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'''管理'''(かんり) |
'''管理'''(かんり)は、物事や一定の[[事務]]を[[管轄]]して取り仕切ることである。 |
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== 漢語 |
== 漢語 == |
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⚫ | 漢語「管理」は17世紀ごろに成立したとされ<ref name="issj" />、古い例は清朝初期の1699年に黄六鴻が地方官の心得を著した『福惠全書』まで遡る<ref name="issj">[http://www.issj.net/conf/issj2011-papers/pfiles/6-2.pdf 杉野 隆「「管理」という言葉」] 情報システム学会 2019年7月13日閲覧。</ref>。同時期の満文と漢文の対訳辞書である『同文彙集』(1693年)や『清文備考』(1722年)に「管理」の語はない<ref name="issj" />。 |
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「管理」という漢語は17世紀ごろに成立したのではないかといわれている<ref name="issj" />。 |
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⚫ | 漢語 |
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[[日本]]では[[江戸時代]]の翻訳小説集『通俗赤縄奇縁』(1761)年に「管理」の語があるが〈クハンリ〉と右ルビ、〈シハイ〉(支配)と左ルビが振られており珍しい漢語であったとみられる<ref name="issj" />。 |
[[日本]]では[[江戸時代]]の翻訳小説集『通俗赤縄奇縁』(1761)年に「管理」の語があるが〈クハンリ〉と右ルビ、〈シハイ〉(支配)と左ルビが振られており珍しい漢語であったとみられる<ref name="issj" />。 |
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== 英語 |
== 英語 == |
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管理を意味する英語 |
管理を意味する英語は、administration、control、management がある<ref name="issj" />。 |
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; administration |
; administration |
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: ラテン語のadministrareに由来 |
: ラテン語の administrare に由来し、14世紀に初出<ref name="issj" />が見られる。minister は国政などに仕えることで、統治や運営管理を意味する<ref name="issj" />。 |
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; control |
; control |
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: 中世ラテン語のcontrarotulareに由来 |
: 中世ラテン語の contrarotulare に由来し、15世紀に初出<ref name="issj" />が見られる。 |
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; management |
; management |
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: manageはラテン語のmanus(手)に由来し1561年に初出<ref name="issj" />。手で巧みに扱う、馬を手で御する |
: manage はラテン語の manus︵手︶に由来し、1561年に初出<ref name="issj" />が見られる。手で巧みに扱う、馬を手で御する、を意味する<ref name="issj" />。<br>{{Anchors|マネジメント}}
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== マネジメント == |
== マネジメント == |
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'''マネジメント'''({{lang-en-short|management}})は組織の指揮管理を目的とした活動・仕組み・役割である<ref>"マネジメント,運営管理(management) 組織(3.2.1)を指揮し,管理するための調整された活動。" [[ISO 9000#ISO 9000|JIS Q 9000]]:2015</ref><ref>"'マネジメント'という言葉が人を指すことがある。すなわち,組織の指揮及び管理を行うための権限及び責任をもつ個人又はグループを意味することがある。" [[ISO 9000#ISO 9000|JIS Q 9000]]:2015</ref>。 |
'''マネジメント'''({{lang-en-short|management}})は、集団や組織の指揮管理を目的とした活動・仕組み・役割である<ref>"マネジメント,運営管理(management) 組織(3.2.1)を指揮し,管理するための調整された活動。" [[ISO 9000#ISO 9000|JIS Q 9000]]:2015</ref><ref>"'マネジメント'という言葉が人を指すことがある。すなわち,組織の指揮及び管理を行うための権限及び責任をもつ個人又はグループを意味することがある。" [[ISO 9000#ISO 9000|JIS Q 9000]]:2015</ref>。 |
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=== 目的 === |
=== 目的 === |
