トヨタ・グランエース
日本の自動車
グランエース(GranAce )は、トヨタ自動車が生産・販売するミニバン型の乗用車である。
トヨタ・グランエース GDH303W型 | |
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Premium | |
概要 | |
別名 |
トヨタ・ハイエース(6代目) トヨタ・グランビア(2代目) トヨタ・マジェスティ トヨタ・ハイエースGLグランディア |
製造国 | 日本(三重県いなべ市) |
販売期間 | 2019年12月 - |
設計統括 | 石川拓生 |
ボディ | |
乗車定員 | 6/8名 |
ボディタイプ | 5ドアミニバン |
駆動方式 | 後輪駆動 |
プラットフォーム | 商用車専用GAプラットフォーム |
パワートレイン | |
エンジン | 1GD-FTV型 2,754 cc 直列4気筒 DOHC |
最高出力 | 130 kW (177 PS)/3,400 rpm |
最大トルク | 450 N・m (46.1 kg・f)/1,600 - 2,400 rpm |
変速機 | 6速AT |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット |
後 | トレーリングリンク車軸 |
車両寸法 | |
ホイールベース | 3,210 mm |
全長 | 5,300 mm |
全幅 | 1,970 mm |
全高 | 1,990 mm |
車両重量 | 2,740-2,770 kg |
概要
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2019年2月から新興国向けに販売を開始したハイエース︵H300系︶をベースにしたハイグレードワゴン[2]で、オセアニアと台湾では﹁グランビア﹂、タイでは﹁マジェスティ﹂の名︵由来はかつて発売されていたクラウンマジェスタと同様︶で販売されている。
生産はトヨタ車体のいなべ工場で行われる。また、ミニバンでは2代目シエンタに次いで2車種目となる全てのトヨタ車両販売店︵トヨタ店・トヨペット店・カローラ店・ネッツ店及びトヨタモビリティ東京、トヨタモビリティ神奈川、トヨタモビリティ富山、NTPトヨタ信州、ひだかトヨタ自動車販売、東かがわトヨタ自動車販売︶での取り扱いとなる。
日本国外向けハイエースがベースとなっていることもあり、全長5.3 m、全幅1.97 m、全高1.99 mと、それまでのトヨタの日本向けミニバンで最も大きなサイズであったアルファード / ヴェルファイアよりもさらに大型のワイドボディを特徴としている。3列もしくは4列シートで乗車定員は最低でも6名となっているため、ボディタイプ上ではミニバンに該当するが、トヨタでは全長5 m以上のフルサイズと呼ばれるボディを持つことから、﹁フルサイズワゴン﹂と呼称されている[3]。日本車における全長5m超のフルサイズミニバンとしては2004年︵平成16年︶まで販売されていたホンダ・ラグレイト以来となる。
超大型ワイドボディとしているが、最小回転半径は17インチタイヤの場合で5.6 mに抑えられており、ステアリング切れ角やギア比設定の最適化と相まって市街地での取り回しの良さを実現している。
最廉価モデルでも460万円を超える価格設定や、6人乗りではゆとりある後席スペースを確保しながら、約90 L︵縦750 mm×横510 mm×幅310 mm︶のスーツケースを立てたまま4個まで積載が可能というパッケージングから、自動車ライターの工藤貴弘はホテルの送迎用や富裕層グループを対象にした少人数ツアーの移動手段など、インバウンド需要を想定しているのではないかと推察している[3]。
機構・メカニズム
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エンジンには、2.8 Lクリーンディーゼルエンジンである1GD-FTV型が搭載されており、トランスミッションは6ATとなる。エンジンにはDPR︵粒子状物質減少装置︶や尿素SCRシステムの採用により窒素酸化物の大幅低減を実現させている。
エンジンルームと室内を隔てるダッシュパネルには、鋼板と鋼鈑の間に制振材などを挟み込んだ積層構造の複合鋼板である﹁サンドイッチ鋼板﹂を用いたり、制振材や吸遮音材を適切に配置するなど、様々な路面環境下でも静粛性能が一層と高められている。
