宣戦布告 (小説)のソースを表示

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{{Portal|文学}}
『'''宣戦布告'''』（せんせんふこく）は、[[1998年]]に[[麻生幾]]によって書かれた[[政治|ポリティカル]][[サスペンス]][[小説]]。[[自衛隊]]の[[治安出動]]における[[交戦規定|武器使用]]の問題点や、弱腰な[[政治家]]達のやり取りを描いた作品。

== 概要 ==
[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]による[[大韓民国|韓国]]への[[潜水艦]]侵入事件「[[江陵浸透事件]]」をモデルとし、『[[文藝春秋 (雑誌)|文藝春秋]]』1997年<span class="ltr">1</span>月号にて「北朝鮮潜水艦敦賀湾に漂着す」を発表。これをもとに新たに書き下ろしたのが本誌である。麻生幾は本誌の執筆前に、日本政府の情報機能の構造的欠陥を取り上げた「情報、官邸に達せず」を発表しており、情報伝達や命令系統の不備など本作品にも通ずるものがある。

[[北朝鮮によるミサイル発射実験 (1998年)|1998年の北朝鮮によるミサイル発射実験]]直前に発売され、非常にタイムリーな内容の本誌は、<span class="ltr">63</span>万部を売り上げる[[ベストセラー]]小説となった。

また、現行法での[[自衛隊]]出動、警察力の限界、[[有事法制]]などの法整備が手付かずの状態に対する警鐘などが高く評価されている。小説としては珍しく実在の政党（[[自由民主党 (日本)|自民党]]、[[自由党 (日本 1998-2003)|自由党]]、[[日本社会党|社会党]]など）や実在の企業（[[セコム]]など）が登場することもリアリティーを高める一因となっている。

この小説が執筆されたころは[[自社さ連立政権]]の時期であり、[[与党]]である社会党が反戦平和を、[[野党]]である自由党が防衛出動を主張するなどといった政治状況が描かれている。

[[自衛隊]]では2004年に有事法制が確立し、2006年に他国での[[交戦規定]]にあたる[[部隊行動基準]]の整備がされ、現行法では自身の身の危険が迫った場合には上からの[[命令]]を待たずとも応戦することができるようになった。さらに場合に応じた武器使用も現場の判断で使用することができるようになった。これにより現場にいる自衛官が余計な政治的判断を迫られず、かつ円滑に任務を遂行することが可能になった。

== あらすじ ==
[[福井県]][[敦賀半島]]に国籍不明の[[潜水艦]]が[[座礁]]しているのが発見される。警察が内部を調査すると、射殺された乗組員の遺体や[[小銃]]や[[RPG-7]]、[[原発]]を映した[[磁気テープ|ビデオ]]等が発見され、潜水艦が[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]のものと判明する。だが、[[リスクマネジメント|危機管理]]に強い[[内閣]]を掲げる諸橋太郎[[内閣総理大臣|総理大臣]]（映画では諸橋揆一郎）の下に情報が届くまで、半日を有してしまう。諸橋総理は、警察力のみでこの事態を乗り切ろうと[[福井県警察|福井県警]]に事態解決を託すが、座礁現場近くで拘束した乗組員の証言から、完全武装した[[スパイ|工作員]]11名が上陸した事実を掴んでいた岡田警備部長は[[自衛隊]]出動を要請する。

しかし、[[日本国憲法|憲法]]や[[自衛隊法]]に縛られ、政府も時期尚早との判断から[[特殊急襲部隊]]（SAT）の投入が決定する。当初は隊員の安全確保の為、射殺もやむなしとして県警本部長は「射殺許可命令」を下したが、国民のコンセンサスがないとした総理の判断により、射殺許可命令を解除されてしまう。

折りしも武装工作員を発見した特殊急襲部隊だったが命令が解除されたことで応戦できず、[[RPG-7]]で先制攻撃を受け<span class="ltr">1</span>名の殉職者と多数の負傷者を出してしまう。宇佐美[[警察庁長官]]は警察力での事態収拾は不可能として、自衛隊出動を内閣に要請する。だが、「[[防衛出動]]」「[[治安出動]]」ともに法的な出動理由が確定できず、また[[外務省]]は外交問題へ発展することを恐れ、他の[[国務大臣|閣僚]]も[[野党]]や[[報道機関|マスコミ]]などからの追及や反応を理由に弱腰での議論が続く。

