ザ・カーマン
概要
編集登場人物
編集主要人物
- ディノ・アルファノ(自動車修理工場と食堂の経営者)
- ラナ(ディノの妻)
- リタ(ラナの妹)
- アンジェロ(従業員)
- ルカ(流れ者)
クラブ
- シャーリー(クラブ「ル・ビート・ルート」の経営者)
- ビートニク
- キャバレーのダンサーたち
- エリック
- ホセ
- ヴァージニア
郡刑務所
- デクスター(監視人)
- 囚人たち
工員と友人たち
- ブルーノ
- チャド
- デロレス
- ティック
- フランキー
- ジーナ
- "ホット"ロッド
- マルコ
- メルセデス
- モニカ
- ロッコ
- ヴィト
- チャック(町の警官)
第1幕
編集プロローグ
編集車のエンジンがうなる音とともに幕が上がる。アメリカの某所にある町ハーモニーに、流れ者のルカがリュックサックを背負って到着する。町の看板には「ハーモニーへようこそ 人口375 安全運転を!」と書かれている。
第1場
編集第2場
編集2週間後の真昼。太陽がじりじりと照りつけている。工員たちは暑さで働くことができず、タンクトップや上半身裸の姿で、工場の中で怠けたり、女たちと戯れたりしている。ルカはアンジェロの味方となり、喧嘩の仕方を教えるが、アンジェロの技はお粗末なもので、相変わらず工員たちから馬鹿にされている。そこにディノが現れるが、麦藁帽とアロハシャツ、バミューダパンツ、靴下にサンダルを身に着けた姿で、ますます間抜けに見える。ディノがブリーフケースを手に出かけると、ルカは、パン生地をこねていたラナと戯れはじめ、2人は互いに誘惑しあう。工員たちとその恋人も、徐々に大胆に振る舞い始める。ラナは、事務所の上階にある自分とディノのアパートにルカを引き入れ、セックスする。やがて、ルカが下着にシャツを羽織っただけの姿で、タバコを吸いながら外に出てくる[3]。 ルカは再びラナのいるアパートに戻る。他のカップルたちも事を終えた様子で、工場の床でぐったりとしている。
やがてディノが外出から戻り、工員とその恋人たちを追い出す。ディノは、アパートの窓ごしにラナを見て、彼女が自分に手を振っているのだと思いこむ。実は、ラナはルカと再びセックスしているところで、手を窓に押し付けているのだが、ディノは気づかない。ディノは金属製の階段を上がってアパートへ向かうが、途中でつまずいてガチャンと音を立て、ラナとルカはディノが帰ってきたことに気づく。ルカは服を窓から外へ放り投げ、ディノが部屋に入ろうとしたちょうどその時、避難はしごを伝って立ち去る。ルカは服を着ながら、ブーツの片方がないことに気づくが、幸いにもラナが窓から投げてくれる。ルカはブーツをはき、急いで立ち去る。アンジェロがそれを見ており、ルカを追いかける。
次の場面では、工場にある車の中で性行為が行われており、その勢いで車が揺れているのが見える。車の中から、ルカがズボンのボタンをはめながら出てくるが、続いて出てきたのはなんとアンジェロである。アンジェロの表情から、彼がルカに恋をしたことがわかる。ラナとアンジェロは、その夜ルカと巡り合った歓びに恍惚とし、同時にそれぞれソロを踊る。
第3場
編集第2幕
編集第1場
編集第2場
編集郡刑務所。囚人22177となったアンジェロは、革の手錠をかけられ監禁状態に置かれている。そこへリタが面会に訪れ、2人の間には再び愛情が蘇る。リタはアンジェロに自分が見たことを話し、ディノを殺したのはルカであり、アンジェロは罠にはめられたのだと伝える(リタはラナがディノを殴ったところを見ていなかったため、ラナは無実だと説明する)。アンジェロは激怒し、面会室の端まで椅子を投げ飛ばす。リタが帰ろうとすると、他の囚人たちがひやかしの言葉を浴びせてくる。
監視人のデクスターが、アンジェロを面会室から連れ出す。しかし、デクスターはアンジェロを独房には帰さず、シャツを脱がせ始める。彼はアンジェロを犯そうとしているのだ。アンジェロの表情は、このようなことが初めてではないことを窺わせる。だが、アンジェロは抗い、デクスターの頭を壁に打ち付けて失神させることに成功する。アンジェロはデクスターを空の独房まで引きずっていき、拳銃を手に入れる。壁のフックにかかっていた監視人の制服と帽子を奪い取り、アンジェロは脱獄する。
第3場
編集「ル・ビート・ルート」の閉店時刻。ラナとルカは再びクラブにいる。ルカはウイスキーの瓶を握りしめ、酔い潰れている。ラナはルカに、飲むのを止めてクラブを出ようと説得するが、ルカは聞き入れない。ルカはバーテンダーに、もっと酒を出すよう頼むが、断られる。その時突然、ルカの目の前に、頭から血を流したディノの幻影が現れる。
第4場
