鬆
鬆(す)とは、本来は均質であるべきものの中にできた空間をいう。
概要
編集料理・食材における「す」
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ダイコンやゴボウなどの根菜類、スイカなどの果実において、﹁す﹂ができることが多い。組織が外側に向かって成長しすぎることなどが原因で、内部が割れて空間︵亀裂︶ができるのである。﹁す﹂ができると見た目だけではなく、味や食感に変化が見られるため商品価値は著しく落ち、通常は出荷にはいたらない。冷蔵庫などにおいて保管している際にも生じることがある。とくにスイカにおいてはその熟れ具合を手で叩いて音を聞き分けることがあるが、﹁す﹂が入っていると響きのない独特の音となるために食前にわかることがある。
また、豆腐を煮すぎた場合や、玉子豆腐、茶碗蒸し、プリンなどの蒸しものを加熱しすぎた場合、または加熱の方法が適当でなかった場合にも﹁す﹂ができる。電子レンジなどによる再加熱の際にもできる。内部の水分が沸騰し、気体である水蒸気が外に抜け出ないために泡となり、空間ができるのが原因である。内部ではなく、表面に泡ができることも﹁す﹂と呼ぶ。
パンやケーキのスポンジには、酵母やベーキングパウダーなどで故意に気泡を入れるが、この場合は、均一でない、大きな気泡が入ることをすと呼ぶ。中国語では、蒸しパンやスポンジケーキの類を﹁鬆糕﹂︵ソンガオ sōnggāo︶と称しているが、この場合は﹁すが入った菓子﹂という意味ではなく、﹁ふわふわの菓子﹂という意味である。
一定量の料理が、みかけはほとんど変わらないのに、内部から腐敗・変質していくさまも﹁す﹂がたつということがある。これは﹁す﹂によるものと、腐敗すると酸っぱくなることの混用と考えられる。