ついには民間人、日本国民の犠牲者が発生すると、諸橋総理は自衛隊の治安出動命令を下す。いくつも乗り越えなければならない法的な問題を残したまま、[[第<span class="ltr">14</span>普通科連隊]]は敦賀半島に派遣され、大規模な山狩り「はぎ作戦」を開始する事となった。[[攻撃ヘリコプター|対戦車ヘリ]]や[[護衛艦]]をも投入し、半島の制圧を開始した自衛隊であったが、作戦<span class="ltr">3</span>日目に突如武装工作員による奇襲を受け、[[小隊|小銃小隊]]に多くの死傷者を出してしまう。現場からは[[対戦車ヘリ]]や[[迫撃砲]]、[[手榴弾]]の使用許可が上申されるが、[[過剰防衛]]との判断から許可は下りない。[[警察比例の原則]]や現行法では、自衛隊は反撃することもままならなかったのである。

一方、[[内閣情報官]]の瀬川は政府の高官から情報が漏洩していることを突き止める。そこには巧みに偽装された諜報ネットワークの存在があった。潜入工作員である李成沢は、大手画廊の営業マン東山をエージェントとして獲得していた。李の背後には国際的に有名なパク・アンリー（諜報管理官）がいた。東山は独立するための資金を必要としており、かつ絵画の売買を通じて政官界に広い人脈を培っていた。その一人に防衛庁の事務次官がいた。東山は高校の同窓生で向島で芸者をしている由起子を次官に紹介する。作品は、警察・自衛隊の軍事作戦と、政府からの情報漏洩をめぐる諜報戦を同時並行に描くことで緊張感を高めている。

武装工作員と自衛隊との交戦が続く中、防衛庁は北朝鮮が戦闘準備に入ったとの情報を得る。

== 映画 ==
{{Infobox Film
| 作品名 = 宣戦布告
| 原題 = 
| 画像 = 
| 画像サイズ = 
| 画像解説 = 
| 監督 = [[石侍露堂]]
| 脚本 = [[小松與志子]]<br />石侍露堂
| 原作 = [[麻生幾]]
| 製作 = 石侍露堂<br />[[増田久雄]]<br />和田康作
| 製作総指揮 = 
| 出演者 = [[古谷一行]]<br />[[夏八木勲]]
| 音楽 = [[礒金俊一]]<br />[[岩渕一真]]<br />[[二本柳一明]]
| 撮影 = [[阪本善尚]]
| 編集 = [[川島章正]]
| 製作会社 = ウィル
| 配給 = {{flagicon|JPN}} [[東映]]
| 公開 = {{flagicon|JPN}} [[2002年]][[<span class="ltr">10</span>月<span class="ltr">5</span>日]]
| 上映時間 = 105分
| 製作国 = {{JPN}}
| 言語 = [[日本語]]
| 製作費 = 
| 興行収入 = 2.8億円<ref>{{Cite journal|和書 |year = 2003|title = 2002年度 日本映画・外国映画 業界総決算 経営/製作/配給/興行のすべて |journal = [[キネマ旬報]] |issue = [[2003年]]（[[平成]]15年）[[<span class="ltr">2</span>月]]下旬号 |pages = 140 |publisher = [[キネマ旬報社]]}}</ref>
| 前作 = 
| 次作 = 
}}
{{Portal 映画}}
[[2002年]]（平成<span class="ltr">14</span>年）にドキュメンタリー出身で『イコン伝説』（1992年）などを手がけた[[石侍露堂]]監督によって映画化され、[[東映]]の配給で全国劇場公開された。

=== ストーリー ===
200X年、[[福井県]][[敦賀半島]]に'''北東人民共和国'''の[[潜水艦]]が座礁、完全武装した[[スパイ|工作員]]が上陸した。この事態に諸橋揆一郎首相は警察力のみで解決するため、[[特殊急襲部隊|SAT]]を投入するが、武器使用許可も下りないまま[[ロケット砲]]（[[RPG-7]]）の攻撃を受け、<span class="ltr">2</span>名の殉職者を出す。

