砂漠化
砂漠化︵さばくか︶とは、もともと植生に覆われた土地が、不毛地になっていく現象をいう。
また、ここでいう砂漠は﹁植物の生育や農業に適さない土地﹂といった意味が強く、かならずしも乾燥した地域を意味する砂漠気候の﹁砂漠﹂を意味しない。
ナミビアのナミブ砂漠
一例として、雨が極端に多いために表面土壌が流されて植物が育たなくなったり、適度な雨や灌水、移流霧などの水分の供給があっても流砂や低温、塩化により砂漠化してしまうことがある。
乾燥帯の移動など気候の変化による自然現象としての砂漠化もあるが、人為的かつ大規模な農耕の末に砂漠化してしまった地域は、気候の変化、土壌流出など地表の構造が崩れることから、植生の復活が困難になる例が多い。
砂漠化した土地に緑の植生を取り戻す活動を緑化という。またもともと砂漠であった土地の緑化は砂漠緑化という。ただし、砂漠緑化の失敗を指して砂漠化とは、通常は呼ばない。
砂漠化の主な種類
編集砂漠化した地域とその原因
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中東、特にメソポタミア︵現在のイラク︶は、農業が始められた最初の文明が起きた地域といわれている。ここは緑が豊かで土壌も肥えていたが、過度な農業活動により土壌が渇いていったことと、河の上流にあった森林の伐採によって上流に降った雨が一気に河に流れ込むことにより洪水が発生し、下流の表土を流し去った。また、灌漑によって表土の塩性化を招いた。さらには上流からアルカリ性の土砂が流れ込み、植物の成育に向かなくなった。
同様のプロセスはエジプトやインダス河流域でも起きている。インダス河流域に発達したインダス文明は、メソポタミア文明(シュメール)との交流が強く、同様の農業活動を行なったと思われる。森林は焼き煉瓦を作るために伐採された。
農耕地帯ではしばしば土壌の維持や再生力を無視した大規模な農地開発が行われ、結果的に﹁砂漠化﹂を招いた例がある。
モザンビークの砂漠化は、砂嵐などによる砂丘での砂の移動によって悪化しており、環境上の特徴や、地球温暖化を含む気候変動など、複数の要因によって砂漠化が加速している[2]。
●インドにおける焼き煉瓦生成のための森林の大規模な伐採。多くの地域では当時の地層に含まれる有機物の量がほとんどゼロに近い。
●米国におけるダストボウル。
●中国における大躍進政策の失敗 →中国の砂漠化問題。
●ソ連における自然改造計画によるアラル海環境悪化。
●北朝鮮の主体農法の失策。
●南アメリカ、オセアニアなどの熱帯雨林における焼畑農業。
●サヘル地域︵サハラ砂漠南方︶における家庭用燃料の採取︵潅木の伐採︶、過放牧[3]。
出典
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(一)^ “世界最大の砂漠である﹁サハラ砂漠﹂はかつて緑にあふれていた”. GIGAZINE (2019年9月3日). 2021年3月16日閲覧。
(二)^ “深刻化する環境問題に耐えるモーリタニア |”. GNV. 2020年1月3日閲覧。
(三)^ “アフリカの巨大な緑の壁‥サハラ砂漠の拡大防止に向けて”. GNV (2017年4月13日). 2021年3月29日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 砂漠化する地球
- 中国の砂漠化
- 前進する砂漠との戦いに敗れつつある中国 - ウェイバックマシン(2017年3月14日アーカイブ分)
- アフリカの砂漠化
- 砂漠が前進し、文明は後退する - ウェイバックマシン(2017年3月15日アーカイブ分)
- 国連砂漠化対処条約ホームページ