世界三大美人
世界三大美人︵せかいさんだいびじん︶とは、世界史上において特に美人とされる三人の女性のこと。世界三大美女︵せかいさんだいびじょ︶ともいう[1][2]。
一般に以下の三人の女性を指す[3]。
(一)クレオパトラ7世︵プトレマイオス朝エジプトの女王︶
(二)楊貴妃︵玄宗の皇妃︶
(三)小野小町︵平安時代前期の歌人︶
ただし、井上章一によると、これらの女性を世界三大美人と呼ぶのは日本だけである[4]。
また、小野小町の代わりにヘレネー︵ギリシャ神話の人物︶を加える場合がある[5][6]。
喜多川歌麿による﹁当時三美人﹂︵寛政の三美人︶
﹃ビジュアル・ワイド江戸時代館﹄には、﹁明和の三美人﹂として谷中笠森稲荷の鍵屋お仙、浅草寺境内の本柳屋お藤、浅草寺境内の茶屋およしが、﹁寛政の三美人﹂として難波屋おきた、高島おひさ、富本豊雛が記載されている[7]が、江戸時代からあるこのような三美人を選ぶ文化が明治以降、変化したものであるという説がある[4]。
また、東京大学大学院総合文化研究科准教授・永井久美子によると、小野小町がクレオパトラや楊貴妃とともに三大美人としてメディアに登場するようになったのは明治中期からであるという[8]。早くは明治21年、新聞の社説にこの三人が並んで言及されている[9]。この社説の中に、容姿をめぐる価値観は多様であるから、彼女たちをそれほどでもないと思う人もいるだろうという趣旨の記述がみられる。
永井の分析によると、﹁世界三大美人﹂言説が生まれた明治中期は、ナショナリズムが高まっていた時期で、小野小町は﹁国風文化﹂を代表する文化人として理想的な存在だったのではないか、とのこと。一方、クレオパトラが三大美人として挙げられた背景には、1910年代、女優の松井須磨子が帝国劇場でクレオパトラ役を演じたことや、
浅草で無声映画﹃アントニーとクレオパトラ﹄が上演されたことが影響しているのではないかと永井は述べる[8]。井上章一も、世界三大美人にクレオパトラが含まれていることを根拠に、おそらく明治以降の言説であろう、としている[4]。
沿革
