船体消磁(せんたいしょうじ、Deperming)とは主に軍艦の船体を消磁すること。

ワシントン州キトサップ海軍基地内のドックにて消磁作業中のシーウルフ級原潜 USSジミーカーター

潜水艦を含む軍艦では海上・海中・空中の磁気の乱れによって敵に発見・攻撃される恐れや磁気感応式機雷に反応するリスクが高まるため、不必要な磁気を船体から除く必要がある。

船体磁気

編集

3LMLongitudinal magnetismVMVertical magnetismAMAthwartship magnetism
















船体消磁

編集
 
横須賀消磁所を航行中のすおう

海上自衛隊では横須賀消磁所で船体の永久磁気を定期的に消磁している。特に水上鋼鉄艦艇の艦首艦尾方向の消磁を「デパーミング」と呼び、船体外周に大きなコイルをゆっくりと通して、電流の極性を変えながら徐々に弱くしていくことで磁気を消していく。

潜水艦では、艦載消磁装置の消費電力削減のためにあらかじめ誘導磁気を打ち消すように船体永久磁気を付けている。また潜水艦の垂直方向の消磁作業「フラッシング」も実施している。

艦載消磁装置

編集

磁気処理で消磁出来なかった永久磁気と地磁気による誘導磁気を中和するための艦載消磁装置の調整も横須賀消磁所、佐世保磁気測定所、仮屋磁気測定所で行なわれる。敏感な磁気センサーによって測定された船底磁場が最少となるように、艦載消磁装置の消磁コイルに流す電流値が調整される。この作業は消磁装置の調定(キャリブレーション)と呼ばれ、定期的に実施されている。

消磁コイルには方向別に名前が付いている。Lコイルは艦首艦尾方向、Aコイルは横方向、Mコイルは垂直方向、F.G.コイルは垂直方向での艦首と艦尾での差を打ち消す。

磁場歪

編集
 
対潜哨戒機に取り付けられたMADブーム

Magnetic Anomaly Detector MAD


歴史

編集

第二次世界大戦初期の英国艦隊は、ドイツが英国沿岸に敷設した磁気感応式機雷に悩まされていた。英海軍では船体外周に消磁コイルを巻いて船体の磁気を消すのに成功した。これが船体消磁の最初である。

参考文献

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集