奥田亡羊
日本の歌人
来歴
編集受賞歴
編集
●1999年、作品﹁砂のダンス﹂で第42回短歌研究新人賞次席。[5][6]
●2005年、作品﹁麦と砲弾﹂で第48回短歌研究新人賞を受賞。[7]
●2008年、第一歌集﹁亡羊﹂で第52回現代歌人協会賞を受賞。[8]
●2018年、第二歌集﹁男歌男﹂で第16回前川佐美雄賞を受賞。[9]
●2022年、第三歌集﹁花﹂で第27回若山牧水賞を受賞。[10]
著書・評論
編集歌集
編集- 第一歌集『亡羊』(短歌研究社 、2007年)ISBN 978-4-86272-038-2
- 第二歌集『男歌男』(短歌研究社、2017年)ISBN 978-4-86272-528-8
- 第三歌集『花』(砂子屋書房、2021年)ISBN 978-4-7904-1808-5
共著・編著
編集- 『論争奈良美術』(平凡社、1994年)(共著)
- 『美しい日本語のすすめ』(財務省印刷局、2002年)(共著)
- 『東大寺〜美術史研究の歩み〜』(里文出版、2003年)(共著)
- 『シリーズ牧水賞の歌人たちvol.2「佐佐木幸綱」』(青磁社、2006年)(編著)ISBN 4861980305
評論・鑑賞
編集- 没後30年前川佐美雄特集「代表歌50首+鑑賞の手引」(角川短歌2020年7月号)
- 「牧水のイデア」(「第27回若山牧水賞記録集」2023年)
- 「牧水、後期三〇首」(沼津市若山牧水記念館館報第72号2024年)
作品
編集佐佐木幸綱の「男歌」の影響を受けつつ、過去を引きずる中年男を主題にした短歌などに特色がある[11]。台本の記法を取り入れた短歌など実験的な手法も取ることがある。
『亡羊』
- 宛先も差出人もわからない叫びをひとつ預かっている
- 砲弾がはるかな空をよぎる日のみずうみを脱ぐ蛇の恍惚
- 腕なくば箸を使わぬ食い方があるのだ天に揺れる向日葵
- 自転車を燃やせば秋の青空にぱーんぱーんと音がするなり
- 兵士1 ニンゲンは/兵士2 犬に食われてしまうほど/兵士3 自由なりけり/兵士4 空が青いな[12]
『男歌男』
- つわぶきの花の暗さを思いつつ体ひとつで落ちてゆく眠り
- 貝の裏とろりとろりと光りおり子を身籠もれる人の遊びに
- 石像となりたる夢に石の首落として千の椿咲かしむ
- 雨脚をほそほそと引く春雨に燃えているのは愛のある家
- 黒き傘さして運河を下りゆく 娘よ、父は雨に降る雪
『花』
- 鏡の奥にひと月ぶりの髭を剃る/空には竜の匂いがした
- 月光をもろ手ざわりに揉みしだく/菊ならば菊におい立つまで
- 鳥葬のような交わり重ねつつ/夜ごとに人の青空を見る
- アルバイトの経験をとえば俯きて/鹿の腑分けの熱さを語る
- フラワーなビューティフルなり/青空の下であなたと抱き合っていた
論文
編集- 「蟹満寺本尊考」佛教藝術208号(毎日新聞社、1993年)
番組制作
編集参考文献
編集脚注
編集- ^ 『短歌研究 2014年12月号(2015短歌年鑑)』(短歌研究社、2014年)巻末「歌壇名簿」より
- ^ 公益財団法人全国篤志面接委員連盟『篤志面接委員名簿』(令和元年7月1日版)より
- ^ 短歌と定型考えたい 奥田亡羊さん 現代歌人協会賞 - 朝日新聞デジタル、「仏壇」奥田亡羊(「六花」vol.8六花書林2023年)
- ^ 佐佐木幸綱論集『心の花の歌人たち』ながらみ書房
- ^ 短歌研究1999年9月号
- ^ 菱川善夫講演集『素手でつかむ火-90年代短歌論』(ながらみ書房2001年刊)で菱川善夫は「砂のダンス」の作品の「ナンセンスの歌」「笑いの歌」を取り上げ、石川啄木との共通点を指摘している。
- ^ 短歌研究2005年9月号
- ^ 現代歌人協会ホームページよりhttp://kajinkyokai.cafe.coocan.jp/report2.html
- ^ 短歌往来2018年6月号
- ^ 宮崎日日新聞2022年12月23日記事より
- ^ “(ひと)奥田亡羊さん 中年男や働く高校生の歌を詠む元NHKディレクター:朝日新聞デジタル”. 朝日新聞デジタル (2023年4月5日). 2024年3月11日閲覧。
- ^ 歌集に「ニンゲンは犬に食われるほど自由だ。」藤原新也『東京漂流』の脚注がある
外部リンク
編集- 奥田亡羊さんの本棚(ドキュメントシリーズ つながる本棚 第二章)インタビュアー 九条Tokyo店主・撮影編集 大小田直貴・撮影日 2021年8月
- 東郷雄二「橄欖追放 第9回 奥田亡羊『亡羊』(奥田亡羊作品書評)
- 「現代歌人ファイルその6・奥田亡羊」-トナカイ語研究日誌 (同上)