ナブッコ』(Nabucco)、原題『ナブコドノゾール』(Nabucodonosor)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラである。題材を旧約聖書ユダヤ教聖書)の『エレミヤ書』と『ダニエル書』から取っている。

『ナブッコ』序曲冒頭(総譜冒頭)

概要

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184233Va, pensiero

Nabucco (Nabucodonosor)

18361838



210

184239

作曲と初演の経緯

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1842年初演当時の台本

221841

18361838

初演

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題名役ナブッコにジョルジョ・ロンコーニ(バリトン)、アビガイッレ役にヴェルディの理解者でもあり、後年その伴侶ともなったジュゼッピーナ・ストレッポーニソプラノ)など実力派歌手を配した初演は1842年3月9日に挙行された。当夜は稀に見る大成功であり、ヴェルディは一躍、ドニゼッティなどに比肩しうるオペラ作曲界の新星との評価を勝ち取った。

編成

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初演当時のナブコドノゾール王(ナブッコ)衣装スケッチ

主な登場人物

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2










舞台構成

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音楽・音声外部リンク
序曲のみ試聴する
  G.Verdi:Nabucco (obertura) - Pietro Rizzo指揮ガリシア交響楽団ユース・オーケストラ(Orquesta Joven de la Sinfónica de Galicia)による演奏。ガリシア交響楽団公式YouTube。
  Giuseppe Verdi - overture Nabucco
Vladimir Lande指揮Siberian State Symphony Orchestraによる演奏。当該指揮者自身の公式YouTube。
  Giuseppe Verdi - Nabucco Overture - Zygmunt Nitkiewicz指揮Symphony Orchestra Of The Józef Marcin Żebrowski Music School in Częstochowaによる演奏。Akademia Filmu i Telewizji《映像制作者》公式YouTube。

全4幕

原台本では「幕」(atto)でなく「部」(parte)で区切られているため、厳密には「全4部構成」のオペラと称するべきだが、ここではより一般的な「幕」表記を用いる。

  • 序曲
  • 第1幕「エルサレム」(Gerusalemme):ソロモン神殿の内部
  • 第2幕「不信心者」(L'Empio
    • 第1場 バビロンの宮殿の一室
    • 第2場 宮殿の大広間
  • 第3幕「予言」(La Profezia
    • 第1場 バビロンの空中庭園
    • 第2場 ユーフラテス河畔
  • 第4幕「壊れた偶像」(L'Idolo Infranto
    • 第1場 宮殿の一室
    • 第2場 空中庭園

あらすじ

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時と場所:紀元前587年エルサレムおよびバビロン 

序曲

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演奏時間7分少々。はじめヴェルディは本格的な序曲を書くべきかどうか迷っていたが、義兄(亡妻の兄)ジョヴァンニ・バレッツィの勧めもあってこの序曲をまとめたと伝えられる。内容的にはオペラ曲中で用いられる各テーマを要約したもの。

第1幕

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第1幕舞台情景(1958年)



殿

殿退殿

第2幕

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第1場

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第2場

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殿


第3幕

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第1場

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アビガイッレは今や玉座に座っている。彼女は異教徒たちを死刑とする命令を作成、力を失ったナブッコに玉璽を押すように強いる。押印したナブッコは、改宗した実の娘フェネーナも死刑となることを知りアビガイッレに取り消しを懇願するが、彼女は聞かない。

第2場

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Va, pensiero, sull'ali dorate

第4幕

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第1場

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第2場

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上演小史

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イタリア各地での再演

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初演の行われた1842年3月9日はスカラ座同年のシーズン終了直前であったが、同オペラはそこからシーズン終了までに7回の再演がなされた。また1842年夏-冬には臨時のシーズンがもたれ、『ナブコドノゾール』はそこで記録破りの57回の再演がなされている。ミラノ外では1843年春のヴェネツィアフェニーチェ劇場を皮切に各地での上演がもたれている。

イタリア半島外

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5184341844184518461848

1844

184633Nino

日本

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日本での初演は「声専オペラ研究会」による1971年6月25日の演奏会形式による公演( 訳詞上演?)で、指揮は星出豊、管弦楽は新星日本交響楽団[1]

「行け、我が想いよ」

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第3幕第2場で歌われる合唱「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」は、このオペラ『ナブッコ』で最も有名なナンバーで、『旧約聖書』(ユダヤ教聖書)の『詩篇』137「バビロンの流れのほとりに座り、シオンを思って、わたしたちは泣いた。」に題材を取った歌である。

歌詞とその試訳

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Va, pensiero, sull'ali dorate;
Va, ti posa sui clivi, sui colli,
Ove olezzano tepide e molli
L'aure dolci del suolo natal!

Del Giordano le rive saluta,
Di Sïonne le torri atterrate...
Oh, mia patria sì bella e perduta!
Oh, membranza sì cara e fatal!

Arpa d'or dei fatidici vati,
Perché muta dal salice pendi?
Le memorie nel petto raccendi,
Ci favella del tempo che fu!

O simile di Solima ai fati
Traggi un suono di crudo lamento,
O t'ispiri il Signore un concento
Che ne infonda al patire virtù!

























 
「行け、我が想いよ」合唱部分冒頭(簡易表記)
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音楽・音声外部リンク
『行け、我が想いよ、金色の翼に乗って』
を試聴する
  Va,_pensiero,_sull'ali_dorate - アンドレア・バッティストーニ指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団&合唱団による演奏。ベルリン・ドイツ・オペラ公式YouTube。
  Và_pensiero_(Nabucco) - ジェームズ・コンロン指揮フェニーチェ歌劇場管弦楽団&合唱団による演奏。フェニーチェ歌劇場公式YouTube。

(歌詞はGarzanti社版"Tutti i libretti di Verdi" ISBN 88-11-41061-4 より引用。試訳は引用者による)

初演時の評判――伝説とその検証

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"Oh, mia patria sì bella e perduta!"

195919381953

18421848調

(一)42Immenso Jeovha

(二)

(三)1848

1870

第二の国歌

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190112787沿1Casa di Riposo8003025,00030,000

19431946511



Je chante avec toi liberte, Song for liberty, Libertad, 1980

2006226

脚注

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参考文献

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  • Scott L. Balthazar(Ed.), "The Cambridge Companion to Verdi", Cambridge Univ. Press (ISBN 0-521-63535-7)
  • Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 1)", Cassell, (ISBN 0-304-31058-1)
  • Charles Osbone, "The Complete Operas of Verdi", Indigo, (ISBN 0-575-40118-4)
  • Roger Parker, "Leonora's Last Act", Princeton, (ISBN 0-691-01557-0)
  • Pierluigi Petrobelli, Roger Parker(Tr.), "Music in the Theater", Princeton, (ISBN 0-691-02710-2)
  • Teatro alla Scala, "Verdi e la Scala", Rizzoli, (ISBN 88-17-86622-9)
  • 永竹由幸「ヴェルディのオペラ――全作品の魅力を探る」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)
  • 日本オペラ振興会(編)「日本のオペラ史」 信山社 (1986年刊。書籍情報コードなし)

外部リンク

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