前年の﹃拝啓天皇陛下様﹄と同じく、棟田博の兵隊小説・拝啓天皇陛下様を原作としているが、前作にて主人公は死んでしまっており、﹁軍隊は天国だと思っている純朴な男﹂というコンセプト以外は、設定その他全て変わっている別物である。また前作と比べると、戦後のエピソードが多い。脚本家として山田洋次が名を連ねている。
主人公である山口善助は軍犬兵であるが、オープニングのスタッフクレジットには、登場する犬︵起用された犬は全て警察犬︶の名前全てが表記されている。
子供の頃から器量が悪い山口善助。家族は食べた魚の中毒で既に亡くなっている。汲み取り屋をやっていたことから﹁ウンコの善さん﹂とからかわれるが、そんな彼にも召集令状が届く。善助を朋友と慕う華僑の王夫妻に髪を切ってもらい、入隊する善助。
入隊以降6年もの間一等兵から出世出来ず、﹁モサクレ﹂と揶揄される善助は、配属された中国本土の軍犬部隊にて、善助に大変懐き、賢い軍犬・トモハルと出会う。やがて終戦を迎え、善助は日本に帰国するが、かつてトモハルの飼い主であった元華族の未亡人・久留宮夫人に人生を捧げようと決意する。しかし久留宮夫人の亭主はシベリアから復員し、善助はケイ子と結婚する。
- 製作:白井昌夫
- 原作:棟田博「拝啓天皇陛下様」
- 企画:市川喜一、高島幸夫
- 脚本:野村芳太郎、多賀祥介、山田洋次
- 音楽:芥川也寸志
- 撮影:川又昻
- 美術:宇野耕司
- 編集:浜村義康
- 録音:栗田周十郎
- スチル:小尾健彦
- 照明:三浦礼
- 監督:野村芳太郎