W-OAM(ダブリュ・オーエーエム、ウィルコム・オーエーエム)は、Y!mobile(旧ウィルコム)の高度化PHSを使用して提供されていた通信サービスの名称。WILLCOM Optimized Adaptive Modulationの略。

W-OAM対応と目される8エレメントの新型基地局 2004年
W-OAMに対応したW-SIM、「RX420AL」を挿入した状態のWS002IN (DD)

概要

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PHS調PHSPHSXGP

W-OAMW-OAM typeGW-OAM / typeG使W-OAMW-OAMPHS調1x/32kbps1x x : 1

W-OAM

W-OAM調()調調

W-OAMNTT西NTTITXIp Transit eXchangeW-OAMW-OAMNTT

通信方式

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従来のPHSの変調方式はπ/4 shift QPSK(1x/32kbps)である。なお、π/4 shift QPSKとQPSKは厳密には異なるが、各方面では便宜上単にQPSKと記述される事も多い(本項目でも単にQPSKと記述する)。また同じく、W-OAMで採用された変調方式はD8PSKとπ/2 shift BPSKであり、8PSKとBPSKとでは厳密には異なるが、8PSK・BPSKと記述される事も多い(本項目でも単に8PSK・BPSKと記述する)。


2006223W-OAMQPSK8PSK1x/51kbpsBPSK1x/13kbps

W-OAMW-SIM
  • (対応チップセット) AX20Pシリーズ(P2チップセット):スロットダイバーシティー、ハーフレート、無手順パケット、コアモジュール標準[1]
  • (対応チップセット) ML7257:スロットダイバーシティー、ハーフレート、CPU=ARM7TDMI[2]

W-OAM typeG

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200745W-OAM typeGW-OAMBPSK/QPSK/8PSK調QAM調調

16QAM1x/63kbps

32QAM1x/80kbps

64QAM1x/100kbps

W-OAM typeG調RTT[3]



  • (対応チップセット) AX30Pシリーズ(P3チップセット):最大2Mbps(2xRF、スロット連結仕様)、高度化適用変調、スロット連結、FEC[1]。サンプル出荷が2007年7月に開始された[4]

通信速度

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各種変調方式とチャンネル多重数の組み合わせにより、以下の表のような高速化が計画されていた[5]

無線区間の最大スループット

変調方式\リンク数 1x 2x 4x 8x 12x 16x
BPSK 13kbps 26kbps 52kbps 104kbps 156kbps 208kbps
QPSK 32kbps 64kbps 128kbps 256kbps 384kbps 512kbps
8PSK 51kbps 102kbps 204kbps 408kbps 612kbps 816kbps
16QAM 63kbps 125kbps 250kbps 500kbps 約750kbps 約1Mbps
32QAM 80kbps 160kbps 320kbps 640kbps 約960kbps 約1.3Mbps
64QAM 100kbps 200kbps 400kbps 800kbps 約1.2Mbps 約1.6Mbps





PHS8x

W-OAM

W-OAM typeG

PSK(phase shift keying)=調

QAM(quadrature amplitude modulation)=調

 x : 

ISDN512kbpsIP[6]

ISDNW-OAM typeG
変調方式\リンク数 1x 2x 4x 8x
BPSK 13kbps 26kbps 52kbps 104kbps
QPSK 32kbps 64kbps 128kbps 256kbps
8PSK 51kbps 102kbps 204kbps 408kbps
16QAM 約63kbps 約125kbps 約250kbps 約500kbps
32QAM 約64kbps 約128kbps 約256kbps 約512kbps
64QAM 約64kbps 約128kbps 約256kbps 約512kbps

(無線区間の変調方式にかかわらず、1x=最大64kbpsに制限される。)

フレームフォーマット

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音声通話におけるW-OAM

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QPSK32kbpsADPCMBPSK16kADPCMQPSK

対応端末

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データ通信端末

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音声端末

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  • W-OAM typeG対応(BPSK/QPSK/8PSK/16QAM/32QAM/64QAM)

スマートフォン

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  • W-OAM対応(BPSK/QPSK/8PSK)

W-SIM(通信モジュール)

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  • W-OAM対応(BPSK/QPSK/8PSK)
  • W-OAM typeG対応(BPSK/QPSK/8PSK/16QAM/32QAM/64QAM)

W-OAM対応W-SIMが接続可能なSIM STYLE端末

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料金など

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従来の料金プランでそのまま利用ができ、別途オプション料金は不要であった。W-OAM通信およびW-OAM typeG通信を利用したために別途課金されることはなかった。なおパケット従量課金制の料金コース等を契約中の場合でも、高速化した分だけ単位時間あたりのパケット消費量が増加することになるが、あるデータをダウンロードするのに必要な総パケット量に変化が生じるわけではないので、ダウンロードに要する時間が短縮されるだけで料金に変化はなかった。ただし、高速化によって快適になったために以前より総パケット量を増やすような通信をすれば、料金は上がることに繋がった。

なお、中継基地局であるホームアンテナ(レピーター)にはW-OAM/typeG通信や8xパケット通信に対応したものは2007年2月現在で存在しなかった。ただし、W-OAM/typeG通信においては、ホームアンテナを経由せずともBPSK変調により、低ビットレートながら実効上の屋内浸透性を向上させた通信を行うとされていた。

脚注

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  1. ^ a b 【WIRELESS JAPAN 2006】エービットブースで“次世代PHS”の姿が見えた!:デジタルARENA
  2. ^ a b c d Unveils Base Band LSI, Compliant with Advanced PHS Standard | OKI Global(英語)
  3. ^ WILLCOM沖縄|PHS高度化通信規格「W-OAM」の高速化について 【WILLCOM FORUM & EXPO 2007】 近氏、次世代PHSの強みをアピール
  4. ^ 【ワイヤレスジャパン報告】エイビットブースのPHSチップロードマップに「AX30Pシリーズ」のサンプル出荷開始を確認:デジタルARENA
  5. ^ W-OAMのイメージ
    2006年のウィルコムは「ADVANCED & COMFORTABLE」
  6. ^ WILLCOM|ますます速く快適に 基地局のIP化を実施

関連項目

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外部リンク

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