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マネジメントは「方針」「目的」「目的達成のためのプロセス」確立を目指している<ref>"SL.2.1 management system set of interrelated or interacting elements of an organization to establish policies and objectives, as well as processes to achieve those objectives" ISO/IEC Directives, Part 1, Consolidated ISO Supplement, 2021. p.118.</ref>。'''方針'''({{lang-en-short|policy}})は「組織全体の意図と方向付け」<ref>"intentions and direction of an organization ... as formally expressed by its top management" ISO/IEC Directives, Annex SL. p.6.</ref>、'''目的'''({{lang-en-short|objective}})は「各階層で達成すべき結果」<ref>"3.6 objective result to be achieved ... They can be, for example, organization-wide or specific to a project, product or process" ISO/IEC Directives, Annex SL. p.6.</ref>を意味する。 |
マネジメントは「方針」「目的」「目的達成のためのプロセス」確立を目指している<ref>"SL.2.1 management system set of interrelated or interacting elements of an organization to establish policies and objectives, as well as processes to achieve those objectives" ISO/IEC Directives, Part 1, Consolidated ISO Supplement, 2021. p.118.</ref>。'''方針'''({{lang-en-short|policy}})は「組織全体の意図と方向付け」<ref>"intentions and direction of an organization ... as formally expressed by its top management" ISO/IEC Directives, Annex SL. p.6.</ref>、'''目的'''({{lang-en-short|objective}})は「各階層で達成すべき結果」<ref>"3.6 objective result to be achieved ... They can be, for example, organization-wide or specific to a project, product or process" ISO/IEC Directives, Annex SL. p.6.</ref>を意味する。マネジメントの目標は「組織全体の指針が明確で、各階層の目的が正しく設定され、実行プロセスが確立した状態」へ、対象を導くことである。 |
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例としてパン屋を考える。このパン屋には明確な方針がなく、美味しいパンを作りたいのか安く大量のパンを作りたいのかはっきりしていない。その結果、仕入れでは高品質小麦の仕入れを目的としているのに、製造では質より量を目的としている。また実際の仕入れや製造にはマニュアル等もなく、個人個人がそれぞれの考えでバラバラの方法で作業をしている。マネジメントの目標は、このパン屋における方針・目的・プロセスの確立である。方針が﹁旨くてレアなパン﹂と定まり、それに従って仕入れの目的が﹁高品質で希少な小麦﹂、製造の目的が﹁マイナーな種類だが旨いパン﹂に設定され、社員の間で標準化された仕入れ・製造プロセスが共有・実施・管理されている状態がマネジメントの理想である。
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より広い視点の目的として以下が挙げられる。{{quotation|マネジメントの主目的は、従業員へ最大限の繁栄をもたらしながら雇用主へ最大限の繁栄をもたらすことである。<br /> |
より広い視点の目的として以下が挙げられる。{{quotation|マネジメントの主目的は、従業員へ最大限の繁栄をもたらしながら雇用主へ最大限の繁栄をもたらすことである。<br /> |
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The principal object of management should be to secure the maximum prosperity for the employer, coupled with the maximum prosperity for each employee.|フレデリック・テイラー|科学的管理法の原理}} |
The principal object of management should be to secure the maximum prosperity for the employer, coupled with the maximum prosperity for each employee.|フレデリック・テイラー|科学的管理法の原理}}「従業員が最大限の能力を発揮して多くの給与を得られる職につけ、その結果雇用主が大きな配当を得られる素晴らしい組織を持って永遠に繁栄できるようにする」ことがマネジメントの主目的である<ref>"maximum prosperity ... large dividends for the company or owner ... the development of every branch of the business to its highest state of excellence, so that the prosperity may be permanent. ... maximum prosperity for each employee ... higher wages ... the development of each man to his state of maximum efficiency ... the highest grade of work for which his natural abilities fit him ... giving him, when possible, this class of work to do." TAYLOR. (1911) ''[https://www.gutenberg.org/cache/epub/6435/pg6435.html The Principles of Scientific Management]''.</ref>。 |
