屋外排泄
傾向
編集一般
編集
一般的にトイレが近くに無く我慢出来ない時に行われることが多い。羞恥心および汚す箇所を最小限にとどめ、目立たなくするといった理由で、隅の方や、目立たない場所、ドブなどの溝、元々汚れている所で行われる事が多い。植物による目隠しや、分解される事を期待して、自然の中で排尿が行われることも多い。
子供のトイレトレーニングの一環で行わせることもある。かつての日本でも、庭で小さい子に排尿させることは当たり前に行われてきた。これは当時、布おむつが使われていたため洗う手間を省くためでもある。子供がトイレやおまるで排泄することに恐怖心を抱いているときに、行わせることもあった。
ドライブ中に催し、渋滞に巻き込まれるなどして、パーキングエリア︵サービスエリア︶のトイレまで持たないときには、緑地帯や、路肩、駐車場で行われることもある。
登山またはハイキングをしていてトイレが見当たらない時、トイレのない場所でキャンプをしているときで、なおかつ携帯トイレを持ち合わせていない時に行われる。隠語として男性は﹁キジ撃ち﹂女性は﹁花摘み﹂が用いられいる。森林では、樹木が生い茂っており、奥へ入れば目隠しになるため行われる。キャンプの際に行われることが多い。
地域性
編集排泄物
編集
尿の方が回数が多く液体であり、乾燥して蒸発するなどして跡が残りにくい事から、罪悪感も少なく行われ、排泄物をそのままにしておく傾向にある。その反面、糞の方は固体であり、跡形や臭いが残りやすいことから滅多に行われない。
イレギュラー
編集自分の性的欲求を満たすため、他者の羞恥心を煽るために行う事もある。
海外
編集中国
編集
中国は、田舎、街中、公共の場所問わず、子供の排泄には寛容な傾向にある。その象徴たるものが股割れズボンで、しゃがみこむだけで用が足せるようになっている。ただし、中国政府は2008年北京五輪を前にマナー向上の一環で街中での用足しをやめるよう周知したため、人々の意識も変わりつつある。
モンゴル
編集モンゴルの遊牧生活をしている人々は、パオまたはゲルと呼ばれる移動式住居に住んでいるが、その住居にトイレはなく、大地に用を足している。
インド
編集インドは宗教上の理由からトイレを設けない家屋が多く、2015年の段階で5億2,300万人が屋外排泄を行っている推計があり、世界最大の屋外排泄大国となっている。これにより特に都市部では衛生状況の悪化が深刻化しており、インド政府や国際機関などがその習慣をやめるよう促している[4]。
ナイジェリア
編集強く禁止される場所
編集野外排泄に関する日本の法規定
編集この節は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。 |
屋外で排泄することは、予想できない渋滞の発生時やトイレの無い山中などでは緊急避難として許されることもあるが基本的には軽犯罪法違反である。すなわち、同法第1条に、﹁次の各号のひとつに該当する者は、拘留または科料に処する﹂。そして第26号に﹁街路又は公園その他公衆の集合する場所で、たんつばを吐き、または大小便をし、もしくはこれをさせた者﹂とある。
また、場所によっては刑法第142条の﹁浄水汚染﹂(付近に飲料水として使用されている井戸や水源地などがあった場合)、同第261条﹁器物損壊等﹂(他人の所有物が汚染された場合)、同第174条﹁公然わいせつ﹂(人々が集合したり往来のある場所などで陰部を露出して排泄した場合)によって処断されたケースもあり、更に公衆衛生上も好ましくないため認められる行為ではない。男女の性別も問われない。
科学的見地から
編集
﹁小便は樹木類の肥料となる﹂との理由で他人の野外排尿を擁護する人もいるが誤りである。日本では昭和時代中期まで人の糞尿を農耕の肥料として用いてきたため、このような誤解が広まったと推測される。むしろ、草花に定期的に放尿しているとその植物は逆に枯れてしまうことが多い。小便を肥料として用いるには、肥溜めのような施設に一定期間放置し、発酵を待つ必要がある。大便は窒素やリン酸などを含有しており、脱糞直後の状態でもある程度は肥料になりうるが、本来は小便と同様、肥溜め等で発酵させてから用いられたものである。
なお、昆虫採集家が野外で採集する際に、野糞を行うことがある。すると、動物の糞を好む昆虫 つまり糞虫やハエ類が集まってくる。もし採集家がこの類の採集を求める場合、時間をおいて立ち戻り、集まった昆虫を採集する。昆虫採集の方法として、このような虫を捕るために糞を用意しておいて、それを置いて集める方法があり、これはトラップのひとつとされる。そこから、このような自分の糞で虫を集めることをセルフトラップと呼ぶ。南方熊楠もこれを行っていた記録がある。
脚注
編集
(一)^ "立小便". デジタル大辞泉. コトバンクより2022年2月5日閲覧。
(二)^ "野糞". 精選版 日本国語大辞典. コトバンクより2022年2月5日閲覧。
(三)^ “立ち小便に悩むドイツの大聖堂 建物が腐食”. BBCニュース. 2023年12月18日閲覧。
(四)^ ﹁家から離せ﹂ヒンドゥーの教え トイレが遠いインド 朝日新聞︵2017年11月27日︶2017年12月3日閲覧
(五)^ “ナイジェリア、屋外での排便撲滅キャンペーンを開始 4600万人が屋外で排せつ”. AFP (2019年11月23日). 2019年11月23日閲覧。
関連項目
編集- 排尿#野原などトイレがない場所
- 排便#道端などトイレ以外での排便
- 携帯トイレ、バケツトイレ、Flying toilet(ビニール袋などに詰められた携帯トイレが放置され飛散する事例)
- 尿失禁、便失禁
- 伊沢正名 - 野糞を意識的に行っている写真家
- SATO - 途上国のトイレ環境を改善するために考案された安価なプラスチック製トイレ(便器)
- 世界トイレの日
- 衛生状態の改善
- Urine deflector ‐ 野外排泄されそうな場所に設置される装飾。