電子商取引
(ショッピングサイトから転送)
概説
編集
技術寄りの表現で﹁eコマース﹂、法律用語・行政用語などで﹁電子商取引﹂と呼ばれているのは、コンピュータネットワーク上での電子的な情報通信によって商品やサービスを売買すること︵や交換すること︶である。インターネットを利用したものも、特定顧客用の専用線を利用したものも、どちらも含まれる。一般の人々が﹁ネットショッピング﹂と呼んでいる行為もこの電子商取引の一種に当たる。
インターネット上の商行為の幅は大きく広がってきており、商品の宣伝、売買、契約締結、決済などが行われるようになっている。
この記事では電子商取引全般について解説するが、結果としてインターネットを通じての企業と消費者との商品売買について多く記述することになる。商取引を行うためのウェブサイトについては、ここでも説明の途中で若干は触れるが、詳しくは﹁ECサイト﹂や﹁電子商店街﹂[注釈1]の記事を参照のこと。
種類・分類
編集
取引主体の種類の組み合わせにより、次のように分類できる[1]。
●B to B EC︵ビートゥービー・イーシー︶ - 企業間のEC[1]。B to B とはBusiness to Business。B2Bとも書く。
●B to C EC︵ビートゥーシー・イーシー︶ - 企業と消費者の間のEC[1] B to CとはBusiness to Consumer。B2Cとも書く。
●C to C EC︵シートゥーシー・イーシー︶- 消費者間のEC[1] C to CとはConsumer to Consumer。C2Cとも書く。
- 関連項目
歴史
編集
1976年、アテラ・テクノベーション[注釈2]社︵米国、カリフォルニア州︶およびRamo Corporationが、金融会社がオンライン上での安全な取引を行うための製品を売り出した。
1979年にはMichael Aldrichがオンラインショッピングのシステムのデモンストレーションを行った︵これが﹁初のオンラインショッピング・システム﹂とも言われることがある︶。
1981年にはトムソン・ホリデイズ社[注釈3]が企業間︵B2B︶のオンライン取引のシステムを設置した︵これがB2B商取引の最初のシステムとも言われている︶。
1982年には、フランス国内でフランス電電公社のミニテルのネットワークが爆発的に普及し、これがオンライン発注にも大々的に利用されるようになった。
1983年にはカリフォルニア州下院議会が﹁electronic commerce﹂についての最初の公聴会︵関係者からの意見の聞き取り︶を、カリフォルニア州にあるVolcanoで行った。この公聴会にはCPUCに加えてMCI Mail、Prodigy、CompuServe、Volcano Telephone、Pacific Telesisの各社が参加した。
1984年にはテスコ社がB2Cオンラインショッピングシステムの利用を開始。最初の家庭からの利用者は72歳の女性だった。
1984年4月にはCompuServeが米国とカナダでElectronic Mall︵電子商店街︶を開始。利用者に理解しやすいサービスとしては最初のものとなった。
1989年5月にはセコイア・データ社[注釈4]が﹁Compumarket︵コンプマーケット︶﹂というシステムの利用を開始。これがインターネットを利用したeコマースシステムとしては最初のものだと考えられており、買い手はデータベースから商品を検索し、クレジットカードで購入することができるものだった。
1995年7月、Amazon.com がオンライン書店としてサービスを開始。
インターネットの発達にともない、1990年代後半から、企業がインターネットを介して︵主にウェブサイトなどを介して︶不特定多数の人々︵消費者︶に対して小売︵企業対消費者間取引、B2C、BTC[注釈5]︶を行うことが、少しずつ広まっていった。
さらに時がたつにつれて、消費者間取引︵C2C、CTC[注釈6]、たとえばインターネットオークションなど︶が、ウェブサイト上で行われるようになってきた。
電子商取引の技術
編集電子商取引には次のような技術が使われている。
- サプライチェーン・マネジメント
- 電子マーケティング
- オンラインマーケティング
- オンライントランザクション処理
- 電子データ交換(EDI)
- 自動化された在庫管理システム
- 自動化されたデータ収集システム
- 商品情報管理(PIM)
関連法規
編集- 各国での法規
この節の加筆が望まれています。 |
