ヨンシエブモンゴル語: Юншээбүү Yöngshiyebü中国語: 永謝布英語: Yngsiyeb)とは15世紀16世紀に活躍したモンゴルの一部族。15世紀中頃にアスト部やハラチン部を傘下に置いて強勢となり、ダヤン・ハーンの六トゥメン(六万戸)の一つに数えられた。

名称

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岡田英弘は「ヨンシエブ」の語源が元代の「永昌府」であるとし、ヨンシエブ部は永昌府に拠ったコデン・ウルスの末裔であるとした[1]。一方、中国の学者は「雲需府」がヨンシエブの語源であるとの説を出している[2]

歴史

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オイラト支配時代

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ムスリム諸侯の時代

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西姿()[9]

ボルジギン氏の支配

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構成部族

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歴代首長

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異姓貴族

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  1. エセン・サマイ
  2. ベグ・アルスラン・タイシ(癿加思蘭)
  3. イスマイル・タイシ(亦思馬因)
  4. イブラヒム・タイシ(亦不剌)

ボルジギン氏

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  1. アル・ボラト(那力不頼台吉)…ダヤン・ハーンの第八子
  2. ボディダラ・オトハン・タイジ(我托漢卜只剌台吉)…バルス・ボラトの子供、アルタン・ハーンの弟
  3. エンケダラ・ダイチン・タイジ(恩克跌児歹成台吉/永邵卜大成台吉)…ボディダラの息子
  4. エンケ・セチェン・ノヤン(恩克七慶台吉/隠克台吉)…エンケダラの息子

脚注

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  1. ^ 岡田2010,302-306頁
  2. ^ 薄音湖 1986,1-2頁
  3. ^ 『蒙古源流』では夢のお告げを見たのはエセン自身となっている(岡田2004,193-194頁)
  4. ^ 岡田2004,194頁
  5. ^ 薄音湖 1986,3頁
  6. ^ 岡田2004,208-209頁
  7. ^ 岡田2004,219頁
  8. ^ 井上2002,147頁
  9. ^ 井上2002,20頁
  10. ^ 『蒙古源流』では「アストとヨンシエブ」を領有したのはその弟ウバサンジャとされるが、これは『蒙古源流』の誤りである(森川1976,141-142頁)
  11. ^ 岡田2004,250-251頁
  12. ^ 吉田1998,267-268頁
  13. ^ 原史料では「舎奴郎」とされるが、これは「奴」「郎」を転倒しており、「舎郎奴=Sirnud=Sirsud」とするのが正しいとされる
  14. ^ 和田 1959,373-374頁
  15. ^ 薄音湖 1986,4-5頁

参考資料

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  • 井上治『ホトクタイ=セチェン=ホンタイジの研究』風間書房、2002年
  • 岡田英弘訳注『蒙古源流』刀水書房、2004年
  • 岡田英弘『モンゴル帝国から大清帝国へ』藤原書店、2010年
  • 森川哲雄「チャハル・八オトクとその分封について」『東洋学報』58巻、1976年
  • 吉田順一『アルタン・ハーン伝訳注』風間書房、1998年
  • 和田清『東亜史研究(蒙古篇)』東洋文庫、1959年
  • 薄音湖「関于永謝布」『内蒙古大学学報』第1期、1986年

関連項目

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