赤西蠣太
あらすじ
編集作品の成立
編集歴史小説であり恋愛小説である『赤西蠣太』は、1913(大正2年)に『伊達騒動 蒲倉仁兵衛』から着想を得て書かれた。講談では「触れれば落ちるというおさんどん風の女になっていて、下等な感じで滑稽に使われていた[1]」小江が、「もしこの女が実は賢い女で赤西蠣太が真面目な人物であることを本当に見抜いていたら[1]」という仮定のもと、それを主題として書かれる。同年『仁兵衛の初恋』を執筆するも、時代考証の段階で挫折。1917(大正6年)、『仁兵衛の初恋』での失敗をもとに『赤西蠣太の恋』を執筆・発表した。
『伊達騒動 蒲倉仁兵衛』
編集蒲倉仁兵衛は、白石城の城主である片倉小十郎の命によって伊達兵部のスパイとして仕えている浪人である。時を同じく甲斐のもとへ潜入している今村半之丞と情報の共有をする中で、そろそろ白石へ帰る頃合いだと話が上がる。後に残る半之丞のために何か罪でも犯して逃げてほしいという旨を聞き入れ、仁兵衛は屋敷にいる玉笹という女性に艶書を書き、汚名を被ろうと画策する。しかし玉笹から色良い返事に戸惑いながらも、狙い通り噂は広がり屋敷を脱出することに成功する。 白石への道中出会った八郎兵衛から甲斐による非道な行いを聞いた蠣太はその行いと敵討ちも兼ね全てを報告し、悪事を暴いていく。
登場人物
編集モデル人物
編集蠣太は志賀直哉説
編集蠣太は志賀直哉の祖父説
編集小江は志賀家の女中説
編集映画
編集赤西蠣太 あかにしかきた | |
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監督 | 伊丹万作 |
脚本 | 伊丹万作 |
原作 | 志賀直哉 |
出演者 |
片岡千恵蔵 毛利峯子 原健作 上山草人 |
音楽 | 高橋半 |
撮影 | 漆山裕茂 |
製作会社 | 片岡千恵蔵プロダクション |
配給 | 日活 |
公開 | 1936年6月18日 |
上映時間 | 85分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
略歴・概要
編集ランキング
編集- 1936年:「キネマ旬報ベストテン」(キネ旬発表)第5位
- 1959年:「日本映画60年を代表する最高作品ベストテン」(キネ旬発表)第19位
- 1979年:「日本公開外国映画ベストテン(キネ旬戦後復刊800号記念)」(キネ旬発表)第17位
- 1989年:「大アンケートによる日本映画ベスト150」(文藝春秋発表)第45位
- 1995年:「オールタイムベストテン・日本映画編」(キネ旬発表)第31位
- 1999年:「映画人が選ぶオールタイムベスト100・日本映画編(キネ旬創刊80周年記念)」(キネ旬発表)第82位
スタッフ
編集キャスト
編集- 赤西蠣太 - 伊達兵部の家来だが実は間諜:片岡千恵蔵
- 原田甲斐 - 謀反を起こそうとする重臣:片岡千恵蔵
- 伊達兵部 - 謀反を起こそうとする殿:瀬川路三郎
- 青鮫鱒次郎 - 原田甲斐の家来だが実は間諜:原健作
- 小波 - 奥女中:毛利峯子
- 沖の石 - 奥女中の老女:滝沢静子
- 安甲 - 按摩:上山草人
- 鱶平 - 駕籠屋:林誠之助
- 浅利貝之丞:阪東国太郎
- 角又鱈之進:志村喬
- 菅野小助:芝田新
- 松前鉄之助:杉山昌三九
- 入船屋鯖右衛門:関操
- 伊達安芸:葛木香一
- 柴田外記:鳥居正
- 政岡:梅村蓉子
- 門番:川崎猛夫
- 奥方:東栄子
その他
編集- 『花のお江戸の釣りバカ日誌』(1998年)に引用されている。
テレビドラマ
編集1958年版
編集日本テレビにて、1958年1月7日から同年1月28日まで4回に渡って『山一名作劇場』で放送。初のテレビ化と共に、唯一の連続ドラマである。
スタッフ
編集キャスト
編集日本テレビ 山一名作劇場 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
赤西蠣太 |
1961年版
編集TBS系列にて、1961年の4月9日に『東芝日曜劇場』の1作品として放送された。映画版のシナリオをもとに制作された。
スタッフ
編集キャスト
編集1968年版
編集現代演劇協会と毎日放送の共同制作で、1968年4月16日の22時 - 23時に『テレビ文学館 名作に見る日本人』の1作品として、NETテレビ(現・テレビ朝日)系列にて放送された(毎日放送は当時、NET系列であった)。
スタッフ
編集キャスト
編集1999年版
編集スタッフ
編集キャスト
編集地図・地名
編集【仙台坂の伊達兵部屋敷】 現在、東京都港区南麻布一丁目と元麻布一丁目の境を下る長い坂。
【原田甲斐の仙台屋敷】 現在の汐留駅構内にあたる、都電通りと御浜公園の間後に仙台屋敷があった。
【御浜御殿】 現在の浜離宮恩賜庭園で、現在も公園として残る。
脚注
編集- ^ a b 志賀直哉 (1928(昭和3)年). 創作余談. 改造社
- ^ 1883-1971., 志賀直哉, (Heisei 5 [1993]). 志賀直哉集. Kadokawa Shoten. ISBN 4-04-572031-6. OCLC 35213587
- ^ 幸夫, 水洞, (1988-02-18). 「赤西蠣太」論 : 大正六年の志賀直哉素描. OCLC 697944835
- ^ 町田栄 「志賀直哉『赤西蠣太』を読む」 〔群馬近代文学研究会 第六巻〕 昭和五十八(1983)年六月一日発行.
- ^ 勝倉壽一 「志賀直哉「赤西蠣太」論―「和解」への道―」 〔福島大学教育学部論集 第六十六号〕 平成十一(1999)年六月発行.