ラ・ジョコンダ
『ラ・ジョコンダ』(伊語:La Gioconda)は、アミルカレ・ポンキエッリが作曲した全4幕から構成されるオペラ。第3幕におけるバレエ音楽『時の踊り』はコンサートでしばしば演奏される有名な楽曲である。
![](http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/b/be/PonchielliGioconda.jpg)
作曲の経緯と初演
編集原作とリブレット
編集- 原作:ヴィクトル・ユーゴーの戯曲『パドヴァの僭主アンジェロ』(Angelo, tyran de padoue, 1835年発表)を基にする。
- リブレット:アッリーゴ・ボーイトがイタリア語訳のリブレットを作成。ボーイトは筆名として「トビーア・ゴッリオ」という名で使用していた。
登場人物
編集人物名 | 声域 | 役 |
---|---|---|
ジョコンダ | ソプラノ | ヴェネツィアの歌姫 |
エンツォ・グリマルド | テノール | 公爵。今は追放の身となっている |
アルヴィーゼ・バドエロ | バス | 司法長官 |
バルナバ | バリトン | 歌手。アルヴィーゼの腹心の密偵 |
ラウラ・アドルノ | メゾソプラノ | 司法長官アルヴィーゼの妻。エンツォの元恋人 |
チェーカ | アルト | ジョコンダの母で盲目 |
ズアーネ(ツァーネ) | バス | ゴンドラ乗りの出場者 |
イゼポ | テノール | 代書屋(公証人) |
歌手 | バス | |
水先案内人 | バス |
その他(合唱):観客たち、議員たち、貴族の男女たち、仮装した人々、多勢の群衆たち、歌手たち、修道僧たち、水夫とその見習いたち、騎士たち、エキストラ(黙役)。
楽器編成
編集演奏時間
編集あらすじ
編集時と場所:17世紀のヴェネツィア。
前奏曲
編集当時の慣例に従って、前奏曲によって幕を開ける。主要動機は第1幕のチェーカの歌うロマンツァ『貴婦人か天使のような声』の後半のロザリオの言葉で歌われるものである。演奏時間は約5分程。
第1幕 ライオンの口
編集- 公爵邸の中庭
第2幕 ロザリオ
編集- フジーナ海の荒涼とした岸辺の周辺
第3幕 黄金の家(全2場)
編集第1場 アルヴィーゼの邸宅の一室
編集アルヴィーゼは妻の不貞を知るや否や怒りを露わにし、妻を毒殺することを決意する。そこにラウラが来てアルヴィーゼに問い詰められる。しかし白状しないラウラに業を煮やしたアルヴィーゼは死を命じ、毒薬の入った瓶を渡して出て行く。一方忍び込んでいたジョコンダはラウラに駆け寄り、瓶を奪い取って代わりに仮死状態になる秘薬を与える。躊躇うラウラだったがようやく飲んで倒れるのを見て、ジョコンダは空瓶を移し替えて急いで出て行く。
第2場 舞踊室
編集場面が変わって、館の大広間にある舞踊室で多くの人々が集まっている。ここで有名なバレエ音楽『時の踊り(La danza delle ore)』が踊られる。バレエが終わるとバルナバが邸内に忍び込んでいたジョコンダの母チエカを連れて現れる。ラウラの死を告げる鐘の音が響いてくる。客の中にいたエンツォはつけていた仮面を取り正体を明かし、アルヴィーゼに対して領地と恋人を奪った恨みとして名乗りを上げる。大広間は混乱状態となる。
アルヴィーゼはカーテンを引いてベッドに横たわるラウラ(仮死状態)を客たちに見せ、「殺したのは自分だ」と言い放つ。エンツォは短剣を手にとってアルヴィーゼを刺そうとするが、衛兵たちにすぐに取り押さえられ、会衆の叫びが入り混じる中、バルナバはチエカを連れ去る。
第4幕 オルファノ運河
編集- ジュデッカ島の荒れ果てた宮殿
短い前奏曲(アンダンテ)で始まるが後の結末を予期させる。荒れ果てたジュデッカ島の宮殿の一室にジョコンダは一人物思いにふける。そこへ歌手仲間の2人の男が黒いマントに包まれた仮死状態のラウラを運び入れる。ジョコンダは昨晩から姿を消しているチエカを探すよう頼んで男2人はその場を後にする。懐剣を見つめて毒薬の入った瓶を手に取るジョコンダは自分に幸せがもたらされるのではないかと希望を捨て切れず、心が揺れ動く(アリア「自殺!」を歌う)。そこへエンツォが現れ、ラウラのために自分も死ぬつもりであると決意しているエンツォを引き留め、彼女の身体を他の場所に移動したことを言うと、エンツォは怒り、短剣を抜いてジョコンダに差し迫ったところでラウラが目覚め、2人の前に姿を現す。事情を知ったエンツォはジョコンダの計略に感謝し、ラウラとエンツォは小舟に乗って去って行く。
ジョコンダ一人となったところへバルナバが近寄り、約束の履行を迫るバルナバにジョコンダは「裏切らない、身体をあげましょう」と言い、その直後自ら心臓に短刀を刺して倒れる。驚いたバルナバは怒り半分に「チエカを運河に沈めて殺した」と罵りと同時に叫ぶが、ジョコンダの死を見届け、狂気半ばして小言を呟きつつその場を去る。そして幕を閉じる。
ポピュラー音楽での使用
編集第3幕第2場のバレエ音楽「時の踊り」はもっとも有名であり、しばしば単独で演奏される。
ディズニーは『シリー・シンフォニー』シリーズの「春」(1929年)で使用し、1940年公開の映画『ファンタジア』ではカバのバレリーナを主役としたダチョウ、ゾウ、ワニたちの踊りの音楽に使用された。
1962年に、ナンシー・シナトラが「レモンのキッス」(原題: Like I Do)としてポピュラー・ソングにアレンジして歌った。この歌はアメリカ本国より日本で人気が生じ、ザ・ピーナッツをはじめ多くの歌手がカバーした。
1999年にはブリーフ&トランクスが「カテキン」のタイトルでアレンジしたものを発表している他、2002年には小柳ゆきが「Lovin' You」の題でアレンジを行い、スマッシュ・ヒットを飛ばしている。
参考資料
編集外部リンク
編集- ラ・ジョコンダの楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト