Cupressaceae2
ヒノキ科
ヒノキ属の一種

ヒノキ属の一種Cupressus atlantica

分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Pinophyta
: マツ綱 Pinopsida
: マツ目 Pinales
: ヒノキ科 Cupressaceae
亜科

本文参照

形態

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葉はらせん状に配置、または対生で放射状に出る。多くの種で、幼樹では針状だが成熟すると小さい鱗状になるが、針状のままの種もある。古い葉はふつう個別に脱落するのでなく小枝ごと脱落するのもマツ科などと比べた時の大きな特徴である。多くは常緑で葉は2から10年残るが、スギ亜科に属するものには落葉性のものがある。また、常緑樹であっても冬は葉色が変わるものがある。子葉はふつう2つだが、6つあるものもある。

球果は木質または革状、またビャクシン属では液果状になり、鱗片1つに胚珠1個から数個がつく。球果の鱗片は葉と同じようにらせん状あるいは対生に配置する。種子は一般に両側に翼を持つが、一部に片側だけのものや持たないものがある。

生態

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乾燥地に生息する種から水辺に生息する種まで幅広い。

火災が頻発するような地域に住む種では、晩生球果(英;serotinous cone)と呼ばれる仕組みを持つものがある。これは成熟しただけでは球果の鱗片が開かずに、火災の強熱によって初めて開く仕組みとなっており、火災への適応とみられる。同じような仕組みは針葉樹ではマツ科マツ属の一部の種にみられる。異種寄生性のサビキンの宿主になるものがあり、特にビャクシン属に寄生するサビキンはバラ科の果樹類に赤星病と呼ばれる病気を引き起こす。

ヒノキ科樹木の根も菌類と共生した菌根を作るが、マツ科やブナ科などが外生菌根を作るのに対し、ヒノキ科はアーバスキュラー菌根と呼ばれる種類である。この菌根は草本植物を中心に多くの植物と菌根を作るが、目に見えるようなキノコは一般には作らない。このためヒノキ科を中心とする森林ではマツ科やブナ科を中心とする森林に比べてキノコの量と種類が貧弱である。

人間との関わり

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:pit[1][1]

分類

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系統

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Cupressaceae
Cunninghamioideae

Cunninghamia

Taiwanioideae

Taiwania

Athrotaxidoideae

Athrotaxis

Sequoioideae

Metasequoia

Sequoia

Sequoiadendron

Taxodioideae

Cryptomeria

Glyptostrobus

Taxodium

Callitroideae

Austrocedrus

Papuacedrus

Libocedrus

Pilgerodendron

Widdringtonia

Diselma

Fitzroya

Neocallitropsis

Actinostrobus

Callitris (Actinostrobus およびNeocallitropsisを含める説もあり)

Cupressoideae

Thuja

Thujopsis

Chamaecyparis (Fokieniaを含める説もあり)

Calocedrus

Tetraclinis

Microbiota

Platycladus

Cupressus ( Callitropsis, Cupressus, HesperocyparisもしくはXanthocyparisに置く説もあり)

Juniperus


下位分類

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コウヨウザン亜科(Subfamily Cunninghamioideae)

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以下の一属からなる単型(モノタイプ)の亜科。

中国南部に二種が分布する。

タイワンスギ亜科(Subfamily Taiwanioideae)

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Taiwania

Taiwania cryptomerioide70m


タイワンスギ属の樹皮の様子
  • タイワンスギ属の葉。枝から垂れ下がるように付く。
  • タスマニアスギ亜科 Subfamily Athrotaxidoideae

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    タスマニアに2種もしくは3種が知られている。山火事に弱く、山火事が頻発する同地においては分布が限られるという。

    セコイア亜科 Subfamily Sequoioideae

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    3

    Sequoia

     西Sequoia sempervirensS. sempervirensred wood(coastal red wood沿110m9m西PinusLarix


    セコイア属の樹皮
  • セコイア属の種子
  • 霧が頻繁に発生するような環境で生育する。
  • セコイア属の実生
  • セコイア属の雄花
  • 赤みの強いセコイアの木材
     


    Sequoiadendron

    西Sequoiadendron giganteum西giant sequoia


    セコイアデンドロン属の樹形
  • 60年生程度の比較的若いセコイアデンドロン属の樹形
    • メタセコイア属(Metasequoia)
    現生種はメタセコイアMetasequoia glyptostroboides)のみが知られる単型の属である。化石種を含めればあと数種いたことがわかっている。冬には落葉する。

    スギ亜科 Subfamily Taxodioideae

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    Taxodium

    3TaxodiumTaxusTaxodium distichum


    沼地に生えるヌマスギ属
  • ヌマスギ属の気根
  • 落葉したヌマスギ属
  • ヌマスギ属の球果
    • スイショウ属(学名;Glyptostrobus
    現生種は中国にスイショウGlyptostrobus pensilis、中国名:水松)一種だけが知られる単型の属である。和名は中国語名の音読みに由来。