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=== 要素 === |
=== 要素 === |
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マネジメントは上記を目標とする活動・仕組み・役割である。マネジメントを構成する要素として、組織構造・役割・責任 (responsibilities)・計画策定・運用などが挙げられる<ref>"The management system elements include the organization's structure, roles and responsibilities, planning and operation." ISO/IEC Directives, Annex SL. p.6.</ref>。 |
マネジメントは上記を目標とする活動・仕組み・役割である。マネジメントを構成する要素として、組織構造・役割・責任 (responsibilities)・計画策定・運用などが挙げられる<ref>"The management system elements include the organization's structure, roles and responsibilities, planning and operation." ISO/IEC Directives, Annex SL. p.6.</ref>。各組織員ごとに責務を定めると、方針決断が明確化され、目標の1つである方針確立の達成が容易となり、マネジメントが機能する。 |
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これら要素を「互いに作用しあう要素群」と見做したものを[[マネジメントシステム]] |
これら要素を「互いに作用しあう要素群」と見做したものを[[マネジメントシステム]]称する。品質をマネジメントするものが[[品質マネジメントシステム]]で、[[ISO 9000]]で標準化されている。 |
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== 管理を含む概念 == |
== 管理を含む概念 == |
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{{Wiktionary|管理}} |
{{Wiktionary|管理}} |
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*[[経営管理論]] - [[社会学]] |
*[[経営管理論]] - [[社会学]]で'''管理'''は、[[組織 (社会科学)|組織]]の[[目的]]を効果的かつ能率的に達成するために組織そのものの[[維持]]や[[発展]]を図ることである。 |
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*[[人事管理]] |
*[[人事管理]] |
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*管理行為 - [[民法]]にお |
*管理行為 - [[民法]]における'''管理行為'''は、[[財産]]または物および[[権利]]などを[[消滅]]させたり、その性質を変更しない範囲内で[[使用 (法律)|利用]]または[[改良]]する行為のことをさす。 |
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*[[善管注意義務]] |
*[[善管注意義務]] |
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2024年6月18日 (火) 02:01時点における最新版
漢語[編集]
漢語﹁管理﹂は17世紀ごろに成立したとされ[1]、古い例は清朝初期の1699年に黄六鴻が地方官の心得を著した﹃福惠全書﹄まで遡る[1]。同時期の満文と漢文の対訳辞書である﹃同文彙集﹄︵1693年︶や﹃清文備考﹄︵1722年︶に﹁管理﹂の語はない[1]。 日本では江戸時代の翻訳小説集﹃通俗赤縄奇縁﹄︵1761︶年に﹁管理﹂の語があるが︿クハンリ﹀と右ルビ、︿シハイ﹀︵支配︶と左ルビが振られており珍しい漢語であったとみられる[1]。英語[編集]
管理を意味する英語は、administration、control、management がある[1]。 administration ラテン語の administrare に由来し、14世紀に初出[1]が見られる。minister は国政などに仕えることで、統治や運営管理を意味する[1]。 control 中世ラテン語の contrarotulare に由来し、15世紀に初出[1]が見られる。 management manage はラテン語の manus︵手︶に由来し、1561年に初出[1]が見られる。手で巧みに扱う、馬を手で御する、を意味する[1]。マネジメント[編集]
マネジメント︵英: management︶は、集団や組織の指揮管理を目的とした活動・仕組み・役割である[2][3]。目的[編集]
マネジメントは﹁方針﹂﹁目的﹂﹁目的達成のためのプロセス﹂確立を目指している[4]。方針︵英: policy︶は﹁組織全体の意図と方向付け﹂[5]、目的︵英: objective︶は﹁各階層で達成すべき結果﹂[6]を意味する。マネジメントの目標は﹁組織全体の指針が明確で、各階層の目的が正しく設定され、実行プロセスが確立した状態﹂へ、対象を導くことである。より広い視点の目的として以下が挙げられる。 マネジメントの主目的は、従業員へ最大限の繁栄をもたらしながら雇用主へ最大限の繁栄をもたらすことである。 The principal object of management should be to secure the maximum prosperity for the employer, coupled with the maximum prosperity for each employee. — フレデリック・テイラー、科学的管理法の原理 ﹁従業員が最大限の能力を発揮して多くの給与を得られる職につけ、その結果雇用主が大きな配当を得られる素晴らしい組織を持って永遠に繁栄できるようにする﹂ことがマネジメントの主目的である[7]。