WLTP
WLTPとは、英語: Worldwide harmonized Light duty driving Test Procedure の頭文字で、日本では﹁乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法﹂と日本語に翻訳される。乗用車および小型商用車︵英: LDV‥Light-duty Vehicle︶の燃費や二酸化炭素および大気汚染物質の排出レベルについて、国際的に整合した標準試験方法を定めるものである。
WLTPはWLTC︵Worldwide harmonized Light Vehicle Test Cycles︶の試験サイクルに加え、他に車両の型式認証に必要な多くの手順︵排出ガス規制など︶を定義している。
これにより、現在は各国や地域が独自に設定している排出ガス・燃費の試験サイクル・試験方法が統一され、自動車メーカーは一度の試験で複数の国・地域での認証に必要なデータが取得可能となること︵大幅なコストダウン︶が期待されている。
概要
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国際連合欧州経済委員会が主導して、世界共通の排出ガス試験方法を作成する活動である。走行パターンを検討する試験サイクル開発グループ︵DHC‥development harmonized cycle︶と、試験法開発グループ︵DTP‥Development Test Procedure︶からなり、参加国の協力によって世界中の実運転状況をカバーしうる共通の走行パターンの作成と世界統一試験法の作成を行っている。各国の実際の運転状況を調査し、それを統計処理を行うことにより走行パターンを作成する手法を用いており、日本では日本自動車研究所が受託研究を行った[1]。
2014年3月に、スイスのジュネーブで開催された国際連合自動車基準調和世界フォーラム 第162回会合において、乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法︵WLTP︶の世界統一技術規則︵GTR︶として成立した。
なお、WLTPインフォーマルグループは、2021年まで活動予定で、3つのフェーズに分かれている。当初計画では、各フェーズの活動期間はPhase1が2009年〜2013年、Phase2が2014年〜2018年、Phase3が2019年〜2021年となっている。Phase1では通常温度での基本的な排ガス、燃費測定の試験法、Phase2では高地試験、低外気温試験など環境条件及び耐久性確認試験法などを作成する。さらにPhase3では、排出ガス規制値や試験燃料の統一を目指す。
国土交通省は、2016年︵平成28年︶10月31日、日本国内の排出ガス/燃費試験の基準を、従来のJC08モードから2018年10月よりWLTPに全面的に移行する旨を発表した[2]。一部のメーカーでは2017年夏発売の車種から先行してWLTCモード走行試験の認可取得を始めた[3]。
なお、アメリカ合衆国の環境保護庁は、この新しい燃費測定方法から早々に離脱している[4]。
関連項目
編集- WLTC - 高速・高負荷走行の計測割合が増えた。
脚注
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(一)^ H21年度受託テーマ︵官公庁︶
(二)^ ﹃乗用車の排出ガス・燃費試験法に国際基準︵WLTP︶を導入します。-道路運送車両の保安基準の細目を定める告示等の一部改正について-﹄︵プレスリリース︶国土交通省、2016年10月31日。2017年7月9日閲覧。
(三)^ ﹃﹁マツダ CX-3﹂がWLTCモード走行試験の認可を取得﹄︵プレスリリース︶マツダ株式会社、2017年6月2日。2017年7月9日閲覧。
(四)^ 浅島亮子 (2014年1月20日). “エコカー苛烈競争で浮上する知られざる“燃費偽装”問題”. 週刊ダイヤモンド (ダイヤモンド社) 2016年7月29日閲覧。