    Subfamily Callitroideae

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    和名未定の亜科であるが、学名をそのまま読んでカリトリス亜科などと呼ばれることが多い。南半球で進化したグループである。樹形は綺麗なクリスマスツリー状にならず丸みを帯びるか、崩れたような印象になるものが多い。

    • Callitris
    和名未定の属。ニューカレドニアやオーストラリアに10種程度が分布する。あまり大きくなる種類ではなく、樹高は5m-20mほどである。マツ科マツ属の一部の種のように晩生球果(英:serotinous cone)の性質を持ち、熟しても閉じたままで樹上に残り、山火事の強熱を浴びたときにはじめて開いて種子を散布するような仕組みとなっている。
    • Actinostrobus
    和名未定の属。オーストラリア西部に3種が分布する。いずれも樹高10mに満たない小型種で球果は晩生球果の性質を持つ。
    • Widdringtonia
    和名未定の属。マラウイから南アフリカにかけてのアフリカ大陸南東部に4種が知られている。
    • Diselma
    和名未定の属。タスマニアに分布するDiselma archeri(和名未定)一種だけから成る単型属である。樹高は5mに満たない小型種で雌雄異株。
    • パタゴニアヒバ属(学名;Fitzroya
    南米に分布するパタゴニアヒバFitzroya cupressoides)一種だけから成る単型の属である。属名のFitzroveはイギリスの海軍軍人であり、南米を探検したロバート・フィッツロイ(Robert FitzRoy, 1805-1865)に因む。
    • Austrocedrus
    和名未定の属。南米チリからアルゼンチンにかけての温帯雨林に分布するAustrocedrus chilensis(和名未定)一種だけから成る単型の属である。属名Austrocedrusは「南の針葉樹」の意味、種小名前chiriensisは分布地チリに因む。
    • Pilgerodendron
    和名未定の属。南米に分布するPilgerodendron uviferum(和名未定)一種だけから成る単型の属である。雌雄異株の常緑樹で、最大樹高は20mほどの中型種。かつてはLibcedrus属と考えられていた。

    ヒノキ亜科 Subfamily Cupressoideae

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    Thuja

    5Thuja standishii:Abies


    クロベ属の樹皮
  • クロベ属の若い球果
  • クロベ属の開いた球果
     


    :Thujopsis

    Thujopsis dolabrataT. dolabrata30m使[2]


    アスナロの葉。白い気孔が目立つ。
     


     Chamaecyparis

    6(C. obtusa)C.pisifera20m70m


    アメリカ西部原産のローソンヒノキ(C. lawsonia
  • 丹沢山地におけるヒノキ植林地
  • タイワンベニヒノキC. formonensis)の樹形と樹皮
  • ヒノキ属の葉と球果
  • ヒノキの樹皮を用いた屋根である檜皮葺
    • フッケンヒバ属(学名;Fokienia
    中国南部からラオスベトナムにかけてフッケンヒバFokienia hodginsii)一種だけから成る単型の属である。中国名は福建柏。ヒノキ属に含める説もある、
    • Calocedrus
    和名未定の属。アジアに3種およびアメリカに1種が分布する。中国語名は肖楠(クスノキに似ている)や翠柏、英語名はincense ceader(香りのあるヒノキ)
    • Tetraclinis
    和名未定の属。アフリカ大陸北部の地中海沿岸地域に分布するTetraclinis articulata(和名未定)一種だけから成る単型の属である。T. articulataは樹高15mほどの小型~中型種。
    • Microbiota
    和名未定の属。ロシア極東に分布するMicrobiota decussata(和名未定)一種だけから成る単型の属である。M. decusattaは樹高1mに満たない小型種で、マツ科マツ属のハイマツPinus pumila)のように横に広がるように伸びる。
    • コノテガシワ属(学名;Platycladus
    コノテガシワPlatycladus orientalis)一種だけから成る単型の属である。コノテガシワもスギと同じく冬は葉が茶色に変色する。
    • Xanthocyparis
    和名未定の属で2000年代に提案された新しい属である。ベトナムに分布するXanthocyparis vietnamensis一種だけから成る単型の属である。アメリカの一種を加えて2種とする説もある。
    東アジアからヒマラヤにかけての地域と、アメリカ大陸に合計25種程度が知られる。樹高数mの小型種から40mに達する大型種まで含む。一般にアメリカ大陸の種はアジアのものより球果を構成する鱗片の数が少なく、鱗片上にはしばしば棘を有するなどの違いがありかつては別属にされていた。アメリカ産の一部の種には晩生球果の性質を持つものがある。

    脚注

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    1. ^ a b IAWA 国際木材解剖学者連合(編), 伊東隆夫ら訳. 2006. 針葉樹材の識別 IAWA による光学顕微鏡的特徴リスト. 海青社. 滋賀.
    2. ^ 楠本倫久. 2012. ヒノキ科球果に含まれる生物活性成分. 木材保存38(5), pp198-209. doi:10.5990/jwpa.38.198

    関連項目

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    外部リンク

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