一般市販されている乗用車の中では非常に重い部類に入り、車両総重量は3トンを超える。このため、荷重指数の高い小型トラック用LTタイヤが使用される︵同寸法で乗用車用のタイヤも存在するが規格上の耐荷重量が不足する︶ほか、ホイールハブのPCDは国産ワンボックスで一般に採用される6穴/139.7mmとは異なる6穴/130.0mmの特殊ピッチを採用しており、海外向けH300/H200ハイエースをはじめ一般的な国産車とのホイール互換性もなく、グランエース専用となっている。
装備
編集ディスプレイオーディオ (DA) やDCM(専用通信機)が標準装備されており、SmartDevicelink・Apple CarPlay・Android Autoの対応によりスマートフォンとBluetoothやUSBケーブルで接続することでスマートフォン向けアプリをDA上で操作することが可能となる(Apple CarPlay・Android AutoはTV(フルセグ)とセットでオプションサービスとして提供)。また、販売店装着オプションのT-Connectナビキットを装着することで車載用ナビ機能を利用することも可能である。
安全面では歩行者(昼夜)や自転車運転者(昼間)の検知機能を備えたプリクラッシュセーフティなどで構成された予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」をはじめ、静止物や後方接近車両に対応した2種類のパーキングサポートブレーキ(インテリジェントクリアランスソナー、リアクロストラフィックオートブレーキ)、デジタルインナーミラーが標準装備されている。
歴史
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●2019年
●10月8日 - 年内の発売に先駆け、﹁東京モーターショー2019﹂のトヨタ車体ブースで初披露することが発表された[4]。
●11月25日 - 正式発表︵12月16日発売︶[5]。
グレード体系は4列シート8人乗り仕様の﹁G﹂と3列シート6人乗り仕様の﹁Premium﹂の2種類が設定されている。いずれもシート生地は本革。
﹁G﹂はリア席2列目︵3列目シート︶にリラックスキャプテンシート、リア席3列目︵4列目シート︶に 6:4 分割チップアップシートが採用される。﹁Premium﹂はスライドドアトリムがステッチ付シルフィー表皮に、スライドドア左右の乗降用アシストグリップが本革に、リアクォータートリムトレイが木目調加飾に、シートは全てのリア席︵2列目・3列目シート︶がエグゼクティブパワーシートとなり、専用装備としてグレードエンブレム (Premium) とリア席バニティミラー︵LEDランプ照明付︶が備わる。
ボディカラーは﹁ホワイトパールクリスタルシャイン︵メーカーオプション︶﹂・﹁シルバーメタリック﹂・﹁グレーメタリック﹂・﹁ブラック﹂の4色が設定される。
●2021年6月28日 - 一部改良[6]。助手席に可倒式ヘッドレストとパワーシートスイッチ︵運転席側肩口︶が装備された。
●2023年10月 - 一部改良。標準装備の﹁8インチディスプレイオーディオ﹂が﹁ディスプレイオーディオ︵コネクティッドナビ対応︶Puls﹂に変更。このユニット変更に伴い、ディスプレイ周りに備わっていた操作スイッチが最小限になって、ON/OFFかつ音量調整スイッチのみとなった。
名前の由来
編集脚注
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(一)^ 白いグランエースFCV現る!世界にたった1台の実験車両に緊急試乗! - ベストカーWeb 2021年5月25日
(二)^ 渡辺陽一郎 (2020年1月10日). “︻納期4カ月待ちと注目度は抜群だが弱点は?︼アルヴェル超えの超上級LLサイズミニバン﹁トヨタ・グランエース﹂は成功なるか”. web CARTOP. 2020年1月25日閲覧。
(三)^ ab工藤貴宏 (2020年1月1日). “トヨタ﹁グランエース﹂は誰のためのクルマか アル/ヴェルよりデカい﹁巨大ワゴン﹂の狙い”. 東洋経済オンライン. 2020年1月25日閲覧。
(四)^ ﹃TOYOTA、新型車“グランエース”を初披露﹄︵プレスリリース︶トヨタ自動車株式会社、2019年10月8日。2019年11月26日閲覧。
(五)^ ab﹃TOYOTA、新型車グランエースを発売﹄︵プレスリリース︶トヨタ自動車株式会社、2019年11月25日。2019年11月26日閲覧。
(六)^ ﹃グランエースに助手席可倒式ヘッドレストを標準装備﹄︵プレスリリース︶トヨタ自動車株式会社、2021年6月28日。2021年6月28日閲覧。
関連項目
編集- トヨタ自動車
- トヨタ・グランドハイエース
- トヨタ・グランビア
- トヨタ・アルファード
- トヨタ・ヴェルファイア
- 第96回東京箱根間往復大学駅伝競走 - 大会会車の1台として採用されている。