村社会
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村社会︵むらしゃかい︶とは、集落に基づいて形成され、有力者を頂点とした序列構造を持ち、昔からの秩序を保った排他的な社会を指す。同類が集まって序列をつくり、頂点に立つ者の指示や判断に従って行動したり、利益の分配を図ったりするような閉鎖的な組織・社会を村にたとえた語。談合組織・学界・政界・企業などに用いる。村社会にはしきたりがあり、それを破ったものには村八分などの制裁が科せられる。そこから派生して、同じような悪習を持つ閉鎖的な組織や社会も村社会と呼ばれる。否定的なニュアンスを持った言い方である[1]。
概要
村は道切りなどにより外部と区別される空間で、村の成員は生業を行い生活に必要な資源を供給する環境を共有し、寄合を行い祭礼や年中行事を共同で行うことにより統一された意思のもと秩序維持を行っていた。村社会は相互互助的な性質を持つ。農業を中心とした村では水利権、林業を中心とした村では入会権、漁業を中心とした村では漁業権などを村が保ち、再生産可能な水準を保つために機能してきた。これらの権利は古くからの仕来りとして定着したり、収穫祭などの宗教行事とともに安定した産業を維持してきた。 一方で内部には経済的階層や家柄による家格などが存在し、村の秩序維持のための青年組織などが存在した。特徴としては古くからの仕来たりを墨守する傾向があり、異を唱える者・倣わない者に対しては本人や肉親、更にその者に関わった者まで異端者扱いし、差別を行なうことがある。これを村八分という。これにより新たにその地域に移住してきた者や進歩的な若者が反発し、古くから住んできた者とのトラブルが後を絶たない。特徴と問題点
以下のような特徴を持つ。 ●水利権、入会権、漁業権などの産業上の権益の範囲と一致した広がりを持つ。 ●長による支配、ボスと子分の上下関係が厳然と存在する。 ●無条件に習慣を踏襲し、全体に一切抗わない[2]。 また、以下のような問題点があり、外部とのトラブルの原因となっている。
●所属する﹁村﹂の掟や価値観・しきたりが絶対であり、少数派や多様性の存在自体を認めない。
●"掟"に関与しない世間一般のルールやマナーは守らず、他者にも強要。無法状態と化している。
●出る杭は打たれる。長い物には巻かれ、流れには棹を差すべし。寄らば大樹の陰。義理と人情。横並び。
●排他主義に基く仲間意識が存在する。
●被害に遭った人が責任者を責めると、大勢で被害者を叩き、問題には触れず、無かったことにする。
●自分逹が理解できない﹃他所者﹄の存在を許さない。
●同郷者に対しては﹁自分達と同じで当たり前﹂という意識を抱いており、自我の存在を認めない。
●傍目には異端者に寛容だが、相手を理解しているのではなく理解できるものに﹁改造﹂しようとしていたり、特例で見逃されているだけであったりする。
●立場が弱いと規定したものに対しては、陰湿且つ徹底的に圧力を加える。
●構成員は陰口を好む。
●有形物のみならず時間や空間に対する共有意識も強く、プライベートやプライバシーといった概念も無い。
●事なかれ主義が多い。
●噂話に対しては、真実かどうかを追求するより、噂を既成事実にしようとする。
●実質的なメリット。街全体の利点より、個人の面目や付き合いの平穏を大切にする。
脚注
- ^ “村社会”. コトバンク. 2017年9月11日閲覧。
- ^ 夢の田舎暮らしにつきまとう「耳を疑う」現実 東洋経済オンライン
関連項目
事件
- 静岡県上野村村八分事件
- 名張毒ぶどう酒事件
- 山形マット死事件
- 奈良県月ヶ瀬村女子中学生殺人事件(加害者家族が村八分に遭っていた)
- 山口連続殺人放火事件
- 関川村(村民が村八分の中止命令を求める訴えを起こし勝訴)
作品
外部リンク
- 忖度やパワハラがなぜ頻発するのか ―「ムラ」の構成員であることを今も求められる私たち― (泉谷閑示)日経ビジネス、全5ページ