警察力のみでの対処が難しい事から内閣は動揺するが、各閣僚の思惑や法解釈から自衛隊の出動は遅々として下されずにいた。しかし、民間人犠牲者が発見された事を受けて、諸橋首相はついに自衛隊出動に踏み切る。だが、現場の連隊本部と防衛庁の対立や指揮・命令系統の不備、法解釈ギリギリの出動であったことから武器使用の合法的な解釈が行えず、反撃すら許されない自衛隊は交戦開始直後に早くも<span class="ltr">6</span>名の犠牲者を出してしまう。その後も重火器の使用許可が下りず有効な攻撃が出来ないまま、次々と隊員が死傷していく。

そんな中、突如として北東人民共和国の[[フリゲート]]が日本領海に接近。それに呼応するように周辺諸国が次々と臨戦態勢に入る。そして北東人民共和国の核ミサイルが発射準備体制にはいったとの情報が飛び込んでくる。

=== スタッフ ===
* 監督・製作者：[[石侍露堂]]
* プロデュース：[[増田久雄]]、和田康作
* 脚本：石侍露堂、[[小松與志子]]
* 撮影：[[阪本善尚]]
* 監督補：崎田憲一
* 音楽：礒金俊一、岩渕一真、二本柳一明
* 音楽プロデュース：伊藤圭一
* 音響効果：柴崎憲治
* 操演・特殊効果：羽鳥博幸、宇田川幸夫、高見澤利光
* 造形：[[松井祐一]]
* アクションコーディネイター：[[諸鍛冶裕太]]
* スタント&アクション：[[ジャパンアクションクラブ]]、[[倉田プロモーション]]、エレメンツ
* 自衛隊監修：越康広
* ガンエフェクト：[[ビッグショット (特殊効果)|BIGSHOT]]
* スチール：[[原田大三郎]]
* ストーリーボード：橋爪謙始
* CG：デジタルフロンティア
* 空撮：モピテック
* 現像：[[東映化学]]
* ビデオ技術協力：[[オーエイギャザリング]]
* スタジオ：[[東映東京撮影所]]
* ロケ協力：[[鴨川市]]、[[勝浦市]]、[[日本冶金工業]]、[[川崎アゼリア]] ほか
* 製作協力：プルミエ・インターナショナル
* 製作：ウィル