- 日本
経済産業省が定める「電子商取引及び情報財取引等に関する準則」では次の法規を関連法規として挙げている[2][3]。
- EU
- Electronic Commerce Directive 2000 - 2022年にデジタルサービス法に更新された。
メリット・デメリット
編集売り手側
編集
実店舗を持つよりも、︵他の通信販売と同様かそれ以上に︶少ない費用で販路を得ることができ、資金が少ない人でも販売を始めることができる。
また大規模な消費地から地理的に離れている人も販売を行うことができ、︵やり方によっては︶国内だけでなく外国の市場にも販売することができる。
クリック・アンド・モルタル - 実店舗とECサイトとの連携によって期待されるシナジー効果。
買い手側
編集課題
編集
通信販売#通信販売の利点・欠点も参照
セキュリティ
個人情報やクレジットカード情報などが第三者に盗まれないようにしなければならない。インターネット経由の電子商取引では暗号化通信が使われる。
商取引システムに脆弱性があるようだとクラッキングの標的にされ、個人情報を盗まれたり、不正な取引を行われる可能性がある。
詐欺サイト
販売サイトを装ってID/パスワードなどの個人データやクレジットカードのデータなどを騙し取ることが目的のフィッシング詐欺を行う犯罪者がいる。特に販売業者が外国にある場合、消費者側の国の法律の適用が困難な場合が多く、消費者が損害を被ることがある。
- 詐欺事件の多発
近年では服飾品やブランド品などでニセモノが送付されてくることが多発している。こうした事態に直面した場合は、まずは消費者センターなどに連絡・相談をするのが基本である。ニセモノを送付してくるような悪徳な業者に対して、ニセモノだったことを指摘し返金などを請求しても、それが実行されたのはわずか1%程度にとどまっている、ということが消費者センターなどの統計によって明らかになっている。悪徳販売者は購入者から連絡しても返信・応答もなく、さらに連絡先がやがて不明になってしまうこともしばしばで、結局、99% 返金や交換が実行されないのである[要出典]。そのため、泣き寝入りしないためには裁判をおこなうことが必要になる場合もある。ネットショッピングモールでの売買に関しては悪徳販売者ばかりを追及するのではなく、ショッピングモール運営企業を、悪徳販売者を放置しているので責任がある、という面から追及したり裁判を起こし、回復措置をとらせたり︵返金をさせたり、ニセモノの代わりに本物の品を提供をさせる︶、もしもモール運営者がそれを行なわないような不誠実な対応をした場合は、その事実を広く世の人々に公表し不買運動を呼び掛ける、といったことが現実的な解決策となることがある。
2015年には、出店者がポイントを不正取得する事件が発生し、ヤフーが出店者を告訴することを検討した[4]。
脚注
編集注釈
編集
(一)^ 複数の業者が同一のドメインで運営するもの。
(二)^ 英: Atalla Technovation
(三)^ 英: Thomson Holidays UK
(四)^ 英: Sequoia Data Corp.
(五)^ B to C。﹁Business to Consumer﹂の略。卸売や取次といった中間流通が効率化もしくは省略された、という文脈においても用いられることがある。これと同じ方式で企業間取引を呼ぶ場合は﹁B2B﹂あるいは﹁BTB﹂︵=B to B、Business to Business︶と呼ばれる。
(六)^ ﹁シー・トゥー・シー﹂と読む。C to C、﹁consumer to consumer﹂︵﹁消費者から消費者へ﹂を意味する︶の略。
(七)^ ただし﹁客からの評価﹂はいわば﹁諸刃の剣﹂であり、嘘・偽りの無い評価が掲載されている場合は、その情報を参考にして品質のよい商品や自分に合った商品を購入するための参考にできるが、反対に、﹁客からの評価﹂欄に売り手が雇った者や、売り手側に買収された者などが、当該製品を実際よりも良く思わせるためのニセの情報を書き込んだり、ライバル会社の製品の品質を実際よりも悪く思わせるためのウソを書き込むことが行われていると、﹁客からの評価﹂の欄が、逆に購入者を惑わせ、品質の悪い品物や、相対的に品質の低い品物を買ってしまう原因ともなっている。
(八)^ なお電子商取引そのものからやや脇にそれる話ではあるが、価格比較サイト、製品批評サイトなど、消費者にとって自らに有利な意志決定を早く確実に行いやすい情報を提供するサイトもある。