発禁
概要
編集現行の事例
編集中華人民共和国
編集1998年のアカデミー賞にノミネートされたアメリカ映画「クンドゥン」は、ダライ・ラマ14世の半生を描いたものであるとして、中華人民共和国で上映及び公開禁止となっている。
中国国内の経済格差という社会問題に触れた「迷失北京」は、中国政府の掲げる社会テーマと一致しないという理由で、中国映画審査機構より上映禁止となり、「迷失北京」から「苹果」(リンゴ)と改題、映画審査機構による5回の審査を受ける。2007年の第57回ベルリン国際映画祭への出品にあたり、北京市の不衛生な町風景と天安門広場及び中華人民共和国の国旗など、中国イメージの対外的な低下に繋がるシーンについて、当局から削除が命じられている[3]。
日本
編集現在の日本では、日本国憲法第21条において検閲が禁止されているため、法制度上の発禁は原則存在しない。
したがって、出版等が禁止されるのは、私人間の民事訴訟において、裁判所の判決または仮処分により出版等の差止めが命じられる場合に限られる。
民事訴訟において人権侵害(名誉毀損、プライバシーの侵害等)や著作権の侵害(著作権法第112条)が認定された場合は、販売差止め(出版差止め)が命じられ、これを俗に発売禁止ということもある。
アメリカ
編集アメリカ合衆国憲法修正第1条において、報道の自由が保障されている。しかし、報道の自由と個人のプライバシー権の議論がおこなわれ、政府が公開した情報なら合法という最高裁の決定が、Florida Star v. B. J. F.(被害者情報を州法に反して保安官事務所が出してしまい被害者に保証金が支払われた。それを基に出版社の方針に反して記事を誤って出版してしまった事件の発禁処分に対しての裁判)にて下った。
イギリス
編集- 進行中の裁判を妨害する事件情報:Contempt of Court Act 1981により発禁となる。
- Sexual Offences (Amendment) Act 1992 - 性的暴行の被害者の情報は発禁となる。
カナダ
編集発禁については、Criminal Code (刑法)に次の情報は発禁処分になると記されている[4]。
- Section 486.4(1) and (2) - 性的暴行被害者の個人情報の公開
- Section 486.4(3) - 18歳未満の証人、児童ポルノ対象者の個人情報の公開
- Section 486.5(1) - 被害者または目撃者を特定できる情報の公開
- Section 486.5(2) - テロ組織・犯罪組織などの犯罪事件に関与した司法関係者の個人情報の公開
- Section 517/Section 539 - 係争中の裁判情報
- Section 631(6) - 裁判所が発禁が必要と判断した陪審員を特定できる情報
過去の事例
編集日本
編集占領・日本国憲法下での発禁
編集大東亜戦争(太平洋戦争)敗戦後の被占領期の日本においては、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)はプレスコードなどを発して民間検閲支隊による検閲を実行し、連合国や占領政策に対する批判、連合国軍の犯罪、日本を肯定するものなどに対し発禁処分などにした。
出版差し止めの例
編集脚注
編集参考文献
編集関連項目
編集- 言論統制
- 封印作品
- 廃盤
- プランゲ文庫
- 表現の自由
- 上映禁止となった映画の一覧
- 絶版 - 裁判で回収命令も行われる。
- 強姦被害者保護法
- 『Hit Man: A Technical Manual for Independent Contractors』‐ 1983年にアメリカの主婦によって書かれ、Paladin Pressから出版された殺人の手法が書かれた犯罪小説。いくつかの事件の参考にされたという疑いから発禁となった。