ポリュペーモス
単眼の巨人
編集『オデュッセイアー』でのポリュペーモス
編集
海神ポセイドーンとポルキュースの娘トオーサの息子[2][3]。キュクロープスのひとりとされる。ホメーロスの叙事詩﹃オデュッセイアー﹄第9書で、オデュッセウスが語る航海譚に登場する。
ポリュペーモスはキュクロープスたちの中でも最も大きい体を持ち、キュクロープスたちの島の洞窟に住んでいた。オデュッセウスがトロイア戦争からの帰途、この島に立ち寄った際、12人の部下とともにポリュペーモスの洞窟に閉じ込められた。
部下たちが2人ずつ食べられていくうち、オデュッセウスは持っていたワインをポリュペーモスに飲ませて機嫌を取った。これに気をよくしたポリュペーモスは、オデュッセウスの名前を尋ね、オデュッセウスが﹁ウーティス﹂︵ギリシア語で﹁誰でもない﹂の意︶と名乗ると、ポリュペーモスは﹁おまえを最後に食べてやろう﹂といった。
ポリュペーモスが酔いつぶれて眠り込んだところ、オデュッセウスは部下たちと協力して巨人の眼を焼けた杭で潰した。ポリュペーモスは大きな悲鳴を上げ、それを聞いた仲間のキュクロープスたちが集まってきたが、誰にやられたと聞かれてポリュペーモスが﹁ウーティス︵誰でもない︶﹂と答えるばかりであったため、キュクロープスたちはみな帰ってしまった。
オデュッセウスたちは羊の腹の下に隠れて洞窟を脱出し、船に戻って島から離れた。このとき、興奮したオデュッセウスが本当の名を明かして嘲笑したため、ポリュペーモスはオデュッセウスに罰を与えるよう父ポセイドーンに祈り、以後ポセイドーンはオデュッセウスの帰還を何度も妨害することになった。ポリュペーモスがオデュッセウスによって眼を潰されることは、エウリュモスの子テーレモスによって予言されていたという。
ポリュペーモスとガラテイア
編集詳細はガラテイアを参照。
アルゴナウタイの一員
編集脚注
編集- ^ “ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説”. コトバンク. 2018年3月17日閲覧。
- ^ 『オデュッセイアー』1巻70行-73行。
- ^ アポロドーロス、摘要(E)7・4。