喬木村立椋鳩十記念図書館
長野県喬木村の公立図書館
(喬木村椋鳩十記念館から転送)
喬木村立椋鳩十記念図書館(たかぎそんりつむくはとじゅうきねんとしょかん)は、長野県下伊那郡喬木村にある、公立図書館。喬木村出身の児童文学者である椋鳩十を顕彰する喬木村椋鳩十記念館(たかぎむらむくはとじゅうきねんかん)を併設する[8]。
喬木村立椋鳩十記念図書館 | |
---|---|
施設情報 | |
正式名称 | 喬木村立椋鳩十記念図書館 |
専門分野 | 総合 |
事業主体 | 喬木村 |
管理運営 | 喬木村教育委員会 |
延床面積 | 861[1] m2 |
開館 | 1992年(平成4年)8月9日[2] |
所在地 |
〒395-1101 長野県下伊那郡喬木村1459番地2 |
位置 | 北緯35度30分56.5秒 東経137度52分31.2秒 / 北緯35.515694度 東経137.875333度座標: 北緯35度30分56.5秒 東経137度52分31.2秒 / 北緯35.515694度 東経137.875333度 |
ISIL | JP-1001734 |
統計・組織情報 | |
蔵書数 | 80,187冊(2016年[4]時点) |
貸出数 | 37,657冊(2015年度[5]) |
来館者数 | 約120人(2016年3月[6]) |
年運営費 | 8,712千円(2015年度予算[7]) |
条例 | 喬木村立椋鳩十記念図書館条例(平成4年3月25日喬木村条例第9号) |
館長 | 大原文男(2016年4月現在) |
職員数 | 5人(2016年現在[3]) |
公式サイト | 公式サイト |
備考 | 猫館長:ムクニャン(2016年4月就任[6]) |
地図 | |
プロジェクト:GLAM - プロジェクト:図書館 |
歴史
編集
記念図書館の開館するまでは、公民館図書室が図書館の役割を担っていた[9]。図書室運営を担当した公民館図書部は、椋鳩十の作品をはじめとする読書活動を村民に対して展開し、読書意欲を高めた[9]。こうした図書部の活動や村民の読書への思いが記念図書館の設置へつながり、その運営に引き継がれることとなった[9]。
そしてふるさと創生事業で1億円が日本国から交付された際に、喬木村は使途に関する村民アンケートを実施し、その回答で椋鳩十の顕彰施設を求める声が多かったことから、図書館と記念館を併設した施設として[8]1992年︵平成4年︶8月9日に開館した[2]。また館内に村民の文化活動の発表の場として﹁村民ギャラリー﹂が[8]、屋外にはふれ愛散策路が整備された[9]。1996年︵平成8年︶時点の蔵書数は36,353冊でうち19,952冊を児童書が占めていた[8]。また同時点で椋鳩十関係資料338点を所蔵していた[8]。
2004年︵平成16年︶11月から12月にかけて、椋の生誕100周年を記念して﹁椋鳩十の生い立ち写真展﹂を開催した[10]。2016年︵平成28年︶4月1日には、同年1月下旬に図書館の駐車場で保護された迷子のネコ﹁ムクニャン﹂が正式に猫館長に就任した[6][11]。
記念図書館
編集記念館
編集猫館長
編集
2016年︵平成28年︶1月の雪の降ったある日、駐車場で推定3歳の茶トラのオス猫が職員に保護された[6]。図書館では飼い主を探したものの見つからず、子供らの要望を受けて同年4月1日に猫館長に就任した[6]。
猫館長に就任した猫は、椋鳩十にちなんで﹁ムクニャン﹂と命名された[6]。ムクニャンは、夜間は記念図書館長宅で飼われ、朝に記念図書館長とともに出勤し、日中は軒下の段ボール小屋で眠ったり、来館者について歩いたりして過ごしている[6]。また猫館長として出迎えや見送りを行う[11]。記念図書館では、ムクニャンの効果で2016年︵平成28年︶3月の入館者が前年同月の2倍となる120人に達した[6]。
-
猫館長ことムクニャン
-
入り口にて
-
外出するムクニャン
主な取り組み
編集
喬木村は﹁椋の里で未来を切り拓く心豊かな人づくり﹂を総合振興計画で掲げており、記念図書館および記念館では、椋を顕彰し椋に関する資料の収集をするだけでなく、彼の精神に則った図書館運営を心がけている[9]。椋は児童文学者であったばかりでなく鹿児島県立図書館の館長を務めた実績もあり、その際に提唱した運動を記念図書館でも実施している[9]。
母と子の20分間読書運動
編集
この運動は椋が鹿児島県立図書館の館長時代に提唱したもので、椋の講演会を通して日本全国に広められた[9]。記念図書館ではブックスタートの際に母親らにこの運動の趣旨である絵本の楽しさ・大切さや親子の絆の重要性を伝えた後に絵本をプレゼントし、読書を継続してもらえるように絵本や紙芝居の蔵書の充実を図っている[9]。また、おはなしの部屋、絵本の会、お楽しみ会などの行事を通して、運動の趣旨を広めようとしている[9]。
全村読書の日
編集
椋鳩十の﹁むく﹂の語呂から6月9日、﹁はとじゅう﹂の語呂から8月10日の2日を﹁全村読書の日﹂と位置付け、両日はテレビを消して読書をしようと呼びかけている[9]。ここから派生して、椋鳩十夕やけ祭︵毎年11月下旬から12月上旬の間に開催︶を含む10日間を﹁全村読書旬間﹂としている[9]。