=== キャスト ===
* 諸橋揆一郎（[[内閣総理大臣]]）：[[古谷一行]]
* 瀬川盛良（[[内閣情報調査室]]長）：[[夏八木勲]]
* 寺崎秀一（[[内閣総理大臣秘書官#政務担当首相秘書官（首席秘書官）|内閣総理大臣首席秘書官]]）：[[杉本哲太]]
* 篠塚義章（[[内閣官房長官]]）：[[佐藤慶]]
* 櫻田吉成（[[副総理]]・[[総務庁長官]]）：[[財津一郎]]
* 山ノ内二郎（[[防衛庁長官]]）：[[石田太郎]]
* 土橋修三（[[防衛事務次官]]）：[[鶴田忍 (俳優)|鶴田忍]]
* 小池政明（[[外務大臣]]）：[[天田俊明]]
* 村尾悟（[[内閣総理大臣秘書官]]・[[外務省]]出向）：[[河原崎建三]]
* 沢口誠一（[[福井県警察|福井県警察本部]]長）：[[塩屋俊]]
* 岡田史郎（福井県警察本部警備部長）：[[小野武彦]]
* 龍崎猛（[[警察庁]][[警備局]]長）：[[西田健]]
* 宇佐美一也（[[警察庁長官]]）：[[中田浩二 (俳優)|中田浩二]]
* 船山光雄（[[警視庁公安部]]長）：[[岡本富士太]] 
* 堤孝保（[[特殊急襲部隊|警視庁SAT第一小隊]]長）：[[田中実 (俳優)|田中実]]
* 葉山克則（警視庁SAT中隊長）：[[土門廣]]
* 陣内（警視庁SAT隊員）：[[二橋進]]
* 本間昭彦（[[外事課|警視庁外事課]][[警部]]）：[[深水三章]]   
* 前原真一（[[陸上自衛隊]]第<span class="ltr">14</span>普通科連隊連隊長）：[[木之元亮]] 
* パク・アンリー（[[朝鮮人民軍総参謀部偵察局|北東人民共和国・偵察局]][[大佐]]）：[[夏木マリ]]
* 諸橋晴江（[[内閣総理大臣夫人|総理夫人]]）：[[多岐川裕美]]
* 檜山由紀子（[[銀座]]の[[ホステス]]・北への[[内通者]]）：[[白島靖代]]
* 北川忠雄（[[防衛局|防衛庁防衛局]]）：[[安藤一夫]]  
* 湊篤樹（後任首席秘書官）：[[津村鷹志]]
* 田島裕一（[[事務次官|外務省事務次官]]）：[[柴田林太郎]]
* 李春植（パクの部下）：[[池内万作]]
* 山で誤射されそうになった男：[[田中要次]]
* 下河原勝春（自衛隊第<span class="ltr">2</span>小銃小隊長・二等陸尉）：[[清家利一]]
* 鶴谷篤（自衛隊第<span class="ltr">2</span>小銃小隊班長）：[[小川岳男]]
* 高桑（自衛隊第<span class="ltr">2</span>小銃小隊通信士）：[[越康広]]
* 島村実（自衛隊第<span class="ltr">2</span>小銃小隊隊員・陸士長）：[[武智健二]]
* [[春田純一]]、[[小瀬川理太]]、[[飯田章]]、[[桂木宣]]、[[鴨川てんし]]、[[武田義晴]]、[[吉田智則 (俳優)|吉田智則]]、[[正岡邦夫]]、[[平井真軌]]、[[岡元次郎]]、[[横山一敏]]、[[木下浩之]]、[[舟田走]]、[[加藤四朗]]、[[木下秀雄]]、[[矢田有三]]、[[宋英徳]]、[[沙羅]]、[[山上賢治]]、[[森富士夫]]、[[奥田崇]]、[[藤岡大樹]]、[[浜近高徳|濱近高徳]]、[[浜田道彦]]、[[石垣広文]]、[[夏山剛一]]、[[永瀬尚希]]、[[宮崎剛 (俳優)|宮崎剛]]、[[小倉敏博]]　ほか

=== 登場兵器 ===
* [[<span class="ltr">73</span>式大型トラック]]
* [[<span class="ltr">73</span>式中型トラック]]
* [[<span class="ltr">73</span>式小型トラック]]
* [[高機動車]]
* [[こんごう型護衛艦]]「[[みょうこう (護衛艦)|みょうこう]]」
* [[B-2 (航空機)|B-2 スピリット]]
* [[AH-1 コブラ#日本|AH-1S コブラ]]
* [[CH-47 (航空機)#日本における運用|CH-47J]]
* [[V-107#日本での運用|KV-107II-4]]（空挺部隊のリペリング降下時のシーン映像）
* [[OH-6 (航空機)#日本での運用|OH-6D]][[偵察機|観測ヘリコプター]]
* [[RPG-7]]
* [[ミニミ軽機関銃|5.56mm機関銃MINIMI]]
* [[<span class="ltr">89</span>式5.56mm小銃]]
* [[<span class="ltr">64</span>式7.62mm小銃]]
* [[AK-47]]
* [[H&K MP5#各型の概要|H&K MP5]]
* [[マーク<span class="ltr">II</span>手榴弾|MK2破片手榴弾]]

