クローン病
クローン病 | |
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一般的にクローン病が発生する3つの場所 | |
概要 | |
診療科 | 消化器学 |
分類および外部参照情報 | |
ICD-10 | K50 |
ICD-9-CM | 555 |
OMIM | 266600 |
DiseasesDB | 3178 |
MedlinePlus | 000249 |
eMedicine | med/477 ped/507 radio/197 |
Patient UK | クローン病 |
MeSH | D003424 |
歴史
編集1932年にニューヨーク大学のマウントサイナイ病院の内科医ブリル・バーナード・クローンらによって限局性回腸炎として報告される[4]。後に病名は改められたが回腸、特に回腸末端から盲腸にかけての回盲部に好発する点は確かである。
疫学
編集10歳代から20歳代に多く見られ、日本での罹患者数は約4万人以上で、潰瘍性大腸炎よりは罹患者数は少なく、中高年での発症はほとんど無い。発症年齢は女性で15〜19歳、男性で20〜24歳が最も多くみられる[2]。
病因
編集部位
編集症状
編集クローン病 | 潰瘍性大腸炎 | |
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排便 | 多くはお粥のような状態[9] 。たまに脂肪便 |
多くは粘液状で、血液を含む[9] |
テネスムス | 一般的ではない[9] | より一般的[9] |
発熱 | 一般的[9] | 重度の状態である[9] |
瘻孔 | 一般的[10] | まれ |
減量 | しばしば | 非常にまれ |
合併症
編集検査
編集検体検査
編集CRP・赤沈が活動性に相関する検査として用いられる。また炎症反応のバイオマーカーとして「便中カルプロテクチン(FC)」・「便中ラクトフェリン(FL)」・TCP-353抗体測定評価を行うこともある[15]。
内視鏡検査
編集クローン病では以下の内視鏡所見が特徴とされる。基本的に大腸内視鏡の他に上部消化管内視鏡検査も含めた全消化管検査が行われる。小腸の病変精査に対して小腸内視鏡検査や、またカプセル内視鏡検査も行われるが、狭窄病変があった場合にカプセル停滞となる場合もあるため注意して施行される。
- 非連続性病変
- 敷石像
- 縦走潰瘍
- 多発性アフタ:自覚症状のあるものとして口腔内アフタが多く見られる
- 狭窄病変・裂溝・瘻孔病変
- 竹節状変化:胃の病変においてみられることが多い
造影検査
編集X線検査による消化管造影検査においても、上記の内視鏡所見が認められる。小腸の病変が多いため、小腸の病変検索においては内視鏡検査ではなく、消化管造影検査が多用され有用である。
CT・MRI検査
編集簡便に行われることで粗大変化等のスクリーニングに多用されている。また、近年は3D再構築による「CT MRI-Colonography(疑似内視鏡検査)」検査も行われる。
病理
編集クローン病の病理所見としては以下が特徴とされる。
診断
編集基本的に臨床像・消化管像(内視鏡所見・消化管造影所見)・病理所見によって診断される。
特定疾患であり申請により公費助成適応のため、一般的に旧厚生省クローン病診断基準が広く用いられている。
診断基準
編集治療
編集栄養療法
編集薬物治療
編集外科治療
編集基本的に外科的治療は行わないが、内科的治療が有効でない強度の狭窄や腸閉塞を起こした場合、同じく穿孔、瘻孔や膿瘍を伴う場合は手術適応となる。その場合においても可能な限り短腸症候群を避けるために切除は最小限に抑えられ、狭窄形成術などが行われる。手術によって病変は取り除かれても再発率は極めて高く、特に術後の再接合部に再発することが多い。
血球成分除去療法
編集潰瘍性大腸炎と共に炎症発生機序の要点となる白血球または白血球の内の顆粒球を取り除く治療法。
予後
編集本疾患は寛解期と活動期を繰り返す慢性的疾患であり、現在では完治させることは不可能であるが、直接的に生命にかかわることは少ない。しかし、手術率は発症後5年で33.3%、10年で70.8%と高く、さらに手術後の再手術率も5年で28%と高率であることから、再燃・再発予防が重要である。診断後10年の累積生存率は96.9%である。
支援
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- 診断と治療 クローン病の診断基準
- 特定疾患情報 -クローン病- 難病情報センター
関連項目
編集外部リンク
編集- クローン病 MSDマニュアル家庭版
- クローン病の治療指針 日本メディカルセンター
- クローン病 - 難病情報センター、2018年10月11日閲覧
- Crohn disease(英語) - NIH