渡島大島
北海道、松前郡にある無人島
渡島大島︵おしまおおしま︶は、北海道松前郡松前町に属する無人島である。松前大島︵まつまえおおしま︶とも呼ばれる。松前町西方沖50kmの地点に位置する。大島の名は渡島小島に対してのもの。住所は全域にわたって松前郡松前町大島。
渡島大島 | |
---|---|
画像中央右が最高峰の江良岳、中央やや左に見える火口が寛保岳。二重カルデラの様子が分かる。 国土交通省 国土地理院 地図・空中写真閲覧サービスの空中写真を基に作成。(1976年撮影の3枚を合成作成。) | |
所在地 | 日本 |
座標 | 北緯41度30分40秒 東経139度21分30秒 / 北緯41.51111度 東経139.35833度座標: 北緯41度30分40秒 東経139度21分30秒 / 北緯41.51111度 東経139.35833度 |
面積 | 9.73 km² |
最高標高 | 737 m |
最高峰 | 江良岳 |
プロジェクト 地形 |
地理
編集
渡島大島の面積は、約9.73km2 で、日本の施政下で最大の無人島である[1]。島は北に開いた馬蹄形カルデラと、その中に形成された大きなスコリア丘からなる火山であり、最高峰は江良岳︵737m︶。海底から見ると2,000m近い高さになる。島の西端は東経139度20分16秒で、北海道の最西端に当たる。島の周囲の海底は急深で、距岸約500mで水深100mとなる。馬蹄形カルデラは島から約5km北部の海底まで連続しており、山体崩壊時の総体積は約2.5km3と推定されている[2]。
火山活動の歴史
編集
渡島大島は離島である上に無人島であるため、噴火活動の記録はほとんど残されていない。数少ない記録では、1741年︵寛保元年︶8月27日の寛保岳の大噴火がある。噴火の翌日、津波が発生し、対岸の熊石から松前にかけて1,467人の死者を出した。本州の津軽藩︵当時の藩主は津軽信著︶でも被害が記録されている。全体の死者は合計で2,033人。津波の高さは3mで、佐渡島でも津波が観測されている。この津波は﹁寛保津波︵かんぽうつなみ︶﹂と呼ばれている。津波の原因は、噴火による大規模な山体崩壊によるという説[3]と、火山性地震・低周波地震 (M6.9、Mt8.4)によるもの[4]との説があり、気象庁は山体崩壊説[5]を採っている。東京大学地震研究所などによる研究では山体崩壊の規模に比べて津波の規模が大きいと考えて地震説が有力[6]としていたが、周辺海底の調査から山体崩壊が海底に及んでいたことが判明し、さらなる研究が行われている。
「寛保津波」も参照
自然
編集「松前矢越道立自然公園」も参照
交通
編集参考文献
編集- 中村庸夫『島の名前』東京書籍、2004年。 NCID BA68954174。,ISBN 4487798582,ISBN 4487800471
出典
編集
(一)^ 中村庸夫 2004, p. 20.
(二)^ Kenji Satake (2007). “Volcanic origin of the 1741 Oshima-Oshima tsunami in the Japan Sea” (PDF). Earth, Planets and Space 59(5): 381-390 2016年10月13日閲覧。.
(三)^ 竹内章﹁日本海東縁奥尻海嶺および周辺の大地震と海底変動.﹂﹃JAMSTEC 深海研究﹄16II、海洋研究開発機構(JAMSTEC)、2000年、29-46頁、NAID 80011584053、NDLJP:1016368。
(四)^ 日本海東縁海域の活構造およびその地震との関係 (PDF) ︵独︶産業技術総合研究所 地質調査総合センター
(五)^ 渡島大島 有史以降の火山活動
(六)^ 相田勇﹁噴火により発生する津波の見積り : 1741年渡島大島の場合﹂﹃東京大学地震研究所彙報﹄第59巻第4号、東京大学地震研究所、1984年、519-531頁、doi:10.15083/0000032911、ISSN 00408972、NAID 120000871729、2021年10月30日閲覧。
(七)^ 中村庸夫 2004, p. 20,21.
(八)^ 北海道開発局事業審議委員会 平成29年度第1回
関連項目
編集外部リンク
編集- 国土地理院 地図閲覧システム 2万5千分1
- 羽鳥徳太郎「北海道渡島大島津波(1741年)の供養碑」『東京大学地震研究所彙報』第54巻第2号、東京大学地震研究所、1979年、343-350頁、doi:10.15083/0000033110、ISSN 00408972、NAID 120000871534。
- 気象庁 北海道の活火山 渡島大島
- 活断層研究センターニュース no32
- 渡島大島の位置と歴史
- 大島漁港の管理に関する調査 (PDF)