2009年︵平成21年︶8月10日の全村読書の日には、﹁こどもとしょかん祭り﹂という企画を行った。この企画では、午前中に図書館の本を使ってクイズに答え、正解することで﹁おにぎりの具﹂を獲得し、隣接する喬木村中央社会体育館でおにぎりを作って食べ、午後に﹁おはなし広場﹂を開催するというものであった[9]。
椋鳩十賞 読書感想文コンクール
編集
椋の文学作品の中から毎年﹁課題図書﹂を設定してその読書感想文を募集するコンクールである[8]。2016年︵平成28年︶で29回を迎えた[15]。当初は長野県内の小中学生を対象としていた[8]が、2016年︵平成28年︶現在は、小学校1・2年生、小学校3・4年、小学校5・6年、中学校、一般の4部門を開催し、居住地には言及していない[15]。賞は最高の﹁椋鳩十賞﹂、優秀賞、佳作の3つあり、佳作以外は各部門から1人ずつ賞が与えられる[15]。椋鳩十夕やけ祭の際に表彰式が執り行われる[15]。
村内の諸機関との連携
編集交通
編集脚注
編集
(一)^ “3奉仕対象人口・施設・児童サービス”. 平成28年度長野県公共図書館概況. 県立長野図書館 (2016年10月). 2017年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月8日閲覧。
(二)^ abc"この一品 ﹁森の少女﹂元原稿▲▲▲椋鳩十記念館︵長野県喬木村︶ 晩年の代表作、貴重な遺品"朝日新聞2014年1月27日付朝刊、鹿児島版30ページ
(三)^ “6職員”. 平成28年度長野県公共図書館概況. 県立長野図書館 (2016年10月). 2017年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月8日閲覧。
(四)^ “5資料”. 平成28年度長野県公共図書館概況. 県立長野図書館 (2016年10月). 2017年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月8日閲覧。
(五)^ “8貸出”. 平成28年度長野県公共図書館概況. 県立長野図書館 (2016年10月). 2017年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月8日閲覧。
(六)^ abcdefghi湯浅聖一 (2017年4月7日). “椋鳩十記念館 迷い猫、館長に就任 長野・喬木”. 毎日新聞. 2016年7月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月11日閲覧。
(七)^ “4財政”. 平成28年度長野県公共図書館概況. 県立長野図書館 (2016年10月). 2017年2月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月8日閲覧。
(八)^ abcdefghijk丸山 1998, p. 256.
(九)^ abcdefghijklmnop久保田 2009, p. 709.
(十)^ ﹁椋鳩十の生誕100年オペレッタで祝う あす喬木で 講演や感想文表彰も﹂朝日新聞2004年11月27日付朝刊、長野版30ページ
(11)^ ab“喬木村立椋鳩十記念館・記念図書館長に迷い猫のムクニャンが就任”. カレントアウェアネス・ポータル. 国立国会図書館 (2017年4月11日). 2017年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月11日閲覧。
(12)^ abc“児童文学者﹃椋鳩十﹄の故郷 喬木村”. 喬木村立椋鳩十記念図書館・喬木村椋鳩十記念館. 2017年2月11日閲覧。
(13)^ “喬木村立椋鳩十記念図書館規則”. 喬木村立椋鳩十記念図書館規則 (1992年3月30日). 2017年2月11日閲覧。
(14)^ ab“椋鳩十記念館・椋鳩十記念図書館 - 児童文学者﹃椋鳩十﹄の故郷・喬木村”. 南信州.com (2016年4月25日). 2017年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月11日閲覧。
(15)^ abcd“第29回椋鳩十賞 読書感想文コンクール”. 喬木村立椋鳩十記念図書館 (2016年5月12日). 2017年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月11日閲覧。
(16)^ ﹁椋鳩十記念館 郷里へ寄せる思い伝える﹂朝日新聞2003年9月12日付朝刊、長野版26ページ
(17)^ ab“喬木村椋鳩十記念図書館”. 信州の文化施設. 八十二文化財団. 2017年2月10日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年2月11日閲覧。
参考文献
編集
●久保田毅﹁小規模図書館奮戦記 その154 長野県・喬木村立椋鳩十記念図書館 “活字の林をさまよい思考の泉のほとりにたたずむ”﹂﹃図書館雑誌﹄第103巻第10号、日本図書館協会、2009年10月、708頁。
●丸山信﹃長野県の図書館﹄三一書房︿県別図書館案内シリーズ﹀、1998年3月31日、278頁。ISBN 4-380-98223-8。
関連項目
編集外部リンク
編集- 喬木村 椋鳩十記念館・喬木村立 椋鳩十記念図書館
- 喬木村立椋鳩十記念館・記念図書館 (takagi.mukutosyo) - Facebook