五輪書
宮本武蔵の著した兵法書
構成
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書名の由来は密教の五輪︵五大︶からで、それになぞらえて﹁地・水・火・風・空﹂の六巻に分かれる。
地の巻
自らの流を二天一流と名付けたこと、これまでの生涯、兵法のあらましが書かれている。﹁まっすぐな道を地面に書く﹂ということになぞらえて、﹁地の巻﹂とされている。
水の巻
二天一流での心の持ち方、太刀の持ち方や構えなど、実際の剣術に関することが書かれている。﹁二天一流の水を手本とする﹂剣さばき、体さばきを例えて、﹁水の巻﹂とされている。
火の巻
戦いのことについて書かれている。個人対個人、集団対集団の戦いも同じであるとし、戦いにおいての心構えなどが書かれている。戦いのことを火の勢いに見立て、﹁火の巻﹂とされている。
風の巻
他の流派について書かれている。﹁風﹂というのは、昔風、今風、それぞれの家風などのこととされている。
空の巻
兵法の本質としての﹁空﹂について書かれている。
「風の巻」における他流派批判
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●長太刀を用いる流派に対しては、接近戦に不向きであり、狭い場所では不利となり、何より長い得物に頼ろうとする心がよくないと記す。
●短太刀を用いる流派に対しては、常に後手となり、先手を取れず、相手が多数の場合、通用せず、敵に振り回されると記す。
●太刀を強く振る︵剛の剣の︶流派に対しては、相手の太刀を強く打てば、こちらの体勢も崩れる上、太刀が折れてしまうことがあると指摘する。
●妙な足使い︵変わった足捌き︶をする流派に対しては、飛び跳ねたりしていたら、出足が遅れ、先手を取られる上、場所によっては動きが制限されると指摘する。
●構え方に固執する流派に対しては、構えは基本的には守りであり、後手となる。敵を混乱させるためにも構えは柔軟であるべきと記す。
●奥義や秘伝書を有する流派に対しては、真剣の斬り合いにおいて、初歩と奥義の技を使い分けたりはしないとし、当人の技量に応じて指導すべきと記す。
これらの他流派批判をすることにより、二天一流の有用性を説いている。
関連項目
編集- オリンピック - 五輪の旗を掲げるオリンピックを「五輪」と訳したのは読売新聞の川本信正記者。由来は「五輪書」からで、文字数が減らせることから他のマスコミに普及した。
- ヴァーストゥ・シャーストラ
関連書籍
編集- 渡辺一郎 『五輪書』 岩波書店〈岩波文庫〉、ISBN 4003300211
- 底本 細川家本
- 三橋鑑一郎注 『劍道祕要』 体育とスポーツ出版社、2002年、ISBN 4-88458-132-6
- 五輪之書『劍道祕要』附録 武蔵實傳二天記 武徳誌発行所 明治42年9月(1909年) 鹿屋体育大学附属図書館の校訂
- 魚住孝至校注 『定本五輪書』 新人物往来社、ISBN 4-404-03238-2
- 底本 細川家本 楠家旧蔵本、九州大学本、丸岡家本、狩野文庫本を参照
- 大倉隆二訳・校訂 『決定版五輪書現代語訳』 草思社、ISBN 4-7942-1306-9
- 九州大学所蔵本。福岡藩家老 吉田家。
- 松延市次訳・校訂、松井健二監修 『決定版 宮本武蔵全書』 弓立社、ISBN 4896673018
- 楠家本
- 松延市次編 『校本五輪書』 (第一分冊 諸本一覧 2001年)(第二分冊 索引編・付ロシア語版『五輪の書』 2003年)(第三分冊 資料編 2001年)自家版
- 長尾剛 『新釈「五輪書」』 PHP研究所、2002年、ISBN 978-4-569-57761-6
外部リンク
編集- 五輪書 解題移転