Active Directory (アクティブディレクトリ) とはマイクロソフトによって開発されたオンプレミスにおけるディレクトリ・サービス・システムであり、Windows 2000 Serverから導入された、ユーザとコンピュータリソースを管理するコンポーネント群の総称である。なお、クラウドコンピューティングにおけるディレクトリ・サービス・システムであるAzure Active Directoryと区別する場合、オンプレミス Active Directoryと表記することもある[1][2]

経緯

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Microsoft Windows 95Windows (GUI) 便 (OS) PC

Windows NTPCWindows NTNT (PC)  (Domain controllerDC) 

NTNT



PC (NetBIOS) NTPC

LANWAN

Security Account Manager (SAM)  40MB4



NTActive Directory (AD) 

AD

DNSLDAP

DNSDC

ADDNS

Active Directoryの構成要素と概念

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出版企業の内部ネットワークを単純化した一例。企業は4つのグループを持ち、ネットワーク上の3つの共有フォルダーに対してそれぞれアクセス許可が与えられている。

ADドメイン

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ADWindows 2000 ServerWindows Server DC[3]

DCADPCPC

ADDomain Users4

ADDCDCPCIPADDNSLANDNS

11DNSADDNS1

DCDCWindows Server 2008DCNTSAMDC1DCDCDCSAM

ID1Flexible Single Master Operations (FSMO) DC

GC

フォレスト

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フォレストは、DNSの名前階層に基づく1つ以上のADドメインの階層的集合である。1つ以上のADドメインを含むシステム領域であり、ADの概念の中で最も外側の領域である。

1つ以上のADドメインを設置する際に、DNSの名前階層に従って階層構造、すなわちフォレストを構成できる。Wikipediaを例に取ると、基準となるADドメインD1 (ja.wikipedia.org) の下層に作成されたADドメインD2 (sub1.ja.wikipedia.org) は「サブドメイン」となる。基準ドメインD1とサブドメインD2の間には自動的に双方向の信頼関係が結ばれる。サブドメインD2は、ドメインD1の下に作成された別のサブドメインD3 (sub2.ja.wikipedia.org)、あるいはドメインD1のさらに上位ドメインD0 (wikipedia.org) とも自動的に信頼関係が結ばれる。つまり、「ドメインD2がドメインD1を信頼し、ドメインD1がドメインD0を信頼しているとき、ドメインD2はドメインD0を信頼する」という論理で信頼関係を結ぶ。これを「信頼の推移」と呼ぶ。

同一フォレスト内のADドメインであれば、信頼の推移が行われるとともに、グループの共有も可能である。ただ1つのADドメインしかなくてもフォレストを形成し、シングルフォレスト、シングルドメイン、シングルサイト構成になる。最初に構築したADドメインは「フォレストルートドメイン」となり、他のADドメインを増設する際の基準ドメインになる。先の例では、ドメインD0 (wikipedia.org) がフォレストルートドメインであり、他のADドメインに先駆けて最初に構築しなければならない。

Windows 2000 Serverによるフォレストでは、フォレスト間で一括して信頼関係を結ぶことはできない。すなわち、フォレストルートドメイン間で信頼関係を結んでも、サブドメインには信頼は推移しない。NTドメインと同様に、異なるフォレストに属するADドメイン間で個別に信頼関係を結ぶことはできる。Windows Server 2003以降では「フォレスト間信頼」がサポートされ、フォレストルートドメイン間で信頼関係を結ぶことで、各フォレストに属するADドメインも自動的に推移する信頼関係を結んだことになる。

組織単位

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 (OU; Organizational Unit, Organization Unit) OUAD

OUPCPC

サイト

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AD4使

LANWAN使WANADDefault-First-Site-Name

3 (18015)

DC

1DCDCDC

DCDCDCActive Directory

DC1DCDCDCDC


DCwikiDCpediaDC

DC使

DCDCDC

マルチマスタレプリケーション

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マルチマスタレプリケーションとは、分散管理されているADのディレクトリデータベースおよびグループポリシーオブジェクトを、矛盾なく相互に交換し統合する複製手法である。同一オブジェクトが複数のDCで更新された場合、時系列的に後に更新されたオブジェクトが採用される。これによって、複数DCで齟齬が生じる状況を回避できる。

アプリケーションがADにアクセスするためのAPIが、ADSI (= Active Directory Service Interface) である。AD内のオブジェクトの検索、閲覧、編集、削除を実行できるため、例えばユーザー管理やコンピュータ管理などの操作を自動化することができる。

関連項目

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脚注

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外部リンク

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