現代仮名遣い

日本語の仮名表記の規範
現代仮名遣から転送)



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概要

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19461986



姿[]

内閣訓令と告示

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内閣訓令第八号 - 「現代かなづかい」の実施の関する件 - 各官廳[1]
  國語を書きあらわす上に、從來のかなづかいは、はなはだ複雑であって、使用上の困難が大きい。これを現代語音にもとづいて整理することは、教育の負担を軽くするばかりでなく、國民の生活能率を上げ、文化水準を高める上に資するところが大きい。それ故に、政府は、今回國語審議会の決定した現代かなづかいを採択して、本日内閣告示第三十三号をもって、これを告示した。今後、各官廳については、このかなづかいを使用するとともに、廣く各方面にこの使用を勧めて、現代かなづかい制定の趣旨の徹底するように務めることを希望する。
 - 昭和二十一年十一月十六日 - 内閣総理大臣 吉田茂
内閣告示第三十三号 - 現代國語の口語文を書きあらわすかなづかいを、次の表のように定める[2]現代かなづかい
一、このかなづかいは、大体、現代語音にもとづいて、現代語をかなであらわす場合の準則を示したものである。 
一、このかなづかいは、主として現代文のうち口語体のものに適用する。
一、原文のかなづかいによる必要のあるもの、またはこれを変更しがたいものは除く。 - 本表(省略)
 - 昭和二十一年十一月十六日 - 内閣総理大臣 吉田茂

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内閣告示第一号 - 現代仮名遣い 
一般の社会生活において現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを、次のように定める。
なお、昭和二十一年内閣告示第三十三号は、廃止する。[3]
1. この仮名遣いは、語を現代語の音韻に従つて書き表すことを原則とし、一方、表記の慣習を尊重して一定の特例を設けるものである。
2. 法令、公用文書、新聞、雑誌、放送など、一般の社会生活において、現代の国語を書き表すための仮名遣いのよりどころを示すものである。
3. 科学、技術、芸術その他の各種専門分野や個々人の表記にまで及ぼそうとするものではない。
4. 主として現代文のうち口語体のものに適用する。原文の仮名遣いによる必要のあるもの、固有名詞などでこれによりがたいものは除く。
5. 擬声・擬態的描写や嘆声、特殊な方言音、外来語・外来音などの書き表し方を対象とするものではない。
6. 「ホオ・ホホ(頰)」「テキカク・テッカク(的確)」のような発音にゆれのある語について、その発音をどちらかに決めようとするものではない。
7. 点字、ローマ字などを用いて国語を書き表す場合のきまりとは必ずしも対応するものではない。 
8. 歴史的仮名遣いは、明治以降、「現代かなづかい」(昭和21年内閣告示第33号)の行われる以前には、社会一般の基準として行われていたものであり、今日においても、歴史的仮名遣いで書かれた文献などを読む機会は多い。歴史的仮名遣いが、我が国の歴史や文化に深いかかわりをもつものとして、尊重されるべきことは言うまでもない。また、この仮名遣いにも歴史的仮名遣いを受け継いでいるところがあり、この仮名遣いの理解を深める上で、歴史的仮名遣いを知ることは有用である。付表において、この仮名遣いと歴史的仮名遣いとの対照を示すのはそのためである。 - 以下本文(省略)
 - 昭和六十一年七月一日- 内閣総理大臣 中曽根康弘

歴史

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190033調





194116

19462111



198156

198661


三十三年式と臨時仮名遣調査委員会

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190033

190641調調[4]調

国語調査会と森鷗外

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192110調[5]1319241224

1925142調19221161922︿11 797816調


表音主義の台頭

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表記法

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使
  • 【表音表記則】拗音・促音などは仮名の小書きを行う。ただし歴史的仮名遣でも行うことがある。

長音表記

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オ列長音表記

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便便

オ列長音は長音か助動詞か

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助動詞「う」

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西


その他長音表記

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字音仮名遣の扱い

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仮名遣の比較

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歴史的仮名遣との比較

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歴史的仮名遣で「ワ」と発音する「は」「わ」が「わ」に一本化されている。ただし助詞の「は」は変えていない。

