類体論高木の存在定理(たかぎのそんざいていり、Takagi existence theorem)とは、代数体 K一般化されたイデアル類群に対してそれに対応する K の有限次アーベル拡大が存在するという定理である[1]高木貞治によって証明された一種の存在定理である。

定式化

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(ray divisor) K(place)(prime) K1

 𝔪  𝔪f  𝔪  𝔪f  K 𝒪K  𝔪  K 𝔪  I𝔪  P𝔪 I𝔪  𝔪 𝔪f P𝔪  I𝔪  (u/v)  u v𝔪  𝔪f u  vmod 𝔪f 𝔪  u/v > 0  𝒪K 

P𝔪 K  𝔪 = (4)  (3)  3/1 31 mod 4 -3/1  -3  1 mod 4  (3)  P4 -3/1<0 (3)  P4 

I𝔪  P𝔪  H 𝔪 [2] I𝔪/H [3]

L/K I𝔪 N𝔪(L/K) L 𝔭f𝔭  K 𝔪 f  L/K I𝔪 [4]H𝔪(L/K) = P𝔪N𝔪(L/K)  𝔪  L/K [5]

K  H H= H𝔪(L/K)  L[6]使 I𝔪/H  K

正確な対応

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[7][1][7]

 K11 K L L

11[2]

類体論の初期の仕事

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存在定理の特別な場合は、𝔪 = (1)H = P(1) の場合である。この場合には、一般化されたイデアル類群は Kイデアル類群であり、LK の全ての素因子で不分岐であるような K のイデアル類群に同型なガロア群を持つアーベル拡大 L/K が一意に存在することを存在定理は言っている。この体の拡大をヒルベルト類体という。ヒルベルト類体の存在はダフィット・ヒルベルトにより予想され、その特別な場合の存在は高木の一般的な存在定理に先立ち、1907年フィリップ・フルトヴェングラーにより証明されていた。

ヒルベルト類体のさらに特別な性質は、もともとの代数体 K のイデアルはヒルベルト類体へ引き戻すと主イデアルとなるというものである。この主イデアル化が起きることの証明は、エミール・アルティンとフルトヴェングラーが行った。

歴史

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 Takagi (1915) [8] Takagi (1920) [9]192019201925Mathematische Annalen[3]

脚注

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注釈

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  1. ^ Advanced Topics in Computational Number Theory. p. 154. https://books.google.co.jp/books?id=OFjdBwAAQBAJ&pg=PA154  では「高木の存在定理」という節にアーベル拡大と合同群の 1 対 1 対応を主張する定理が掲載されている。
  2. ^ Neukirch (1999, pp. 395–396) では、この 1 対 1 対応の主な主張が存在に関する主張であるとして、この 1 対 1 対応が成立することを存在定理と呼んでいる。
  3. ^ 高木 (1940) にヒルベルトから「アンナーレンに転載すること」を申し込まれたという記載はあるが、#論文目録には該当する論文がない。

出典

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  1. ^ 数学の最先端 21世紀への挑戦, 第 2 巻, p. 55, - Google ブックス
  2. ^ Milne 2020, p. 158.
  3. ^ Conrad, p. 5. ただし、この文献では I𝔪 と総正な元を生成元に持つ単項イデアルのなす群の間の群に対してだけ「一般化されたイデアル類群」という言葉を定義している。
  4. ^ Milne 2020, p. 157.
  5. ^ Conrad, p. 9; 加塩 2015, p. 30.
  6. ^ Conrad, p. 10.
  7. ^ a b Hasse 1967, p. 271.
  8. ^ 高木 1971, p. 171.
  9. ^ 河田, p. 138.

参照項目

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参考文献

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Neukirch, Jürgen (1999), Algebraic Number Theory, Grundlehren der mathematischen Wissenschaften, 322, Berlin: Springer-Verlag, ISBN 978-3-540-65399-8, Zbl 0956.11021, MR1697859 

Hasse, Helmut (1967), History of Class Field Theory, in Cassels, J. W. S.; Fröhlich, A., Algebraic Number Theory, Academic Press, pp. 266279  (See also the rich bibliography attached to Hasse's article.)

Milne, J.S. (2020). Class Field Theory (v4.03). https://www.jmilne.org/math/CourseNotes/cft.html 

Conrad, Keith, History of class field theory., http://www.math.uconn.edu/~kconrad/blurbs/gradnumthy/cfthistory.pdf 

 (2015). 1. 202261

.  (PDF). 2022526

 (15). . . 2022526

 :  21971ISBN 9784000056304 

Takagi, Teiji (1915). Zur Theorie der relativ-Abel'schen Zahlkörper, II. Tokyo Sugaku-Buturigakkwai Kizi Dai 2 Ki 8(8): 243254. doi:10.11429/ptmps1907.8.8_243. 

Takagi, Teiji (1920). Ueber eine Theorie des relativ Abel'schen Zahlkorpers. Inperial University of Tokyo. doi:10.15083/00037701. 

外部リンク

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