キニチ・ハナーブ・パカル1世
(パカル王から転送)
生涯
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キニチ・ハナーブ・パカル1世は603年に生まれた。当時のパレンケはたびたび他国からの侵略を受けており、611年には当時の超大国であったカラクムルに略奪されている[5]。
615年[注釈2]に12歳で即位し、80歳で没するまでの68年間にわたってパレンケを統治した[6]。治世の詳細は不明だが、それまで小国だったパレンケは、パカルが没するころまでに安定した強力な国に成長していた[7]。
治世の初期には東のポモナや西のコマルカルコを破ることでパレンケを安定させた[7]。659年には遠く離れたティカルの王ヌーン・ウホル・チャークがパレンケを訪れている。目的は明らかでないが、共通の敵であるカラクムルに対抗するためかもしれないという[8]。
パカルはまた大規模な建築を行ったことで知られる。宮殿の家E、B、C、A、Dを造り︵AとDは没後かもしれないという︶[9]、また碑文の神殿の建設を開始した[7]。
墓の発見
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メキシコの考古学者アルベルト・ルスがパレンケの碑文の神殿から下に通じる階段があることに気付き、1949年以降発掘を行った。1952年に王の墓室を発見した[10]。墓室の中央には巨大な石棺があり、その蓋にはトウモロコシの神の扮装をした若いパカル王の絵が描かれ、縁にはパカル王とその先祖の没した日付が記されていた[7]。遺体は大量のヒスイ製品で飾られ、ヒスイの仮面がかぶされていた[11]。
ルスは石棺の蓋に書かれた誕生日のツォルキンによる日付から被葬者を﹁8アハウ﹂と呼んだ[12]。1970年代にリンダ・シーリーとピーター・マシューズは碑文からパレンケ王朝史を解明し、王の名の文字に盾が使われていたので、盾を意味するパカルと呼んだ[13][14]。フロイド・ラウンズベリーは名前が実際に表音的に﹁pa-ca-l(a)﹂と書かれていることを指摘した[15]。
パカルの年齢を80歳とするシーリーらに対してルスは骨学的研究からありえないとして反対し、論争は1979年のルスの没後も長く続いたが、1952年当時は骨から年齢を得る手法が未発達であり、2006年の再調査によって67.5歳から90.7歳の間であると判断された[16]。
妻子
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b Martin & Grube (2000) p.162
- ^ a b 八杉佳穂 2003, p. 10.
- ^ ナサニエル・ハリス『古代マヤ 密林に開花した神秘の文明の軌跡をたどる』BL出版、2014年、38頁。ISBN 978-4-7764-0560-3。
- ^ キニチ・ハナーブ・パカル1世の母方の祖父もハナーブ・パカルといったが、王ではなかったらしい。Martin & Grube (2000) p.161
- ^ Martin & Grube (2000) pp.159-161
- ^ Martin & Grube (2000) p.162,165
- ^ a b c d Mathews (2001) pp.427-428
- ^ Martin & Grube (2000) pp.164-165
- ^ Martin & Grube (2000) p.164
- ^ Martin & Grube (2000) p.165
- ^ Martin & Grube (2000) p.166
- ^ Coe (1992) pp.194-195
- ^ Coe (1992) pp.204-207
- ^ Mathews, Peter; Schele, Linda (1974). “Lords of Palenque: The Glyphic Evidence”. In Merle Greene Robertson. Primera Mesa Redonda de Palenque, Part I
- ^ Lounsbury, Floyd G. (1974). “Pacal”. In Merle Greene Robertson. Primera Mesa Redonda de Palenque, Part I
- ^ Schele , Elaine Day (2016), The Bones of K'inich Janaab Pakal: A History of the Controversy Over His Age At Death, Mesoweb
- ^ Martin & Grube (2000) pp.162,168,171
- ^ Martin & Grube (2000) pp.168-170
- ^ Martin & Grube (2000) p.171
参考文献
編集- Coe, Michael D (1992). Breaking the Maya Code. New York: Thames and Hudson(日本語訳:マイケル・D.コウ『マヤ文字解読』創元社、2003年)
- Martin, Simon; Grube, Nikolai (2000). Chronicle of the Maya Kings and Queens. Thames & Hudson. ISBN 0500051038(日本語訳:『古代マヤ王歴代誌』創元社2002年)
- Mathews, Peter (2001). “Pacal”. The Oxford Encyclopedia of Mesoamerican Cultures. 2. Oxford University Press. pp. 427-428. ISBN 0195108159
- 八杉佳穂『マヤ文字を解く』中央公論新社〈中公文庫〉、2003年。
外部リンク
編集- ウィキメディア・コモンズには、キニチ・ハナーブ・パカル1世に関するカテゴリがあります。