オトーリ

沖縄県の宮古列島で行われる飲酒の風習

オトーリ(御通り、おとおり)は、沖縄県宮古列島で行われる飲酒の風習である。車座になって泡盛を飲む宴の席で行われる。

概要

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歴史

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16

16鹿



1386

[1]1980

155058NHK

流行とその背景

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宮古島では、1971年に大干魃が起きた事を発端として、その生活環境が激変した。農業生産が激減し、飲料水にも困ったため沖縄本島南部の都市部に移り住む人が多く増え急激な過疎化が起こった。1960年代から1980年代にかけて、8万以上有った人口が激減し8割の6万人台までに落ち込んだ。そうなるとそれまであった村単位の共同体が機能しづらくなり、それまで共同体で行っていたお祭り等が廃れた。

宮古島では、明治時代の中頃まで住居の移動の自由が制限されていたため1970年代の人口の変動はこの地域に大きな変質をもたらした。それまで共同体の中で数百年以上かけて培った人間関係も大きく変質することになった。飲酒の環境も激変し、人口が減少し祭祀等が減った分だけ泡盛の消費量も減少傾向にあった。

1970年代後半になってから、泡盛の酒造メーカーが、泡盛の消費量を向上させるための宣伝で、風習にあったものをかなり簡略化・変形して居酒屋等でも行われるようになった。現代あるオトーリは、かつて神事の中で行われた儀礼とは全く趣を異にしている。それは、泡盛の消費を促進する目的で流行させられたモノである。併せて、そのオトーリによりそれまで有った濃密な人間関係を擬似で一時的に演出する事にも成功した。

ちなみに、1970年代平良の街では、オトーリが行われることはまず無かった。1980年代に歓楽街等で行われるようになり、1990年前後に宮古島の観光業が盛んになると観光客に広まり、全国に知れ渡った。

この流行としてのオトーリから各方面に悪い影響を多く与えた。伝統文化(これまであった祭祀・儀礼に対する無理解)の破壊、流行としてのオトーリを廃止すべきだと言う声も根深い。

良い点と悪い点

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オトーリの良い点は、人の和を図るだけでなく、人前で臆せず発言する(口上)技術も養われる。なお、酒の弱い人には強制しないこと、本人の意思で断ることもできるというルールもあるが十分に伝わっていない。悪い点は、他の栄養物をとるのが少なく肝臓に悪影響を与えることである。2015年の宮古病院において、肝硬変の75%がアルコール要因とし、それがオトーリの影響とされている。この数値は、沖縄県の40.9%、全国の13.6%を大きく上回っている。[2]

脚注

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  1. ^ おとーり 宮古の飲酒法 ぷからすゆうの会 2005 第1章 概説オトーリ 第2章 基礎オトーリ 第3章 論文オトーリ 第4章 思い出オトーリ 第6章 提案オトーリ 第7章 自由意見オトーリ
  2. ^ http://www.miyakomainichi.com/2015/06/76403/ 75%がアルコール要因/宮古病院における成員別肝硬変 2015年6月6日閲覧

関連項目

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外部リンク

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  (200674). 2006820201056

. . (200632). 2011930. https://web.archive.org/web/20110930210001/http://ryukyushimpo.jp/variety/storyid-11593-storytopic-13.html 201056