編集再び「ディノのガレージ」。工場はシャッターが下ろされ、「売出中」の貼り紙が出ている。土曜の夜遅く、リタは1人で食堂にいる。キッチンで物音が聞こえ、様子を見に行ったリタは、そこにアンジェロがいるのを見て衝撃を受ける。アンジェロはもはや、リタが知っていた穏やかで優しい青年ではない。アンジェロはリタの体を撫で回し、拳銃をちらつかせて脅す。リタは愛情と恐怖の混じった目でアンジェロを見つめる。アンジェロは自分がしようとしていることを明かし、リタに銃を突きつけてディノとラナのアパートへ向かわせ、リタを人質にしてラナとルカの帰りを待つ。
食堂には新しい看板がかけられており、これから殴り合いの勝負が行われることがわかる。そこへ、工員とその恋人たち、そしてルカとラナが現れる。はじめにドラッグレースが行われることになり、車をクラッシュさせた一行は食堂に向かう。ラナとルカが食堂のシャッターを下ろすと、そこには赤く太い文字で「人殺し」と書かれており、2人は慌ててシャッターを上げる。
男たちは殴り合いの勝負を始める。 試合の場所はタイヤで区切られ、壁には「ファイト・クラブ 得点」と書かれた黒板が吊るしてある。参加者は8人で、2人ずつに分かれて勝負し、勝ち上がった者同士が戦うというルールだが、ルカは工員の1人に負けてしまう。
階段を上がってアパートへ入ったラナは、アンジェロの2人目の人質となる。勝負のさなか、突如銃声が響き渡り、ラナとリタに拳銃を突きつけたアンジェロがアパートから出てくる。アンジェロはルカに襲い掛かり、2人は殴り合いを始める。戦いの絶頂で、アンジェロは荒々しくルカにキスする。その時、アンジェロの手から拳銃がもぎ取られ、地面に落ちる。ルカがアンジェロを抑え、拳銃に手を伸ばそうとしたとき、ルカはラナに撃たれて絶命する。階段を降りてきたラナは、別の銃を手にしていた。アンジェロとリタは抱き合い、工員たちは、ルカを埋めて罪を隠すため、シャベルを手にする。プロローグと同様に大きな看板が現れ、そこには「ハーモニーはここまでです。また会いましょう!」と書かれている。
音楽と物語
編集上演
編集受賞
編集- 2000年 イヴニング・スタンダード演劇賞 のミュージカル部門を受賞[8]
- ローレンス・オリヴィエ賞 に「ダンスの傑出した業績」としてノミネート[8]
- 2015年 ラナ役のジジ・ストラレンが、 英国批評家協会賞 の「傑出した女性モダン・ダンサー」を受賞[18]
関連項目
編集脚注
編集参考文献
編集- Conrad, Peter (2000年9月3日). “Blood, Sweat and Tyres (review)”. The Observer
- New Adventures (2007). Matthew Bourne's The Car Man (programme for the performance at Sadler's Wells, London, from 10 July to 5 August 2007). London: Sadler's Wells Theatre
- Grew, Tony (2007年7月24日). “Interview : In the Garage with the Master Mechanic of Dance : Away from the Chattering London Dance Elite, Matthew Bourne is Feted as One of the Most Talented Choreographers Alive Today”. Pink News. 2007年9月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月29日閲覧。
関連文献
編集外部リンク
編集- Official website of Matthew Bourne's The Car Man
- Matthew Bourne's The Car Man on the official website of Friends of New Adventures
- Matthew Bourne's The Car Man at the website of Sadler's Wells Theatre, London (10 July – 5 August 2007)
- Photographs of Matthew Bourne's The Car Man from the official website of actor and danseur Will Kemp
- Official website of composer Terry Davies