=== 撮影 ===
{{雑多|section=1|date=2021年<span class="ltr">1</span>月}}
本作の撮影には、[[防衛省|防衛庁]]（当時）・[[自衛隊]]は協力を拒んだ。作品の内容が「[[朝鮮民主主義人民共和国|北朝鮮]]の[[スパイ|武装工作員]]<ref>劇中では'''北東人民共和国'''と名称が変更されている。しかし、略して「北」との発言もある。</ref>が[[原子力発電所]]への攻撃を企て、上陸する」というものであり、{{要出典範囲|date=2019-5|批判を恐れたためでもあったとされる。''[[陸上自衛隊]]の迷彩服の下地を製造している業者までにも、協力を断るよう通達している''程の徹底振りだったと言われている<ref>ただし、監督は後のインタビューで「協力をお願いしたが断られた。だが、朝目が覚めると枕元に迷彩服の下地が置いてあった。協力しないとはそういう事」とも述べている。</ref>}}。

防衛庁・自衛隊からの協力が得られなかったことから、自衛隊の車両から[[迷彩服<span class="ltr">2</span>型|迷彩服]]、[[<span class="ltr">88</span>式鉄帽|ヘルメット]]、小銃などの装備一式に至るまですべて自前で用意・調達せねばならず、<span class="ltr">73</span>式大型トラック、[[ジープ]]や陸自迷彩服等を所有している一般の人々（主に軍事マニア）へも撮影の協力を求めた<ref name="gamp33">『月刊アームズ・マガジン』2002年<span class="ltr">11</span>月号p33</ref>。当時は自衛隊員の装備類の小道具が映画『[[戦国自衛隊 (映画)|戦国自衛隊]]』（[[1979年]][[<span class="ltr">12</span>月]]公開）の物くらいしかなく、迷彩服や防弾チョッキなどは手に入る資料などを参考に一から製作された<ref name="gamp33" />。リアリティを出すため、この点には力が入れられ、空挺[[レンジャー (陸上自衛隊)|レンジャー部隊]]と[[普通科 (陸上自衛隊)|普通科隊員]]の装備する小銃の違いから起こるサスペンダーの取り付け方や、マガジンポーチなどの違いをも忠実に再現している<ref name="gamp32">『月刊アームズ・マガジン』2002年<span class="ltr">11</span>月号p32</ref>。

銃器類（プロップガン）はキャロット社の<span class="ltr">89</span>式5.56mm小銃<ref name="gamp33" />や[[TOP JAPAN]]社の<span class="ltr">64</span>式7.62mm小銃<ref name="gamp33" />、[[アサヒファイアーアームズ]]の5.56mm機関銃MINIMIなどが用意され<ref name="gamp33" />（一部[[東京マルイ]]製[[SIG SG550|SIG550]]も使用。空挺レンジャー隊員が、竹に小銃を引っ掛けて転ぶシーン参照）、発火ユニットなどの[[特殊効果]]は[[ビッグショット (特殊効果)|ビッグショット]]が担当した<ref name="gamp33" />。車両に関しては、前述の通りミリタリーマニアからの協力の他、高機動車役として[[ハンヴィー]]の民生仕様である[[ハマー (自動車)|ハマー]]が使用された。[[攻撃ヘリコプター|対戦車ヘリコプター]]AH-1S コブラや[[ステルス機|ステルス]]爆撃機B-2 スピリットの登場するシーンは、[[<span class="ltr">CG</span>]]や実際の演習映像などが使用された。[[イージス艦]]については[[アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦]]が「みょうこう」の代役で出演している。

北東人民共和国特殊部隊の装備や服装は、[[中国人民解放軍]]特殊部隊や映画「[[シュリ]]」に登場する北朝鮮特殊工作員のものをモデルとした<ref name="gamp33" />。

また、撮影許可の下りなかった[[内閣総理大臣官邸|首相官邸]]も忠実に再現したセットが製作されたが、試写会に訪れた[[国会議員]]が、本物の官邸と間違えたとのエピソードがあった<ref name="DVD">DVD版「宣戦布告」特典映像</ref>。[[内閣総理大臣官邸#危機管理センター|首相官邸危機管理センター]]内の様子は写真などが公となっていない事から、[[イージス艦]]の[[戦闘指揮所]]をイメージし、[[旧日本軍|日本軍]]の[[大本営]]の資料を基にセットが組まれた<ref name="DVD" />。

撮影場所については、政治的理由による妨害等を恐れて極秘にされ、千葉県中央の山中や[[勝浦市]]守谷海岸などで撮影された<ref name="gamp32" />。