「イ」と発音する「い」「ひ」「ゐ」が「い」に一本化されている。

「ウ」と発音する「う」「ふ」が「う」に一本化されている。

「エ」と発音する「え」「へ」「ゑ」が「え」に一本化されている。ただし助詞の「へ」は変えていない。

「オ」と発音する「お」「ほ」「を」が「お」に一本化されている。ただし助詞の「を」は変えていない。

「オー」、「コー」、……と発音する「あう」「あふ」「おう」「おふ」、「かう」「かふ」「こう」「こふ」、……の類いが「おう」、「こう」、……に一本化されている。

「キュー」、「シュー」、……と発音する「きう」「きふ」「きゆう」、「しう」「しふ」「しゆう」、……の類いが「きゅう」、「しゅう」、……に一本化されている。ただし「言ふ」は「い」を変えず「いう」としている。

「キョー」、「ショー」、……と発音する「きやう」「きよう」「けう」「けふ」、「しやう」「しよう」「せう」「せふ」、……の類いが「きょう」、「しょう」、……に一本化されている。

「カ」、「ガ」と発音する「か」「くわ」、「が」「ぐわ」が「か」、「が」に一本化されている。

「ヂ」「ジ」、「ヅ」「ズ」と発音する「じ」「ぢ」、「ず」「づ」が「じ」、「ず」に一本化されている。ただし同音の連呼によって生じた「ぢ」「づ」および二語の連合によって生じた「ぢ」「づ」は変えていない。

「現代かなづかい」との比較

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助詞の表記:「は」「を」「へ」

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/

[]

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四つ仮名の表記:「じ」「ぢ」「ず」「づ」

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便便便












「中」の例

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31

「地」の例

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[]


「図」の例

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「図」は漢音は「ト」呉音は「ズ」と読むので、「図画」「地図」はそれぞれ「ヅガ」「チヅ」でななく「ズガ」「チズ」だという。「圖」が本来の字であって「図」は「囗」の中に「ツ」の変形を入れたことが議論を複雑にしている。

分析的意識の根拠

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  • 字音仮名遣で「ぢ/づ」となる読みを「じ/ず」とする。
  • 字音仮名遣で清音「ち/つ」であるが、日本語で用いられる内に濁音になったものの扱い。
  • いわゆる国語仮名遣の範疇である和語における「ぢ/づ」の扱い。



/使/使/

3291955︿301110/,

//

合拗音・四つ仮名の方言

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現代仮名遣いに対する批判

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仮名遣歴史的仮名遣を参照。

漢字への依存

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使

語幹の変化

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「言う」では認めないのに形容詞のオ列長音では認めるという矛盾など。語幹については上述。

五十音図に応じた活用の消失

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五十音図の成立について、以下のような説がある。

成立過程については諸説あるが、従来からの国語文法において、五十音図が活用を説明する上で便利であり、そこには表記における正則性が認められた。活用は必ず同じ「行」に属する、というわけであるが、現代かなづかい以降生じた文法変更の要請によって、その正則性がくずれた。たとえば、ハ行転呼音によるハ行活用の未然形がワ行になり、それ以外の活用形でのア行と分かれたことである。

これら国語文法は、教育において、以前のものは文語文法、現代かなづかいによる変化を加えたものを口語文法として呼び分けることがあるが、本質は同じ体系の文法論である。その口語文法においては、この変則性を例外であると教えることになる。

語(文語) 語幹 未然 連用 終止 連体 已然 命令
問ふ と–
語(口語) 語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令 志向 音便
問う と–



便便便便便

適用範囲の逸脱

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原理的に適用が不可能であるはずの古文に対しても無理に現代仮名遣いが適用されている。

  • 学校教育において古文を現代仮名遣いに書き換える問題が出題されている。
  • 古文である「君が代」の歌詞の「いはほ」が法律上「いわお」とされている。


脚注

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  1. ^ 文部省教科書局国語課『五十音順当用漢字音訓表』 文部省、P41
  2. ^ 文部省教科書局国語課『五十音順当用漢字音訓表』 文部省、P42
  3. ^ 現代仮名遣い 訓令,告示制定文(文化庁)
  4. ^ 「森林太郎」は鷗外の本名
  5. ^ のちの国語審議会は臨時国語調査会を継承した。

参考文献

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外部リンク

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