスとインターネット
編集プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互変換することにより、インターネットに接続することができる。その方法として、NAPT(実装としてはIPマスカレードやipfwなど)やプロキシサーバがある。
インターネット接続サービスによってはインターネットに接続する機器にグローバルIPアドレスではなく、このプライベートIPアドレスを割り当てることもある[5]。
プライベートIPアドレスとこれに関する仕組みによって、グローバルIPアドレスを多量に消費することなくインターネットに接続できる機器を増やすことができる。
ISP Shared Address
編集特殊用途のIPアドレス
編集一部のアドレスおよびブロックは、特殊な用途に使われる。それぞれのスコープに応じて、通常、機器に割り振るべきではない。詳細はIPv4#特別用途のアドレスを参照のこと。
IPアドレスの付与
編集IPアドレス枯渇問題
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集関連項目
編集- IPv6アドレス
- IPアドレス枯渇問題
- IPv4
- IPv6
- グローバルIPアドレス(クラスA)
- プライベートIP
- Domain Name System(DNS)
- ホスト名(ドメイン名)
- Dynamic Host Configuration Protocol(DHCP)
- MACアドレス
- ポート番号
- Mobile IP
- サブアロケーション
- アサインメントウィンドウ
- NAT
- IPマスカレード(NAPT:ネットワークアドレス変換)
- ジオロケーション(geolocation)/ジオロケーティング(geolocating)/GeoIP