ナブッコ
『ナブッコ』(Nabucco)、原題『ナブコドノゾール』(Nabucodonosor)は、ジュゼッペ・ヴェルディが作曲した全4幕からなるオペラである。題材を旧約聖書(ユダヤ教聖書)の『エレミヤ書』と『ダニエル書』から取っている。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b4/Nabucco%2C_de_Verdi._Overture.pdf/page1-250px-Nabucco%2C_de_Verdi._Overture.pdf.jpg)
概要
編集作曲と初演の経緯
編集初演
編集題名役ナブッコにジョルジョ・ロンコーニ(バリトン)、アビガイッレ役にヴェルディの理解者でもあり、後年その伴侶ともなったジュゼッピーナ・ストレッポーニ(ソプラノ)など実力派歌手を配した初演は1842年3月9日に挙行された。当夜は稀に見る大成功であり、ヴェルディは一躍、ドニゼッティなどに比肩しうるオペラ作曲界の新星との評価を勝ち取った。
編成
編集主な登場人物
編集舞台構成
編集音楽・音声外部リンク | |
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序曲のみ試聴する | |
G.Verdi:Nabucco (obertura) - Pietro Rizzo指揮ガリシア交響楽団ユース・オーケストラ(Orquesta Joven de la Sinfónica de Galicia)による演奏。ガリシア交響楽団公式YouTube。 | |
Giuseppe Verdi - overture Nabucco Vladimir Lande指揮Siberian State Symphony Orchestraによる演奏。当該指揮者自身の公式YouTube。 | |
Giuseppe Verdi - Nabucco Overture - Zygmunt Nitkiewicz指揮Symphony Orchestra Of The Józef Marcin Żebrowski Music School in Częstochowaによる演奏。Akademia Filmu i Telewizji《映像制作者》公式YouTube。 |
全4幕
原台本では「幕」(atto)でなく「部」(parte)で区切られているため、厳密には「全4部構成」のオペラと称するべきだが、ここではより一般的な「幕」表記を用いる。
- 序曲
- 第1幕「エルサレム」(Gerusalemme):ソロモン神殿の内部
- 第2幕「不信心者」(L'Empio)
- 第1場 バビロンの宮殿の一室
- 第2場 宮殿の大広間
- 第3幕「予言」(La Profezia)
- 第1場 バビロンの空中庭園
- 第2場 ユーフラテス河畔
- 第4幕「壊れた偶像」(L'Idolo Infranto)
- 第1場 宮殿の一室
- 第2場 空中庭園
あらすじ
編集序曲
編集演奏時間7分少々。はじめヴェルディは本格的な序曲を書くべきかどうか迷っていたが、義兄(亡妻の兄)ジョヴァンニ・バレッツィの勧めもあってこの序曲をまとめたと伝えられる。内容的にはオペラ曲中で用いられる各テーマを要約したもの。
第1幕
編集第2幕
編集第1場
編集第2場
編集第3幕
編集第1場
編集アビガイッレは今や玉座に座っている。彼女は異教徒たちを死刑とする命令を作成、力を失ったナブッコに玉璽を押すように強いる。押印したナブッコは、改宗した実の娘フェネーナも死刑となることを知りアビガイッレに取り消しを懇願するが、彼女は聞かない。
第2場
編集第4幕
編集第1場
編集第2場
編集上演小史
編集イタリア各地での再演
編集初演の行われた1842年3月9日はスカラ座同年のシーズン終了直前であったが、同オペラはそこからシーズン終了までに7回の再演がなされた。また1842年夏-冬には臨時のシーズンがもたれ、『ナブコドノゾール』はそこで記録破りの57回の再演がなされている。ミラノ外では1843年春のヴェネツィア・フェニーチェ劇場を皮切に各地での上演がもたれている。
イタリア半島外
編集日本
編集日本での初演は「声専オペラ研究会」による1971年6月25日の演奏会形式による公演( 訳詞上演?)で、指揮は星出豊、管弦楽は新星日本交響楽団[1]。
「行け、我が想いよ」
編集第3幕第2場で歌われる合唱「行け、我が想いよ、金色の翼に乗って」は、このオペラ『ナブッコ』で最も有名なナンバーで、『旧約聖書』(ユダヤ教聖書)の『詩篇』137「バビロンの流れのほとりに座り、シオンを思って、わたしたちは泣いた。」に題材を取った歌である。
歌詞とその試訳
編集
Va, pensiero, sull'ali dorate; Del Giordano le rive saluta, Arpa d'or dei fatidici vati, O simile di Solima ai fati |
行け、想いよ、金色の翼に乗って
行け、斜面に、丘に憩いつつ
そこでは薫っている。暖かく柔かい
故国の甘いそよ風が!
ヨルダンの河岸に挨拶を、
そして破壊されたシオンの塔にも…
おお、あんなにも美しく、そして失われた我が故郷!
おお、あんなにも懐かしく、そして酷い思い出!
運命を予言する預言者の金色の竪琴よ、
何故黙っている、柳の木に掛けられたまま?
胸の中の思い出に再び火を点けてくれ
過ぎ去った時を語ってくれ!
あるいはエルサレムの運命と同じ
辛い悲嘆の響きをもった悲劇を語れ
あるいは主によって美しい響きが惹き起こされ
それが苦痛に耐える勇気を我々に呼び覚ますように!
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(歌詞はGarzanti社版"Tutti i libretti di Verdi" ISBN 88-11-41061-4 より引用。試訳は引用者による)
初演時の評判――伝説とその検証
編集第二の国歌
編集脚注
編集参考文献
編集- Scott L. Balthazar(Ed.), "The Cambridge Companion to Verdi", Cambridge Univ. Press (ISBN 0-521-63535-7)
- Julian Budden, "The Operas of Verdi (Volume 1)", Cassell, (ISBN 0-304-31058-1)
- Charles Osbone, "The Complete Operas of Verdi", Indigo, (ISBN 0-575-40118-4)
- Roger Parker, "Leonora's Last Act", Princeton, (ISBN 0-691-01557-0)
- Pierluigi Petrobelli, Roger Parker(Tr.), "Music in the Theater", Princeton, (ISBN 0-691-02710-2)
- Teatro alla Scala, "Verdi e la Scala", Rizzoli, (ISBN 88-17-86622-9)
- 永竹由幸「ヴェルディのオペラ――全作品の魅力を探る」 音楽之友社 (ISBN 4-2762-1046-1)
- 日本オペラ振興会(編)「日本のオペラ史」 信山社 (1986年刊。書籍情報コードなし)
外部リンク
編集- 歌劇『ナブッコ』の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト