ニーガームジーク
ジャズやスウィング等を示すドイツ語
ナチス・ドイツ
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ワイマール共和国時代の1927年、エルンスト・クルシェネクのオペラ﹁ジョニーは演奏する﹂にはジャズ演奏が含まれていたので、当時ドイツで民族主義を唱える右派グループの反発を呼んだ。1930年、アメリカ人作曲家のヘンリー・カウエルはメロス誌上で、ジャズにはアフリカ系アメリカ人とユダヤ人の要素が混ざっていると主張した。
ジャズの本質は黒人のシンコペーションとリズムアクセントにある。その近代化はニューヨークのユダヤ人たちの仕事だ...従ってジャズはユダヤ人の眼を通してみた黒人音楽なのだ[4]。
独房にいる1945年11月のヴィルヘルム・フリック。かれはニュル ンベルク裁判にかけられ、その罪で1946年絞首刑になった。
この見方は直ちにナチスに採用された。彼らの批判は﹁不要なシンコペーションの使用﹂と﹁ドラムの多用﹂を含んでいた[5]。ナチスの声明はさらに﹁不道徳な芸術﹂﹁音楽表現の堕落した種﹂そして﹁俗悪なダンス様式﹂というものも含んでいた[6]。彼らは1930年代の現代音楽全てを﹁ユダヤ人の政治的武器﹂とみなして詳細に調べ上げた[7]。1930年5月4日、テューリンゲン州内務大臣兼教育大臣に新たに就任したヴィルヘルム・フリックは﹁黒人文化に反対する--我々のドイツ文化遺産のために﹂という法令を布告した[8][9]。
1932年にフランツ・フォン・パーペン首相率いる政府はナチスに迎合し、黒人音楽家の全ての公演を禁止した。1933年にアドルフ・ヒットラーが権力を握ると、その年に帝国音楽院[10]が設立された。これに続き1935年10月12日には、全ドイツの国営ラジオでこの音楽を禁止する法令が出された[11]。この禁止令はドイツ国家放送協会長オイゲン・ハダモフスキーが率先して主張したもので、彼は次のように述べたといわれている。
本日ここに私は、黒人ジャズをドイツ国営ラジオで流すことの完全な禁止を宣言する[8][12]。
1938年には、ナチスが企画した退廃音楽展がドイツで開催され、メイン会場はデュッセルドルフだった。この展示会では、アフリカ系アメリカ人男性がタキシードの襟にダビデの星を付けてサキソフォンを演奏している誇張画のポスターも展示された。展示会の主要テーマは、現代のアメリカ音楽を﹁ニーガームジーク﹂として、またドイツ文化へのユダヤ人の﹁陰謀﹂だとして誹謗中傷することだった[13][14]。
スウィング・キッズ
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﹁スウィング・キッズ﹂ (英語:Swing Kids、ドイツ語:スウィングユーゲント︵ドイツ語: Swingjugend︶) は、1930年代のドイツで、ハンブルクのザンクトパウリ地区やベルリンを中心に、ジャズやスウィングを愛好したグループのことである。グループは主として14歳から18歳の少年少女たちで構成されていた。彼らは私有地、クラブ、貸ホール、あるいは空きカフェなどで、禁止された音楽を聴いたり踊ったりすることで、国家社会主義 (ナチズム) に反抗していた[15]。ドイツのジャズはナチズムの反対にあった。というのはそれがしばしば黒人や多くのユダヤ人音楽家によって演奏されていたからである。スウィング・キッズは北アメリカのズートスーツ族と同様に、非政治主義の印象を与えた。
1941年8月18日、警察の粗暴な取り締まりにより、300人以上のスウィング・キッズが逮捕された。彼らに対する措置は、髪を刈られて監視付きで学校へ返されたり、リーダーは強制収容所へ送られたり、多岐にわたった。
1993年に公開された映画﹃スウィング・キッズ﹄は、当時のドイツでのスウィング・キッズたちの姿をフィクションで描いている。
第二次世界大戦
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ノルマンディー上陸作戦より前、ドイツがオランダを占領していた時期に、ヨーゼフ・ゲッベルス大臣が率いる国民啓蒙・宣伝省はオランダ語で書かれたパンフレット﹁英国からの挨拶--来るべき侵略﹂を作成した。このパンフレットには﹁古いジャズレコード﹂という言葉が使われていて、その本文には﹁解放の祝賀会であなたの娘と妻は本物の黒人に腕を取られて踊るだろう﹂と書かれていた[3] 。これは、この時代に﹁黒人﹂とジャズ音楽を同一視し、占領されたヨーロッパで人種主義と反連合国のプロパガンダを煽るものであった。しかしながら、ゲッペルスはナチがスポンサーとなったドイツのスウィング・バンド﹁チャーリー・アンド・ヒズ・オーケストラ﹂を結成し、その宣伝目的は短波放送を通してイギリスとアメリカの視聴者からナチへのサポートと共感を得ることであった[12]。
これに対して連合軍も、ナチが禁止した音楽への恐怖を使って対抗するプロパガンダを展開した。その例の一つはグレン・ミラー[3] で、彼はアメリカの白人ジャズミュージシャンであり、彼はラジオを通してジャズ演奏を披露し、連合軍の兵士たちに娯楽と士気を提供した。彼の音楽はまた、ファシストの弾圧を非難する対抗プロパガンダとしてAFNラジオを通じてヨーロッパに流された。ミラー自身、﹁アメリカは自由を意味し、音楽ほど真摯に自由を表現するものはない﹂と述べていた[16][17]。
第二次大戦後
編集関連項目
編集脚注
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(一)^ Gillmann, Sabine (2004年5月). “Jazz und der Nationalsozialismus--ein ambivalentes Verhältnis”. H-Net Reviews (H-German, Ruhr University Bochum). 2020年10月12日閲覧。
(二)^ “Black History and Germany – Afro-German Glossary”. About.com. 2020年10月12日閲覧。
(三)^ abc“Blacks: forgotten target of Europe's hate and love”. Chronicle World. 2011年9月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2011年9月19日閲覧。
(四)^ Polster, Bernd (1998) [1989] (German). Swing Heil – Jazz im Nationalsozialismus. Berlin: Transit Buchverlag. p. 9. ISBN 978-3-88747-050-0
(五)^ Wulf 1983, p. 350.
(六)^ Drechsler, Nanny (1988) [1988] (German). Die Funktion der Musik im deutschen Rundfunk, 1933-1945 (Musikwissenschaftliche Studien). Hans Heinrich Eggebrecht (edit.) volume 3. Pfaffenweiler: Centaurus. p. 126. ISBN 978-3-89085-169-3
(七)^ Wulf 1983, p. 353.
(八)^ abSchröder, Heribert (1988) [1988] (German). Zur Kontinuität nationalsozialistischer Maßnahmen gegen Jazz und Swing in der Weimarer Republik und im Dritten Reich. Colloquium – Festschrift Martin Vogel zum 65. Geburtstag. Bad Honnef: G. Schroder. p. 176
(九)^ Zalampas, Sherree (1990) [1990]. Adolf Hitler: A Psychological Interpretation of His Views on Architecture. US: Bowling Green University. p. 54. ISBN 978-0-87972-488-7
(十)^ “Music and the Holocaust: Reichskulturkammer & Reichsmusikkammer”. Music and the Holocaust: Home. 2020年10月12日閲覧。
(11)^ “GSB-Hamburg: World in Touch 10e (1999–2001), Politik & Geschichte”. Chronicle World (2011年9月19日). 2011年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月12日閲覧。
(12)^ ab“Wir haben damals die beste Musik gemacht”. Der Spiegel (1988年8月18日). 2011年9月19日閲覧。
(13)^ “Degenerate Music”. Florida Center for Instructional Technology. 2020年10月12日閲覧。
(14)^ “Im Dritten Reich verboten – Entartete Musik, Folge 1 (Rezension)”. Filmmusik auf Cinemusic.de. 2011年9月19日閲覧。
(15)^ “Case Study: Swing Kids”. HMD Trust. 2011年8月17日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月12日閲覧。
(16)^ Kater, Michael (2003) [1992]. Different Drummers: Jazz in the Culture of Nazi Germany. US: Oxford University Press. p. 173. ISBN 978-0-19-516553-1
(17)^ Erenberg, Lewis (1999). Swingin' the Dream: Big Band Jazz and the Rebirth of American Culture. US: University Of Chicago Press. p. 191. ISBN 978-0-226-21517-4
(18)^ “Martin Schäfer – Millionen von Elvis-Fans können sich nicht irren”. 2011年7月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月12日閲覧。 (Millions of Elvis-fans cannot be wrong) Retrieved 19 September 2011
(19)^ “Mythos 1968 – 1968 heute”. Bundeszentrale für politische Bildung. 2020年10月12日閲覧。 (Federal Agency for Civic Education) Retrieved 19 September 2011
出典
- Wulf, Joseph (1983) [1963] (ドイツ語). Musik im Dritten Reich – Eine Dokumentation. Gütersloh: Ullstein. ISBN 978-3-548-33032-7
参考文献
編集- en:Mike Zwerin (2000): Swing Under the Nazis: Jazz as a Metaphor for Freedom. Cooper Square Publishers, ISBN 978-0-8154-1075-1
- en:Clarence Lusane (2003): Hitler's black victims: the historical experiences of Afro-Germans, European Blacks, Africans, and African Americans in the Nazi era. Routledge, ISBN 978-0-415-93295-0, p. 200
外部リンク
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●Degenerate Music – Holocaust – Florida Center for Instructional Technology 2020年10月10日閲覧。
●Ebony | March 1966 | magazine | (p. 111) – Google Books 2020年10月10日閲覧。
●The Music Survives! Degenerate Music: Music Suppressed by the Third Reich 2020年10月10日閲覧。
●The Chronicle – Blacks: forgotten target of Europe's hate and love 2020年10月10日閲覧。
●Melos (1920–1934) – RIPM Journal Information 2020年10月10日閲覧。
●Music and the Holocaust: Swing Kids Behind Barbed Wire 2020年10月10日閲覧。
●Circular Breathing: The Cultural Politics of Jazz in Britain (George McKay) – Academia.edu 2020年10月10日閲覧。
●Django-World War II 2020年10月10日閲覧。
●Label of love: Blue Note | Music | guardian.co.uk 2020年10月10日閲覧。
●Offensive English translation of Arnold Schwarzenegger's last name? – Straight Dope Message Board 2020年10月10日閲覧。
●Is the German word "Neger" a pejorative?
●Case Study: Swing Kids – Resources – HMD Trust 2020年10月10日閲覧。