製作費は約<span class="ltr">7</span>億円であったが、映画の内容のために製作スポンサーがつかず、監督自身が費用を全額調達して完成にこぎつけた。

撮影段階において、諸橋総理大臣は[[小泉純一郎]]をモデルとしているが、後に本当に内閣総理大臣に就任した<ref name="DVD" />。

=== スケジュール ===
撮影は[[2000年]][[<span class="ltr">3</span>月]]より開始され、[[<span class="ltr">5</span>月]]にはクランクアップしたにもかかわらず、全国公開まで<span class="ltr">2</span>年を有した<ref name="DVD"/>。
* [[2000年]]
** [[<span class="ltr">3</span>月<span class="ltr">13</span>日]] - [[撮影|クランクイン]]
** [[<span class="ltr">4</span>月<span class="ltr">17</span>日]] - 戦闘シーン撮影開始
** [[<span class="ltr">5</span>月<span class="ltr">16</span>日]] - クランクアップ
** [[<span class="ltr">7</span>月<span class="ltr">10</span>日]] - 仕上げ作業中断
* [[2001年]]
** [[<span class="ltr">4</span>月<span class="ltr">1</span>日]] - 仕上げ作業再開
** [[<span class="ltr">8</span>月<span class="ltr">20</span>日]] - 劇場公開に向け、試写会開始
* [[2002年]]
** [[<span class="ltr">7</span>月<span class="ltr">15</span>日]] - 劇場配給決定
** [[<span class="ltr">9</span>月<span class="ltr">9</span>日]] - 完成披露試写会
** [[<span class="ltr">10</span>月<span class="ltr">5</span>日]] - 全国公開

== 書誌情報 ==
* 宣戦布告（上） [[1998年]][[<span class="ltr">3</span>月<span class="ltr">25</span>日]]初版発行 ISBN 4062086123
* 宣戦布告（下） [[1998年]][[<span class="ltr">4</span>月<span class="ltr">24</span>日]]初版発行 ISBN 4062091151
* 加筆完全版 宣戦布告（上） ISBN 9784062731119
* 加筆完全版 宣戦布告（下） ISBN 9784062731126

== 脚注 ==
<references />

== 出典・参考文献 ==
* 『月刊アームズ・マガジン』2002年<span class="ltr">11</span>月号p28-p33
* DVD版『宣戦布告』

== 関連項目 ==
* [[日本国憲法第<span class="ltr">9</span>条|憲法第<span class="ltr">9</span>条]]
* [[警察比例の原則]]
* [[有事]]
* [[自衛隊]]
* [[ユーゴ型潜水艇]]
* [[美浜事件]] - 本作品の舞台となった敦賀半島付近で発生した、北朝鮮工作員の漂着事件。
* [[外事警察]] - 同じ作者の作品。[[2009年]]にドラマ化、続編は[[2012年]]に映画化された。

== 外部リンク ==
* [http://www.toei.co.jp/sensenfukoku/ 宣戦布告 - 東映公式サイト]
* [https://web.archive.org/web/20020408093312/http://www.webstyle.ne.jp/movie/ WebStyle]
* {{Allcinema title|239896|宣戦布告}}
* {{Kinejun title|33333|宣戦布告}}
* {{IMDb title|0432053|Sensen fukoku (2002)}}

{{DEFAULTSORT:せんせんふこく}}
[[Category:1998年の小説]]
[[Category:文藝春秋掲載の小説]]
[[Category:架空戦記]]
[[Category:自衛隊作品]]
[[Category:福井県を舞台とした小説]]
[[Category:2002年の映画]]
[[Category:日本の戦争映画]]
[[Category:日本のスリラー映画]]
[[Category:日本の社会派映画]]
[[Category:日本の政治映画]]
[[Category:自衛隊映画]]
[[Category:日本の小説を原作とする映画]]
[[Category:福井県を舞台とした映画作品]]
[[Category:千葉県で製作された映画作品]]
[[Category:東映配給の映画]]
[[Category:架空の日本の内閣総理大臣を題材とした作品]]