Blu-ray Disc
特長
フォーマット策定の順序
DVDでは読出し専用規格(ROM型)を先に策定し、書込み型フォーマットの策定において規格乱立の状態になってしまった。その反省からBlu-ray Discでは書込みメディアフォーマットを先に策定し、共通の仕組みで読出し専用メディアにも対応する方向で開発を進めている。また、現行メディアとの併用も考慮し、波長や基板厚が異なるCD/DVD/Blu-ray Discを、1つの光ヘッドで対応するための技術開発も行われた。
ファイルフォーマット
ファイルフォーマットはUDF Ver2.5以降を採用し、DVD-RAMのようにリムーバブルメディアとしての手軽さで扱うことができる。また、UDFを採用することによりPCとの親和性が高まる事や、書込み時のファイナライズ処理を必要としないメリットもある。※UDFはBD-RE Ver2.0以降で採用
転送速度
等速は36Mbps。速度は6倍速(36Mbps×6=216Mbps)まで対応予定。
保護層
Blu-ray Discの最大の特徴として、保護層が0.1ミリであることが挙げられる(DVD、HD DVDは0.6ミリ)。理論的には12層構造にすることができるが、実現は難しいという声が上がっている。2004年9月現在、8層構造まで試験段階にあり、これが実現すると1枚のディスク(25GB×8層)で容量が200GBを超える光ディスクメディアの誕生となる。
BD-ROM 採用コーデック(動画圧縮/伸張技術)
- MPEG-2
- H.264/AVC High Profile
- VC-1(Windows Media Video 9 ベース)
- ※VC-1の旧名称は「VC-9」
- ※VC-1は映画テレビ技術者協会(SMPTE)によるVC-9に対する呼称
著作権保護技術
AACS(Advanced Access Content System)を採用予定。
AACSの特長
- 暗号方式に「AES(Advanced Encryption Standard)」を採用
- 暗号鍵の長さは 128 ビット
- リボークシステムによる不正な機器、メディアによる使用をガードする排除機能を搭載
- 固有ID情報:メディアに「ユニークID」と「MKB(Media Key Block)」が書き込まれる。※ドライブ側にも機器毎に固有の鍵を導入(検討中)
- ウォーターマークによるコンテンツプロテクションの導入(検討中)
問題点
Blu-ray Discは記録面を保護する為、当初カートリッジ式を採用した。これは、記録面に指紋が一つでも着くことにより、場合によっては読み取り不能になるという指摘がある為である。これがこの規格の泣き所である。また、カートリッジを必要とする以上、ノートパソコン向けのドライブを開発することが難しいという点が問題となっていた。
問題点の解決へ
TDKがBlu-ray Disc向けにハードコート仕様のディスクを発表している。スチール製のタワシで擦っても傷が着かず、指紋が着いても安定した読取りが可能である。これにより、カートリッジを必要としないベアディスク仕様のフォーマットもBD-RE V2.0以降のタイミングで実現される見込み。これが実現すると、傷や指紋による問題やノートパソコン用ドライブの問題も解決することになり、HD DVDに対して、対等な条件が揃うこととなる。
リージョンフリーの概念
DVDとは違いリージョンフリーのメディアである為、購入した国・地域に関わらず、全世界のBlu-ray Disc機器で再生が可能である。
ネットワーク用途の考慮
ネットワークを利用した用途も考慮されており、ネットからダウンロードした字幕データをディスクに追記するような事が可能となっている。
小型メディア
12cmディスクの他に、ビデオカメラ向けの用途での使用等を目的とした8cmディスクも策定中。容量は1層で8GBとなる。
環境への配慮
Blu-ray Disc規格の採用例
Blu-ray Disc Association(BDA)参入企業
ソニー、松下電器、日本ビクター、シャープ、Fox Film(20世紀フォックス)、Dell、Hewlett-Packard(HP)、日立、LG Electronics、三菱電機、Philips Electronics、パイオニア、Samsung Electronics、TDK、Thomson Multimedia、他(計73社)
Blu-rayディスクの種類(RE/R/ROM)
ベアディスク、カートリッジはオプション。容量は27GB(1層)と54GB(2層)。
BD-RE
書換え型。
Ver.1.0
ファイルシステムは、BD-FS。対応機器は発売済み。カートリッジ入りのみ。
Ver.2.0
物理フォーマットは、Ver.2.0が2004年10月に策定予定。2倍速記録に対応。 ファイルシステムは、UDF2.5。 論理フォーマットは、2004年7月に策定。
BD-R
ライトワンス。
Ver.1.0
物理フォーマットは、Ver.1.0が2004年9月に策定予定。 2倍速記録に対応。松下電器は、記録層に従来の勇気色素に代わって、TeO2にPd微粒子を配した薄膜を使用して、不可逆的な書き込みが実現したメディアを発表している。
Ver.1.1
2005年に、4倍速記録対応、100GB(4層)で予定。150GB(6層)の可能性もある。
Ver.2.0
ファイルシステムは、UDF2.5。 論理フォーマットは、2004年7月に策定。
BD-ROM
読み出し専用。
Ver.1.0
物理フォーマットは、2004年6月に策定。ファイルシステムは、UDF2.5。 論理フォーマットは、2005年策定になる見込み。
特殊なBD
BD-DVDコンビネーションROMディスク
日本ビクターが開発したBD1層+DVD2層の計3層構造のディスク。BDドライブ、DVDドライブどちらでも読み込みが可能。現在、BDAに技術の規格を提案中。