「外来語」言い換え提案
分かりにくい『外来語』について、言葉遣いを工夫し提案することを目的に国立国語研究所が設立した「外来語」委員会が提案した言い換え語の一覧表
経緯
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近年、カタカナ語が急速に増えたことにより、文字や言葉から意味が連想しにくいといった﹁わかりにくい﹂という批判は予てより存在していた[2]。言語処理学会において、名古屋市工業研究所小川清、京都大学長尾真らが国立国語研究所にカタカナ語の言い換えの定着について提起[3]。そこで分かりにくい﹃外来語﹄について、言葉遣いを工夫し提案することを目的におこなわれたのが国立国語研究所による﹁外来語﹂言い換え提案である。外来語そのものについての意識調査によると、3087人の調査対象者の内、81.2%が外来語を使う機会が多いと感じ、17.2%が感じないと答えた[4]。さらに、今以上に外来語が増えることについての意識を聞いたところ37.1%が好ましい、55.3%が好ましくないと答えた[5]。外来語を使うことの良い点と悪い点について聞いたところ良い点では、話が通じやすく便利であると答えた者が29.5%で最も多く、10代20代、学生など若い年齢層に特に多かった。新しさを感じさせることができるが28.2%でその次に多かった[6]。悪い点では、相手によって話が通じなくなると答えた者が全体の46.7%に達し最も多く、幅広い年齢層や職業にその傾向がみられ、20代から50代までや自由業に特に顕著だった。誤解や意味の取り違えがおこるが37.2%でその次に多かった[7]。﹁外来語言い換え提案﹂の必要性について聞いたところ61.3%が必要だと思う、11.5%が必要ないと思う、27.2%がどちらともいえないと答えた[8]。
事例
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一例を挙げれば、﹁アーカイブ﹂のかわりに﹁保存記録﹂や﹁記録保存館﹂が言い換え語として提案されている。第1回提案は2003年4月25日になされ、現在、︵2006年︶第4回までの提案書が公開され、それらはインターネット上で見ることができる︵外部リンク参照︶ほか、書籍の形で出版されている。
なお、第4回の提案最終報告の発表後、ITをはじめとしたメカトロニクス、政治・行政、医療・福祉、衣食住をはじめとした日常生活にいたるまで主なジャンル別にこれまで4回にわたる提案のほかに言い換えが望ましい外来語、まだ取り上げられていない言葉で特に理解度の低い﹁マネーロンダリング︵資金洗浄︶﹂、﹁ホールディングス︵持株会社︶﹂などに加え、難解な漢語︵特に改ざん︹改竄︺、ねつ造︹捏造︺、ら致︹拉致︺などまぜ書きが一般的になされる言葉︶、﹁斡旋→あっせん﹂など仮名書きが定着した語︶や日常的にほとんど使われることのなくなった、または別な言葉で言い換えが可能な和語︵綯い混ぜ、かまびすしい︶などを見直し、さらに﹁わかりやすい日本語﹂を模索する予定である。
反対意見
編集出典
編集- ^ a b “「外来語」言い換え提案”. www2.ninjal.ac.jp. 2020年3月27日閲覧。
- ^ カタカナ語の氾濫が意味するもの 朝日新聞「論壇」平成12年3月7日
- ^ [1] 言語処理学会第6回年次大会発表論文集]
- ^ 外来語を使う機会が多いと感じること
- ^ 今以上に外来語が増えることについての意識
- ^ 外来語を使うことの良い点
- ^ 外来語を使うことの悪い点
- ^ 「外来語言い換え提案」の必要性
- ^ 山口仲美『日本語の歴史』(初版)岩波書店〈岩波新書〉(原著2006年5月19日)、p. 217-218頁。ISBN 4004310180。
参考文献
編集- 国立国語研究所「外来語」委員会編 『わかりやすく伝える外来語言い換え手引き』 ぎょうせい、2006年6月30日。ISBN 4-324-07958-7